美容室のシャンプー台や空気清浄機などの設備購入に「専用の補助金」はありませんが、小規模事業者向けの補助金・助成金や自治体の制度の中に、設備費を対象経費に含めるものがあります。ただし多くの制度は「買ってから申請」では対象外で、交付決定の前に発注すると使えなくなる点に注意が必要です。
この記事では、設備購入で候補になる制度の種類、対象になる設備の考え方、申請から入金までの流れ、資金繰りへの影響、よくある失敗を整理します。

結論:美容室のシャンプー台・設備の補助金は「設備費を対象経費に含む制度」を探し、発注前に申請する
補助金は「シャンプー台のため」に用意されているのではなく、「売上拡大」「生産性向上」「賃上げ」「環境対策」などの目的に沿った計画の中で、設備費が認められる形です。したがって探し方は「シャンプー台 補助金」ではなく、「自店の計画がどの目的に当たるか」から入ります。
補助金と助成金の違いは補助金と助成金の違い、申請の流れは補助金申請の流れ、内装・改装での使い方は改装に使える補助金で扱っています。この記事は「設備の購入」に絞ります。
設備購入で候補になる制度の種類
| 制度の種類 | 所管の例 | 設備費の扱い | 美容室で当たりやすい計画 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模事業者向けの販路開拓・生産性向上の補助金 | 中小企業庁・商工会議所/商工会 | 機械装置等費として対象になる場合がある | 新メニュー導入のためのシャンプー台更新、待ち時間短縮の設備 | 「販路開拓」との結びつきを計画で示す必要がある。公募回ごとに要件が変わる |
| 賃上げと設備投資を組み合わせた助成金 | 厚生労働省(労働局) | 生産性向上に資する設備費が対象になる場合がある | スタッフの最低賃金引き上げと同時に、作業時間を減らす設備を導入 | 賃上げの実施が条件。従業員がいない1人店は対象外 |
| IT導入・デジタル化の補助金 | 中小企業庁 | ソフトウェア・関連ハードが対象。シャンプー台は対象外 | 予約システム・POS・電子カルテ | 設備そのものではなくITツールが中心 |
| 自治体の設備投資・出店・省エネの補助金 | 都道府県・市区町村 | 自治体ごとに異なる。空気清浄機や省エネ機器が対象の例もある | 出店時の設備、換気・空調の更新 | 予算枯渇で早期終了することがある。所在地の制度を毎年確認 |
| 業界団体・組合経由の支援 | 生活衛生同業組合など | 組合員向けの設備資金の融資や相談 | 組合加入店の設備更新 | 補助金ではなく低利融資の形が多い |
表のとおり、シャンプー台のような美容専用設備が対象になりやすいのは、1行目の販路開拓型と2行目の賃上げ連動型、4行目の自治体制度です。制度名・要件・補助率・上限額は公募回ごとに変わるため、この記事では固定の数字を書きません。必ず最新の公募要領で確認してください。
対象になる設備の考え方 — 「目的との結びつき」で決まる
同じシャンプー台でも、計画の書き方で対象になるかが変わります。数字は仮の設定です。
| 設備 | 対象になりにくい書き方 | 対象になりやすい書き方 |
|---|---|---|
| シャンプー台(フルフラット) | 「古くなったので交換する」 | 「ヘッドスパメニューを新設し、客単価を上げる。既存客への告知と新規向けの導線を作る」 |
| 空気清浄機・換気設備 | 「衛生のために入れる」 | 「カラー・パーマの薬剤臭への不安を解消し、施術中の滞在環境を改善する。自治体の換気・省エネ要件に沿う」 |
| セット面の増設 | 「席を増やしたい」 | 「業務委託美容師の受け入れで稼働率を上げる。売上と雇用の見込みを数字で示す」 |
| 業務用洗濯乾燥機 | 「タオルを洗うため」 | 「スタッフの閉店後作業を1日30分削減し、賃上げの原資にする(賃上げ連動型)」 |
共通するのは、「設備を買う」ではなく「設備によって売上・生産性・環境がどう変わるか」を数字で書くことです。審査は設備の必要性ではなく、計画の実現性を見ています。
多くの補助金は交付決定の前に発注・契約・支払いをした設備は対象外です。「先に買って、後で補助金を探す」は使えません。また、補助金は後払いが原則で、購入代金は一度全額を自店で支払う必要があります。資金繰りの見通しを先に立ててください。

