ヘアドネーションに対応する美容室になるには|賛同サロンの登録条件・カットの手順・お客様への送り方の案内と告知の注意

ヘアドネーションのカットは、賛同サロンに登録していなくても行えます。JHD&Cの場合、髪は31cm以上で完全に乾いていることが条件で、切った毛束はお客様に返し、お客様本人が郵送します(サロンからの代理送付は受け付けていません)。

ヘアドネーションの仕組み、受け入れ団体の条件、賛同サロンの登録手順、カットから持ち帰りまでの手順、料金の決め方、告知で気をつける表現を整理します。条件は団体ごとに異なるため、ここではNPO法人JHD&C(Japan Hair Donation & Charity)の公式情報をもとにしています(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:ヘアドネーションに対応する美容室がやることの早見表

美容室がやることは、団体の条件に沿って切り、毛束をお客様に返すところまでです。髪を団体に送るのはお客様本人で、賛同サロンへの登録は任意です。

やること 内容(JHD&Cの場合) ポイント
条件を確認する 31cm以上で、完全に乾いた髪。カラー・パーマ・白髪・くせ毛も寄付できる 寄付先はお客様が選ぶ。団体ごとに条件が違う
予約時に聞く 寄付先、今の長さ、仕上がりの希望、当日は髪を濡らさずに来店すること 長さが足りるかを事前に見立てる
乾いた状態で切る 小さな束に分けてゴムで強めに結び、結び目の1cm上でカットする シャンプーはカットの後
毛束を返す 袋に入れてお客様に渡し、本人が追跡できる方法で発送する サロンなど第三者による代理送付は2020年7月に受付終了
料金を決めて伝える 料金は店が設定し、予約時に説明して双方が納得したうえで行う 通常のカットとの違いを明確にする
賛同サロンに登録する(任意) 固定店舗があり、ウィッグカットとドネーションカットに対応でき、認定証を掲示する 申込みから掲載まで約1か月

表のうち、店の判断で変えられるのは料金と告知の方法だけです。長さや送り方の条件は団体が決めているため、お客様に案内する内容を店の都合で変えないことが、トラブルを防ぐ前提になります。

ヘアドネーションとは — 寄付された髪で医療用ウィッグをつくる活動

ヘアドネーションとは、切った髪を寄付し、髪に悩みを持つ子どもたちの医療用ウィッグの材料として役立ててもらう活動です。受け入れ団体の一つであるJHD&Cは、18歳以下の子どもに医療用ウィッグを無償で提供しています。

数字 意味(JHD&Cの案内)
31cm以上 医療用フルウィッグは髪を半分に折り返して植え付けるため、31cm未満では作れない
30〜50人分 ウィッグ1つに必要な髪の量。毛束には短い毛も含まれるため、1人分では作れない
18歳以下 ウィッグを申し込める年齢(申込み時点)。国内在住が前提で、費用はかからない
31cm未満の髪 ウィッグには使えないが、仕分け後に評価毛やカット練習用マネキンの素材として販売され、ウィッグ提供の費用に充てられる

美容室にとっては、ロングヘアを大きく切る予約が入るきっかけになり、ふだん接点のないお客様が来店することもあります。ただし主役は、寄付をしたいお客様の気持ちです。販促の色を強くしすぎず、条件と手順を正確に案内できることが、店への信頼につながります。

受け入れ団体の条件 — JHD&Cの場合

JHD&Cが受け付ける髪の条件は、31cm以上の長さがあることだけです。カラー・パーマ・白髪・くせ毛でも寄付でき、受け付けられないのは濡れた髪と、軽く引っ張るだけで切れるほど傷んだ髪です。

