美容室の記帳と会計ソフトの選び方|毎月の作業を短くする仕組みの作り方

美容室でスタイリングを行う場面

美容室の記帳が負担になる原因は、作業量そのものより「私用と事業の支出が混ざっていること」です。ここを分けるだけで、月の作業時間は大きく変わります。

この記事では、記帳を軽くする前提条件、会計ソフトの選び方、日々の運用手順、そして決算につなげる整理を解説します。

目次

結論:美容室の記帳は「口座を分けて自動連携」で短くなる

手入力を速くする工夫には限界があります。減らすべきは入力そのものです。

事業用の口座とクレジットカードを用意し、会計ソフトと連携させれば、明細は自動で取り込まれます。あとは勘定科目を確認するだけになり、月の作業が数十分で終わる状態を目指せます。

申告まわりの基本は確定申告と経費の知識、決算前の準備は決算前にやることで扱っています。

美容室でスタイリングを行う場面

混ざっている状態の何が問題かというと、1件ずつ「これは事業か私用か」を判断する必要が生まれることです。月に100件の明細があれば、100回の判断です。この判断作業が、記帳を苦痛にしています。

口座を分ければ、事業用口座の明細はすべて事業の支出になります。判断が不要になるため、確認するのは勘定科目だけになります。作業の性質そのものが変わります。

記帳の義務と保存のルール

事業を行う以上、取引を記録し、帳簿や書類を保存する義務があります。国税庁は帳簿の記帳のしかたや、青色申告における記帳・保存の要件について案内を公表しています。

出典:国税庁が公表する記帳・帳簿等の保存に関する案内。要件は改正されることがあるため、最新の情報をご確認ください。

あわせて、電子的にやり取りした取引情報の保存についても定めがあります。メールで受け取った請求書や、オンラインで発行された領収書の扱いが対象になります。

紙で受け取ったものと、電子で受け取ったもの。この2つを分けて考え、それぞれの保存方法を決めておくことが実務の出発点になります。

保存期間についても確認しておいてください。帳簿や証憑には保存すべき期間が定められており、事業形態によって異なります。保管場所と保存の形式を決めていないと、必要になったときに探せません。

電子で受け取ったものを紙に印刷して保存する運用は、要件を満たさない場合があります。受け取った形のまま保存することが原則になるため、フォルダの構成とファイル名の付け方を先に決めておくと後が楽になります。

開業直後であれば、最初から分けて始めるのが最も簡単です。後から分けると、それまでの分の整理が必要になります。

選ぶ前に整える3つの前提

  1. 事業用の口座を作る。生活費と混ざっていると、1件ずつ判別する作業が発生します。
  2. 事業用のクレジットカードを作る。仕入れや経費の支払いを集約すると、明細がそのまま記録になります。
  3. 現金払いを減らす。現金は自動で取り込めません。可能な範囲でカードや電子決済に寄せます。

この3つを整えないままソフトを導入しても、効果は限定的です。ソフトは記録を自動化する道具であって、混ざったものを分ける道具ではありません。

③については、完全になくす必要はありません。現金でしか支払えない場面は残ります。ただし件数が少なければ、月末にまとめて処理しても負担になりません。件数を減らすことが目的です。

あわせて、レジと会計ソフトの関係も整理してください。日々の売上をレジから手入力しているなら、連携できる組み合わせを検討する価値があります。選び方はPOSレジの選び方で扱っています。

まず1か月試してみて、作業時間が短くなったかを確認してください。

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会計ソフトの選び方

確認項目 見るポイント
口座・カード連携 使っている金融機関に対応しているか
申告形式 個人か法人か、青色申告に対応しているか
証憑の保存 電子データの保存要件に対応しているか
税理士との共有 データを共有できるか
月額と初期費用 年間の総額で比較する

上表は選定の観点を整理したものです。要件は事業形態により異なるため、税理士にご確認ください。

とくに4行目は、税理士に依頼している場合の負担を左右します。データを共有できれば、資料の受け渡しが不要になります。

美容室で施術を受けるお客様

5行目の費用は、月額だけでなく年間で比較してください。年払いで割安になる場合もあります。また、申告の時期だけ上位プランが必要になる製品もあるため、必要な機能が通年で使えるかを確認しておくと安心です。

1行目の連携は、導入前に必ず確認してください。地方銀行や信用金庫は対応していない場合があります。対応していなければ手入力に戻るため、選定の前提条件になります。

2行目は、個人事業か法人かで必要な機能が変わります。法人化を予定しているなら、同じ製品で移行できるかも確認しておくと、後から乗り換える手間を避けられます。

日々の運用手順

  1. 週1回15分の確認時間を決める

    取り込まれた明細の勘定科目を確認します。曜日を固定すると習慣になります。

  2. 現金の支出はその場で記録する

    レシートを撮影して取り込む機能があれば使います。後回しにすると紛失します。

  3. 月末に残高を照合する

    通帳の残高と帳簿の残高が合っているかを確認します。ずれていれば早めに原因を探します。

  4. 月次の試算表を出す

    売上・経費・利益を確認します。決算を年1回の大仕事にしないための工程です。

経費として計上できるかの判断は、支出の内容と事業との関連性によって決まります。私的な支出を経費に含めると、後の調査で問題になる可能性があります。判断に迷うものは、その場で税理士に確認する習慣をつけてください。

③の照合は、ずれを早く見つけるための工程です。3か月放置すると、どこでずれたのかを追うのが難しくなります。月末に5分だけ確認する習慣をつけてください。

スタッフに一部を任せる場合は、権限の範囲を決めてください。売上の入力までは任せ、経費の判断はオーナーが行う、といった分担が現実的です。

④の試算表は、経営判断のためだけでなく、融資の相談でも求められます。決算書は年に一度しか出ませんが、試算表は月次で出せます。直近の状況を示せる状態にしておくことが、資金調達の準備にもなります。

記帳を経営に使う

記帳の目的は申告だけではありません。月次の数字が出れば、経営の判断に使えます。

見るのは3つです。第一に、売上に対する各費用の比率。前月と比べてどこが増えたかが分かります。第二に、営業利益。本業でどれだけ残ったか。第三に、手元資金の増減。利益が出ていても資金が減っていることがあります。

美容室のヘアモデルの仕上がり

数字の読み方は美容室経営の数字の見方にまとめています。記帳が追いついていれば、融資の相談でも直近の試算表をすぐ出せます。

記帳は面倒な作業と受け取られがちですが、仕組みを整えれば負担は大きく減ります。まずは口座を分けるところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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