美容室のIT導入補助金の使い方|予約システムや会計ソフトを導入する前に確認すること

美容室の受付で端末を操作する様子

美容室がIT導入補助金を使うとき、最初に確認すべきは対象のITツールかどうかです。どんなシステムでも対象になるわけではなく、あらかじめ登録されたツールに限られます。

この記事では、制度の仕組み、対象になるものの考え方、申請の流れ、そして補助金ありきで判断しないための注意点を整理します。

目次

結論:美容室のIT導入補助金は「登録ツールから選ぶ」制度

この補助金は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と、登録されたツールの組み合わせで申請します。自分で見つけたシステムを後から申請する形ではありません。

したがって順番は、①制度の対象ツールを調べる → ②自店に合うものを選ぶ → ③支援事業者と申請する、になります。

予約システムの選び方は予約システムの選び方、会計ソフトは記帳と会計ソフトの選び方で扱っています。

美容室の受付で端末を操作する様子

この順番を守らないと、選んだ後に対象外だと分かって選び直すことになります。導入の検討を始めた段階で、対象ツールの一覧を確認しておくほうが手戻りがありません。

まず事務局のサイトで、対象ツールの一覧を確認してください。

制度の仕組み

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際の経費の一部を補助する制度です。事務局が公募を行い、申請は原則としてIT導入支援事業者と共同で行う形になっています。

出典:IT導入補助金の公募要領および事務局の案内(中小企業庁が所管する施策)。対象・補助率・上限額・公募回は年度ごとに変わるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

美容室で対象になり得るのは、予約管理、顧客管理、会計、決済といった業務に関わるツールです。ただし、登録されているかどうかは事務局の一覧で確認する必要があります。

支援事業者は、ツールの提供元が兼ねている場合もあれば、販売代理店が担う場合もあります。申請の手続きを一緒に進める相手になるため、対応の丁寧さも判断材料になります。

複数のツールをまとめて申請できる枠が設けられていることもあります。予約システムと会計ソフトを同時に導入したい場合は、この点も確認してください。

もうひとつ理解しておきたいのは、補助金には申請の手間がかかるという点です。書類の準備、支援事業者とのやりとり、導入後の報告。これらに費やす時間も、実質的なコストとして計算してください。金額が小さい場合、手間のほうが上回ることもあります。

申請前に確認する5項目

項目 確認すること
対象事業者か 業種・規模の要件を満たすか
対象ツールか 事務局に登録されたツールか
支援事業者 誰と組んで申請するか
公募の時期 受付期間と締切
自己負担額 補助率を差し引いた実負担

上表は確認の観点です。要件は公募回ごとに変わるため、必ず最新の公募要領をご確認ください。

5行目は必ず計算してください。補助があっても自己負担は発生します。しかも後払いのため、いったん全額を支払う資金が必要です。

公募の時期は年度によって変わります。締切を過ぎると次の回まで待つことになるため、導入したい時期から逆算して確認してください。決算や繁忙期と重なると、手続きの負担が大きくなります。

自己負担額は、補助率だけでなく上限額にも左右されます。上限を超えた分は全額自己負担です。導入したいツールの総額を先に把握してから計算してください。

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申請の流れ

  1. 導入したい業務を決める

    予約か、会計か、決済か。課題が明確でないと、ツール選びも申請理由も曖昧になります。

  2. 対象ツールと支援事業者を探す

    事務局のサイトで検索します。複数の候補を比較してください。

  3. 必要な手続きを済ませる

    申請にあたって事前に取得が必要なアカウントや書類があります。時間がかかるものもあります。

  4. 支援事業者と申請する

    事業計画や導入効果を記載します。交付決定の前に契約や発注をしないでください。

交付決定の前に契約・発注・支払いを行うと、補助の対象外になるのが一般的です。「先に導入して後から申請」はできません。また、採択を保証するものではなく、導入後には効果報告などの義務が生じる場合があります。公募要領で必ず確認してください。

美容室の店内とセット面

③については、電子申請に必要なアカウントの取得に日数がかかることがあります。締切直前に始めると間に合いません。申請を決めたら最初に着手してください。

④の事業計画では、導入によって何がどう改善するかを具体的に書きます。「業務を効率化する」だけでは伝わりません。どの作業に月何時間かかっていて、それがどう減るのか。数字で示すほうが説得力があります。

導入後の効果報告が義務づけられている場合もあります。数年にわたって報告が必要なこともあるため、その手間も見込んでおいてください。報告を怠ると、補助金の返還を求められる可能性があります。

また、導入したツールを短期間で解約すると、要件を満たさなくなる場合があります。一定期間は使い続ける前提で選んでください。乗り換えの可能性がある場合は、この点も確認が必要です。

補助金ありきで選ばない

最も避けたいのは、補助が出るからという理由でツールを決めることです。

判断の順番は、まず自店の課題です。二重入力に時間を取られている、予約の電話が多い、記帳が追いついていない。解決したい課題があって初めて、どのツールが必要かが決まります。

補助金は、必要なものを導入するときの負担を軽くする手段です。不要なものを安く買う制度ではありません。使わないシステムに月額を払い続けることになれば、補助を受けても損失になります。

導入の判断基準はPOSレジの選び方でも触れています。まず取りたいデータと解決したい業務を決めてください。

月額費用が補助の対象になるかどうかも、公募回によって異なります。初期費用のみが対象の場合、月額は自己負担が続きます。総額で比較して判断してください。

課題が1つに絞れないなら、まずは最も時間を取られている業務から着手してください。同時に複数を変えると、現場が混乱します。

採択されなかった場合

公募は競争になるため、採択されないこともあります。その場合の方針も決めておいてください。

選択肢は3つです。第一に、次の公募回に再申請する。第二に、補助なしで導入する。第三に、時期をずらす。課題が切実なら、補助を待たずに導入したほうが早く解決します。

美容室でスタイリングを行う場面

再申請する場合は、不採択の理由を可能な範囲で確認し、事業計画の記載を見直してください。同じ内容で出し直しても結果は変わりにくくなります。

IT導入補助金は、条件が合えば負担を大きく減らせる制度です。ただし手続きと制約が伴います。まず自店の課題を1つに絞り、それを解決するツールが対象になっているかを調べるところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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