項目 JHD&Cの条件・案内
長さ 切り口から一番長い毛先までが31cm以上。くせ毛やパーマは軽く伸ばした状態で測る
髪の状態 カラー・パーマ・白髪・くせ毛も可。年齢・性別・髪質は問わない。極端なダメージがある髪は不可
乾燥 完全に乾いた状態で切り、保管する。湿った髪はカビや雑菌の原因になり、使えなくなる
事前のケア 寄付のための特別なヘアケアは不要
送る人 ドナー本人(同居の家族はまとめて送れる)。サロン・団体・グループからの送付や、代行業者・他人による代理送付は不可
送料と送り方 送料はドナーの負担。レターパックや宅配便など追跡できる方法を推奨。着払いや料金不足は受け付けない
ドナーシート 同封は任意。印刷せず、手書きのメモでもよい
到着の確認 個別の問い合わせには応じていない。追跡番号で各自が確認する

2026年9月30日には、JHD&Cのドナーシートが付いた毛髪がオークションサイトに出品されていたことを受けて、事務局が「発送は必ずドナー本人が行う」よう改めて呼びかけています。サロンで切った毛束は、ゴムでしっかりまとめて袋に入れ、お客様に持ち帰ってもらうのが前提です。

ほかの団体に寄付したいお客様もいます。長さの条件や送り方は団体によって異なるため、予約の段階で寄付先を聞き、その団体の公式サイトの条件をお客様と一緒に確認してください。

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賛同サロンに登録するには — 条件と申込みの手順

JHD&Cの賛同サロンへの登録は任意で、登録していなくてもドネーションカットはできます。登録する場合は、固定店舗があり、ウィッグカットとドネーションカットに対応でき、認定証を店内に掲示できることが条件です。

  1. 登録できるかを確かめる

    対象は固定店舗のある理美容室です。面貸し(シェアサロン)で働く美容師個人は登録できず、オーナーなど正規に所属するスタッフが申し込みます。新規オープン前や移転前の段階では申し込めず、系列店は1店舗ずつ申し込みます。

  2. 保健所の検査確認済証を用意する

    美容所の開設時に保健所から交付される「検査確認済証」の画像が必要です。ファイルは5MB以内のJPG・PNG・PDFに限られます。開設時の手続きは美容室開業の保健所の検査と基準で確認できます。

  3. 専用フォームで申し込む

    同意書(免責事項)、サロンレギュレーション、カットの方法の資料を読み、同意したうえで入力します。入力内容がそのまま掲載され、登録は自動で行われます。完了の連絡はないため、約1か月たっても掲載されなければ賛同サロン係に問い合わせます。

  4. 認定証を掲示し、マイページを管理する

    店内に賛同サロン認定証を掲示します。マイページでは店舗情報やメニューを修正でき、60日に1回以上のログインが推奨されています。ログインが確認できない状態が続くと掲載解除・退会扱いになり、申し出がなければ登録は毎年自動で更新されます。

  5. ウィッグカットにも対応するかを決める

    医療用ウィッグのカットを受ける「ウィッグカットサロン」として登録するには、ウィッグカットの経験があるか、JHD&Cの講習を受ける必要があります。受講したサロンには受講証明書が発行されます。

JHD&Cは、サロンで起きたカットのトラブルや損害には対応しないとしています。仕上がりの長さをめぐる行き違いに備えて、予約時の説明の仕方と、店が入っている賠償責任保険の補償範囲を確認しておきましょう。公式の募金箱を置く店は、集めた募金を年2回(2月末と8月末が目安)振り込み、紛失や盗難への対策も店の責任で行います。

ドネーションカットの手順 — 予約から持ち帰りまで

ドネーションカットは、乾いた髪を小さな束に分けてゴムで強めに結び、結び目の1cm上で切るのが基本です。シャンプーはカットの後に行い、毛束は袋に入れてお客様に持ち帰ってもらいます。

  1. 予約時に寄付先と長さを確認する

    寄付先の団体、今の長さ、仕上がりの希望を聞き、条件を満たせるかを見立てます。LINEで後ろ姿の写真を送ってもらうと見立てやすくなります。当日は髪を濡らさずに来てもらい、店でもカット前にシャンプーはしないと伝えます。汗やスタイリング剤が付いていても問題ないとされています。

