美容室のPOSレジの選び方|必要な機能と乗り換えで失敗しない確認項目

美容室の受付とレジまわりの様子

美容室のPOSレジ選びで最初に決めるのは、価格でも機能数でもなく「何のデータを取りたいか」です。ここが決まっていないと、多機能なものを選んで使いこなせずに終わります。

この記事では、美容室に必要な機能の整理、比較の観点、法令面で確認すべき点、そして乗り換え時の注意を解説します。

目次

結論:美容室のPOSレジは「取りたいデータ」から選ぶ

レジは会計をする道具であると同時に、経営データを集める入口でもあります。どの数字を毎月見たいのかが決まれば、必要な機能は自然に絞られます。

たとえば「メニュー別の売上」「スタイリスト別の売上」「新規と再来の比率」の3つを見たいなら、その3つが標準で出せるかを確認するだけです。使わない機能の多さは、選定の理由になりません。

予約システムとの関係は予約システムの選び方、乗り換えの実務は予約システム乗り換え手順で扱っています。

美容室の受付とレジまわりの様子

逆に、機能から入ると判断がぶれます。営業資料には多くの機能が並びますが、そのうち日常的に使うのは一部です。使わない機能のために月額が上がっているなら、それは費用対効果に合いません。

美容室に必要な機能を絞る

機能 必要度 理由
メニュー別の売上集計 単価設計の判断に使う
スタイリスト別の集計 歩合や育成の判断に使う
キャッシュレス決済対応 支払い手段の主流のひとつ
顧客情報との連携 中〜高 再来分析につながる
店販の在庫管理 物販を扱うなら有用
複数店舗の管理 低(1店舗なら) 将来必要になったら検討

上表は選定の観点を整理したものです。必要度は店の規模や業態によって変わります。

キャッシュレスへの対応は、いまや前提に近い項目です。経済産業省は、日本のキャッシュレス決済比率について毎年公表しており、比率が年々上昇していることを示しています。

出典:経済産業省が公表するキャッシュレス決済比率に関する資料。数値は年により異なるため、最新の公表値をご確認ください。

逆に、必要度が低い機能に費用を払っている店も見かけます。1店舗しかないのに多店舗管理の機能が含まれていたり、扱っていない予約経路との連携が入っていたりする場合です。契約内容を一度確認して、使っていない機能があれば見直しの対象になります。

顧客情報との連携については、どこまで統合するかを決めておいてください。レジ・予約・カルテがすべて別々だと入力が3回発生します。かといって1つにまとめると、乗り換えのときの影響も大きくなります。自店の運用に合わせて判断してください。

法令面で確認すること

適格請求書発行事業者に登録している場合、レシートや領収書に登録番号や税率ごとの区分などの記載が必要になります。レジがこれに対応しているかを、導入前に必ず確認してください。対応していないと、手書きでの補完が必要になります。

出典:国税庁「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」の案内。記載事項の詳細は同庁の公表資料をご確認ください。

制度そのものの判断はインボイス制度対応で整理しています。登録していない場合でも、将来登録する可能性があるなら対応済みの機種を選んでおくほうが安全です。

もうひとつ、電子的に受け取った取引情報の保存に関するルールもあります。会計ソフトとの連携を含めて、どこにどう保存するかを決めておいてください。

決済手段の対応範囲も確認が必要です。クレジットカード、電子マネー、コード決済のうち、どこまで使えるか。お客様が使いたい手段が使えないと、その場で現金を求めることになります。地域や客層によって、よく使われる手段は変わります。

紙のレシートを渡さない運用を考えている場合も、控えの保存方法は決めておく必要があります。

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比較するときの5項目

  1. 月額と決済手数料の合計。月額が安くても決済手数料が高ければ、売上が増えるほど負担が増えます。
  2. データの取り出し方。CSVで出せるか。出せないと、将来の乗り換えや分析で困ります。
  3. サポートの体制。営業中に止まったときに連絡が取れるか。土日祝の対応可否も確認してください。
  4. 端末の費用と故障時の扱い。買い切りかレンタルか、代替機はあるか。
  5. 予約・顧客システムとの連携。二重入力が発生しないかどうかで、日々の手間が変わります。

美容室で会計を行う場面

②は見落とされやすい項目です。データを取り出せない仕組みを選ぶと、次に移るときに過去の売上履歴を持ち出せません。契約前に、書き出し形式を確認しておいてください。

③のサポート体制は、実際に困ったときに差が出る部分です。営業中にレジが動かなくなると、会計そのものが止まります。電話がつながるのか、チャットのみか、対応時間は何時までか。契約前に確認しておくと安心できます。

⑤の連携は、日々の負担を大きく左右します。予約システムから顧客情報がレジに渡らないと、会計のたびに名前を探すことになります。1回あたり数十秒でも、1日20人なら10分以上の差になります。

導入の手順

  1. 見たい数字を3つ書く

    まず自分が毎月見たい数字を決めます。ここが選定の基準になります。

  2. 候補を3つに絞る

    条件を満たすものを3つまで絞ります。多く比べるほど決められなくなります。

  3. 実機やデモで会計を試す

    実際の会計の流れを再現します。画面の遷移が多いと、混雑時に手間取ります。

  4. 切替日と並行期間を決める

    閑散期に切り替え、数日は旧レジも使える状態にしておきます。

③はできる限り行ってください。カタログでは分からない使い勝手が、実際に触ると分かります。スタッフにも操作してもらうと、判断の精度が上がります。

④の並行期間については、旧レジのデータを書き出してから切り替えてください。切替後に過去の売上を確認したくなる場面は必ず訪れます。解約するとデータが見られなくなる契約もあるため、順番を間違えないようにしてください。

①の「見たい数字を3つ」は、紙に書いて商談に持っていってください。口頭で伝えるより、書いたものを見せたほうが正確に伝わります。その3つが出せない機種は、その場で候補から外せます。

導入後1か月で確認すること

入れて終わりにせず、次の3点を確認してください。

第一に、会計にかかる時間。旧レジより長くなっていないかを見ます。第二に、入力の抜け。メニューの選択が煩雑だと、まとめて計上されて分析ができなくなります。第三に、出したい数字が出るか。実際に月次のレポートを出してみてください。

美容室のスタッフが端末を操作する様子

数字が出せる状態になったら、経営判断に使う番です。メニュー別の粗利、スタイリスト別の生産性、新規と再来の比率。見方は美容室経営の数字の見方にまとめています。

レジは毎日使う道具です。多機能さより、日々の会計が速く正確に終わることを優先してください。そのうえで必要なデータが取れれば、選定としては十分です。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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