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申請から入金までの流れ(5ステップ)
-
所在地の商工会議所・商工会と自治体の窓口で候補を聞く
「シャンプー台を更新して新メニューを作りたい」と計画の形で相談すると、いま公募中の制度と締切を教えてもらえる場合があります。自治体のサイトの「補助金・助成金」一覧も確認します。
-
公募要領で「対象経費」「補助率」「上限」「スケジュール」を確認する
設備費が対象経費に含まれるか、中古や割賦(分割払い)が認められるか、交付決定から実績報告までの期間を読みます。
-
見積書を取り、計画書を書く
見積書は2社以上を求められることがあります。計画書は「現状の課題 → 設備で何が変わるか → 売上・生産性の見込み」の順で、数字を入れて書きます。
-
交付決定を待ってから発注・支払い
決定通知が届いてから発注します。支払いは振込で行い、領収書・振込明細・納品書・設備の写真を保管します。
-
実績報告を提出し、入金を待つ
報告の審査後に補助金が振り込まれます。申請から入金まで半年以上かかる制度もあります。
資金繰りへの影響を試算する
シャンプー台2台の入れ替え(本体・工事込み160万円)を、補助率2/3・上限100万円の制度で申請した場合の試算です。数字はすべて仮の設定です。
| 時期 | 出ていくお金 | 入ってくるお金 | 手元の変化 |
|---|---|---|---|
| 申請(1か月目) | 0円(計画書の作成) | — | 0 |
| 交付決定(3か月目) | — | — | 0 |
| 発注・支払い(4か月目) | 160万円 | — | −160万円 |
| 実績報告(6か月目) | — | — | −160万円 |
| 入金(8〜9か月目) | — | 100万円(160万円×2/3=約106万円→上限100万円) | −60万円 |
最終的な自己負担は60万円ですが、4か月目から入金までの約5か月間は160万円が手元から出たままになります。運転資金が薄い店は、この期間のつなぎを融資で手当てするか、購入時期を売上の安定する月に合わせます。設備をリースにするか購入するかの判断は設備資金はリースと購入どちらが得か、資金繰り表の作り方は資金繰り表の作り方を参照してください。
出典:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」公募要領(対象経費・交付決定前の発注の扱い)、厚生労働省「業務改善助成金」(生産性向上に資する設備投資と賃上げ)、中小企業庁「IT導入補助金」、各都道府県・市区町村の中小企業向け補助金一覧。制度の名称・要件・補助率・上限額・公募時期は年度と公募回で変わるため、本記事では固定の数字を書いていません。必ず最新の公募要領と所在地の窓口で確認し、必要に応じて商工会議所や中小企業診断士に相談してください。記事内の金額はすべて自分で置いた前提による試算です。
よくある失敗3つ
- 交付決定前に発注した:対象外になります。ディーラーの「今月中なら値引き」に応じて先に契約した例が典型です。
- 補助金が入金される前に運転資金が尽きた:後払いを前提に、購入から入金までの資金を用意していなかった例です。
- 計画書が「設備の説明」だけだった:設備で売上や生産性がどう変わるかの数字がなく、不採択になった例です。
申請前のチェックリスト
設備の補助金を探す前に、次の5つを確認してください。
- 設備で「何が変わるか」(売上・生産性・環境)を数字で書ける
- 所在地の商工会議所・商工会と自治体の窓口に、公募中の制度を確認した
- 公募要領で、設備費が対象経費に含まれ、発注のタイミングの条件を確認した
- 購入代金を一度全額支払い、入金まで半年以上待てる資金がある
- まだ発注・契約をしていない
美容室のシャンプー台や設備の補助金は、「設備の名前」ではなく「計画の目的」で探し、発注前に申請することで使える可能性が出てきます。資金繰りの見通しと合わせて、窓口への相談から始めてください。

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