美容室の顧客管理をエクセルで無料で始める方法|項目設計と、抽出して使う手順

美容室 顧客管理 エクセル 無料|美容室でのカウンセリングの様子

顧客管理は、専用ツールを入れなくてもエクセルやスプレッドシートで始められます。大事なのは項目を増やすことではなく、あとから「抽出して使える形」で貯めることです。

この記事では、無料で始めるための項目設計、実際の作り方の手順、貯めた情報を使う3つの場面、そしてエクセルでは難しくなる境目を整理します。

目次

結論:項目を増やすより「抽出できる形」を優先する

顧客管理で失敗する多くは、項目を作りすぎて入力が続かなくなるパターンです。入力に時間がかかる設計は、忙しい日に必ず飛びます。そして一度飛ぶと、データの信頼性が落ちて使われなくなります。

優先すべきは、あとから条件で絞り込めることです。来店日、担当者、メニュー、金額が1行1来店で入っていれば、「3か月来ていない人」「単価が高い順」といった抽出ができます。自由記述のメモをいくら増やしても、抽出はできません。

顧客管理の全体設計は顧客管理・CRM完全ガイドで扱っています。この記事は、無料で今日から始める方法に絞ります。

もう一つ、始める前に決めておくとよいことがあります。「この表を何のために見るか」です。目的が決まっていないと、項目は際限なく増えます。最初は「失客しそうな人を見つける」「誕生日にメッセージを送る」の2つ程度に絞ってください。目的が2つなら、必要な項目も自然に絞られます。

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最低限の項目設計

シートは2枚に分けます。顧客の基本情報を持つ「顧客台帳」と、来店ごとに1行増える「来店履歴」です。分けておくと、集計も抽出もしやすくなります。

シート 項目 使いみち
顧客台帳 顧客ID、氏名、連絡先、誕生月、初回来店日 連絡・誕生日配信の対象抽出
顧客台帳 担当者、来店きっかけ 集客経路ごとの定着率の確認
来店履歴 顧客ID、来店日、メニュー、金額、担当者 来店周期・単価・失客兆候の把握
来店履歴 次回提案の内容 次回来店時の会話の引き継ぎ

顧客IDを両方のシートに持たせることが要点です。氏名で紐づけると、同姓同名や表記ゆれで集計が崩れます。IDは連番で構いません。

入力の負担を減らすため、メニューと担当者はプルダウンにします。手入力の表記ゆれがなくなり、集計がそのまま使えるようになります。

来店履歴を1行1来店にしておくと、あとから何度でも集計の切り口を変えられます。顧客台帳に「前回来店日」だけを上書きしていく方式は、入力は楽ですが履歴が残らないため、来店周期も単価の推移も分からなくなります。手間の差はわずかなので、最初から履歴を残す形にしてください。

作り方の手順

  1. 2枚のシートを作り、項目を並べる

    上の表のとおりに列を作ります。この段階で項目を足したくなりますが、まずはこれだけで始めてください。

  2. 入力規則でプルダウンを設定する

    メニュー名と担当者名の一覧を別シートに置き、入力規則から参照します。表記ゆれを構造的に防げます。

  3. 最終来店日を自動で引く

    顧客台帳側に、来店履歴から最も新しい来店日を取り出す式を入れます。これで「最後にいつ来たか」が一覧で見えます。

  4. 経過日数を計算する

    今日の日付から最終来店日を引いた日数を出します。この列を降順に並べるだけで、離れかけている人が上に来ます。

  5. 1週間だけ運用して調整する

    実際に入力してみて、負担が大きい項目を削ります。続けられる形になってから、全顧客の入力に進みます。

③と④が、この表を「名簿」から「使える道具」に変える部分です。ここまで作れば、あとは並べ替えるだけで対象者が出ます。

⑤で削る判断をするときは、「その項目を見て行動が変わるか」を基準にします。入力しても何も判断しない項目は、記録する意味がありません。逆に、削ったあとで必要になったら足せばよいだけです。最初から完成形を目指さないほうが続きます。

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貯めた情報を使う3つの場面

  1. 失客しそうな人を見つける。経過日数が、その人の平均来店周期の1.5倍を超えたら声をかける目安になります。全員に送るのではなく、この条件で絞ると反応が変わります。
  2. 誕生月にメッセージを送る。誕生月の列で絞り込めば、その月の対象者がすぐ出ます。値引きではなく、髪の状態に合わせた提案を添えるほうが再来店につながりやすくなります。
  3. 担当者ごとの定着率を見る。担当者列で集計すると、誰の顧客が続いているかが分かります。属人的な感覚ではなく、数字で共有できるようになります。

①の具体的な進め方は失客を防ぐ原因と対策で扱っています。抽出した相手に何を送るかまで決めておくと、表を作った効果が出ます。

エクセルでは難しくなる境目

次の状況が出てきたら、専用ツールへの移行を検討する段階です。無理に続けると、データの消失や二重管理のリスクが上がります。

  1. 複数のスタッフが同時に入力する。ファイルを共有すると、上書きや競合が起きます。クラウドの表計算なら緩和できますが、権限管理は必要です。
  2. 予約システムと二重入力になっている。同じ情報を2か所に入れる運用は、必ずどこかで食い違います。
  3. 顧客数が増えて、動作が重くなった。式が多い表は、行数が増えると開くだけで時間がかかります。
  4. バックアップの仕組みがない。端末の故障で消えると、復旧手段がありません。

②が出ているなら、予約システム側の顧客管理機能を使うほうが結果的に早くなります。選び方は予約システムの選び方を参考にしてください。

①〜④のうち、どれか1つでも当てはまるなら、移行の検討を始める時期です。ただしツールを入れれば解決するわけではありません。エクセルで運用が続かなかった原因が「入力の手間」なら、ツールを変えても同じことが起きます。まず入力が続く設計にしてから、移行を考えてください。

個人情報の取り扱い

顧客の氏名や連絡先は個人情報にあたります。個人情報保護法は、取り扱う個人情報の数にかかわらず事業者が対象となる仕組みになっており、小規模な事業者も例外ではありません。

出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」。詳細は同委員会の公表資料をご確認ください。

実務としては、次の3点を決めておいてください。ファイルにパスワードをかける、アクセスできる人を限定する、バックアップを別の場所に取る。この3つは、無料の環境でも実行できます。

スタッフが退職するときに、顧客情報を持ち出さない取り決めをしておくことも必要です。雇用契約や誓約書で扱いを明確にしておくと、後の対応がしやすくなります。

今日から始めるチェックリスト

まずこの5つだけ済ませてください。全顧客の入力は、そのあとで構いません。

  1. 顧客台帳と来店履歴の2シートを作った。
  2. 顧客IDを採番し、両シートで紐づけた。
  3. メニューと担当者をプルダウンにした。
  4. 最終来店日と経過日数が自動で出るようにした。
  5. ファイルの保存先とバックアップの方法を決めた。

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完璧な表を作ろうとせず、1週間使ってみて削るほうが早く定着します。まず直近3か月に来た顧客だけを入力して、経過日数の並べ替えを試してみてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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