美容室の経営の本はどう選ぶか|段階別に読む5つのテーマ・外れを引かない選び方・1冊を店の数字に変える読み方

美容室 経営 本|美容室の店内の様子

美容室の経営の本は、「有名だから」「売れているから」で選ぶより、いま店で困っていることのテーマに絞って1冊ずつ読み、読んだ内容を店の数字に落とすところまでを1セットにすると、読書が経営に効きます。読みっぱなしの10冊より、実行まで進めた1冊のほうが店を変える場合があります。

この記事では、開業前・開業後・スタッフを雇ってからの段階別に読む5つのテーマ、外れを引かない選び方、1冊を店の数字に変える読み方、読書にかける時間と費用の目安、経費の扱いを整理します。

美容室 経営 本|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の経営の本は「いまの困りごとのテーマ」で1冊選び、読んだら店の数字を1つ動かす

経営書は範囲が広く、美容室に特化した本は多くありません。美容室専用でなくても、数字・集客・リピート・採用・仕組み化の5テーマは、他業種の本で十分に学べます。大事なのは、読み終えた後に「うちの店ではこの数字をこう動かす」と1つ決めることです。

本やセミナーの費用の扱いは本・セミナー代は経費になるか、セミナーの選び方は経営セミナーの選び方で扱っています。この記事は「本の選び方と読み方」に絞ります。

段階別に読む5つのテーマ

段階 困りごと 読むテーマ 本に求めること 読んだ後に動かす数字
開業前 お金が足りるか分からない ①数字(損益・資金繰り・原価) 損益分岐点と資金繰り表の作り方が図で示されている 損益分岐の客数、運転資金の月数
開業〜1年 新規が来ない ②集客(顧客の決め方・導線・地域) 「誰に」を決める手順がある。広告の手法集ではない 新規数と新規1人あたりの費用
1〜3年 新規は来るが定着しない ③リピート(顧客体験・接客・記録) 再来店の仕組みを「行動」に分解している 2回目来店率、次回予約率
スタッフを雇ってから 人が辞める・育たない ④採用と育成(面談・評価・組織) 小さな組織向け。大企業の人事制度ではない 離職率、デビューまでの月数
2店舗目・自分が現場を離れる前 自分がいないと回らない ⑤仕組み化(マニュアル・数字管理・権限委譲) オーナーが現場を離れる手順が書かれている オーナーの施術時間、店長に任せた判断の数

5テーマを一度に読む必要はありません。いまの段階のテーマを1冊、次の段階のテーマを1冊で足ります。先の段階の本を先に読んでも、実行できないため身につきにくいです。

外れを引かない選び方(4ステップ)

  1. 目次で「手順」が書かれているかを見る

    「◯◯の重要性」「◯◯の時代」のような章が並ぶ本は、読後に何をするかが残りにくいです。「◯◯の出し方」「◯◯を決める3つの質問」のように、動詞で書かれた章が多い本を選びます。

  2. 著者が「小さな店」を扱った経験があるかを見る

    大企業の経営論は、スタッフ3人の店には合わない部分が多いです。著者紹介で、小規模事業者・店舗・個人事業を対象にした経歴があるかを確認します。

  3. 数字の例が出てくるかを見る

    「売上が伸びた」だけでなく、「客単価8,000円・来店周期6週」のように具体的な数字で書かれている本は、自店の数字に置き換えやすいです。

  4. 1章だけ読んで「明日やること」が1つ書けるか試す

    書店や試し読みで1章を読み、付箋に明日やることを書けたら買います。書けなければ、その本はいまの段階に合っていません。

「年商◯億円」「必ず成功」といった見出しで売る本は、著者の実績が再現できるとは限りません。本に書かれた成果を自店の見込みとしてそのまま計画に使わないでください。本はやり方を学ぶもので、結果を保証するものではありません。

美容室 経営 本|美容室でのカウンセリングの様子

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1冊を店の数字に変える読み方

  1. 読む前に「動かしたい数字」を1つ書く:例「次回予約率 25% → 40%」。目的のない読書は、読後に何も残りにくいです。
  2. 読みながら「うちならこうする」を3つ以内で書く:本の内容の要約ではなく、自店への翻訳を書きます。3つを超えると実行されません。
  3. 1つだけ、翌週に試す:3つのうち最も小さいものを1週間試し、動かしたい数字が動いたかを見ます。
  4. 1か月後に本を開き直す:試した結果を持って読み直すと、1回目に読み飛ばした部分が理解できます。同じ本を2回読むほうが、新しい本を読むより身につく場合が多いです。

時間と費用の目安(試算)

数字はすべて仮の設定です。

項目 月の目安 年間 備考
読む時間 1冊・4〜6時間(週1時間×4〜6週) 10〜12冊 開店前の30分、または定休日の1時間
実行に使う時間 1冊につき2〜4時間(試す・数字を見る) 読む時間の半分を実行に充てる
費用 1,500〜2,500円 2〜3万円 電子書籍・図書館・中古も可。経費の扱いは別記事
動かす数字 1冊1つ 年に10個前後の数字に手を打つ 全部が動くわけではない。3割動けば十分

年間の書籍代2〜3万円は、経営セミナー1回分と同程度かそれ以下です。費用より「読む時間」と「実行する時間」の確保のほうが難しいため、定休日の朝など固定の時間を先に決めてください。数字の見方は経営数字の見方を参照してください。

テーマ別に「本で何を学び、何は本では学べないか」

テーマ 本で学べること 本では足りないこと 補う先
①数字 損益・資金繰り・原価の考え方と計算式 自店の数字の集め方(レジ・会計ソフトの設定) 税理士、会計ソフトのサポート
②集客 顧客の決め方、導線の考え方 地域と客層に合う具体の媒体の選び方 自店の新規経路の記録、同業の先輩
③リピート 再来店の仕組みと行動の分解 自店の接客の癖(自分では気づきにくい) お客様の声、スタッフ同士の観察
④採用・育成 面談・評価・教育の型 労働法の実務(36協定・有給・練習時間) 社会保険労務士、労働局の窓口
⑤仕組み化 マニュアルと権限委譲の手順 自店の業務の棚卸し(何を任せるか) スタッフとの1on1、業務の書き出し

出典:中小企業庁「中小企業白書」(経営者の学習・経営計画策定と業績の関係に関する章)、国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」(書籍代の経費性)。本記事は特定の書籍を推奨するものではなく、選び方と読み方の枠組みを示しています。時間・費用・割合はすべて自分で置いた前提による試算です。

よくある失敗3つ

  1. 話題の本を追って積み上がる:読む本が増えるほど実行は減ります。同時に読むのは1冊にします。
  2. 「勉強になった」で終わる:動かす数字を決めずに読むと、満足感だけが残ります。
  3. 本の成功例をそのまま店に持ち込む:著者の店と自店は客層も規模も違います。「うちならこうする」の翻訳を必ず挟みます。

読書会・スタッフと読む場合の進め方

スタッフが3人以上いる店では、オーナーだけが読むより1冊を店で共有して「うちならこうする」を一緒に出すほうが、実行に移りやすい場合があります。数字は仮の設定ですが、月1回・30分の朝礼枠で1章ずつ扱うと、1冊に3〜4か月かかります。急がず、実行を挟みながら進めます。

  1. 章ごとに担当を決める:担当者がその章の要点を3分で話し、「うちならこうする」を1つ提案します。オーナーが全部話すと、スタッフの読書にはなりません。
  2. 提案は翌月までに1つ試す:試した結果を次の回で共有します。結果が出なくても「試した」ことを評価します。
  3. 本の購入は店負担にする:業務に関する書籍を店が用意する形なら、研修費または新聞図書費として扱えるのが一般的です。スタッフの私物にせず、店の本棚に置きます。

よくある質問

  1. 美容室専門の本と一般の経営書、どちらを先に読むべきですか:数字とリピートのテーマは一般の経営書のほうが体系立っていることが多く、集客と採用は美容業界の事例が載った本のほうが翻訳しやすい傾向があります。テーマで使い分けてください。
  2. 電子書籍と紙、どちらがよいですか:付箋と書き込みで「うちならこうする」を残すなら紙、移動中に読むなら電子。読み返しやすいほうを選びます。
  3. 読む時間が取れません:1冊を通読しなくても、目次から「いま困っている章」だけを読んで実行する読み方で足ります。全部読むことが目的ではありません。

今月のチェックリスト

次の1冊を選ぶ前に、次の5つを確認してください。

  • いまの店の段階と困りごとを1つに絞り、対応するテーマを決めた
  • 目次が動詞で書かれ、小さな店を扱った著者で、数字の例がある
  • 読む前に「動かしたい数字」を1つ書いた
  • 読む時間を定休日の朝など固定の枠にした
  • 1か月後に読み直す予定を入れた

美容室の経営の本は、テーマを絞って1冊選び、店の数字を1つ動かすところまでを読書に含めることで、店を変える道具になります。次の定休日に、いまの困りごとに合うテーマの1冊を選んでください。

美容室 経営 本|美容室のスタッフ・チームの様子

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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