  2. 仕上がりの位置から逆算して測る

    仕上がりの長さを決め、そこから毛先までが31cm以上あるかを測ります。くせ毛やパーマは軽く伸ばして測ります。届かない場合は、仕上がりを短くするか、今回は見送って伸ばすかをお客様に選んでもらいます。

  3. ブロッキングしてゴムで結ぶ

    髪を小さな束に分け、ゴムで強めに結びます。束が太いとハサミが斜めに入って十分な長さが取れず、結び目が緩いと輸送中に髪がばらけます。

  4. 結び目の1cm上で切る

    結び目のすぐ上ではなく、1cm上で切ります。切った束は結び目をほどかず、そのままの状態で置いておきます。

  5. 毛束をまとめて渡す

    同じお客様の毛束をまとめ、ビニール袋などに入れて渡します。ドナーシート(任意)は公式サイトから入手できること、追跡できる方法で本人が送ること、送付先は発送前に公式サイトで最新のものを確認することを伝えます。

  6. 仕上げのカットとシャンプーをする

    長さを大きく変えた後なので、鏡で後ろ姿も見せながら仕上がりを確認します。髪型が大きく変わるため、ホームケアやスタイリングの方法もあわせて伝えます。

カット前後の写真をSNSやブログに載せる場合は、お客様の掲載許可を取ります。顔が写らない後ろ姿でも、同意を得てから載せるのが原則です。同意の取り方は写真撮影と掲載許可の取り方で例を紹介しています。

ドネーションカットの料金はどう決めるか

ドネーションカットの料金に決まりはなく、店が設定し、予約時に説明して双方が納得したうえで行うとJHD&Cは案内しています。決めるときの分かれ目は、通常のカットより増える作業時間を料金に反映するかどうかです。

料金の決め方 内容 向く店・注意点
通常のカット料金のまま ブロッキングと結束の手間を料金に乗せない 寄付を後押ししたい店。増える時間の負担は店が持つ
通常カット+準備料 束に分けて結ぶ時間の分を加える 追加の理由を予約時に説明できるようにする
専用メニューにする カット・シャンプー・ブローをまとめた料金にする メニュー表や予約サイトで探してもらいやすい
割引する 寄付に協力するお客様への割引 期間と条件を決める。表示は税込の総額で

試算 — 増える作業時間から準備料を考える(仮の設定)

スタイリストの時間単価(1時間あたりの売上目標)が6,000円の店で、ブロッキングと結束に通常より20分多くかかるとします。準備料の目安は「増える時間(分)÷60×時間単価」で、20分÷60×6,000円=2,000円です。

この金額をそのまま乗せるか、半分の1,000円にして残りを店の社会貢献として負担するかは、店の考え方で決めます。数字は仮の設定です。時間単価の出し方は時間単価の出し方と上げ方、料金の書き方は美容室の料金表示のルールを参照してください。

告知の方法と表現の注意

告知では、対応している団体名、条件、料金、毛束はお客様が自分で送ることを正確に書きます。「店から団体に送ります」「必ずウィッグになります」のように、事実と違う期待を持たせる表現は避けてください。

書いてよい表現 避ける表現 理由
「JHD&Cの条件(31cm以上)に沿ってカットします」 「当店からJHD&Cへお送りします」 サロンからの代理送付は受け付けていない
「JHD&Cの賛同サロンに登録しています」(登録済みの場合のみ) 登録していないのに「賛同サロン」「公式サロン」と名乗る 登録の有無は団体の検索ページで誰でも確認できる
「カット後の毛束はお持ち帰りいただき、ご自身で発送をお願いしています」 「寄付した髪で〇〇ちゃんのウィッグができました」 寄付した髪の行き先は個別には分からず、受け取る側の個人が特定されるおそれもある
「ドネーションカット 〇〇円(税込)」と条件を並べて書く 「ヘアドネーション無料」だけを大きく書き、条件を小さく書く 条件を後から知ると、行き違いやトラブルになる

団体のロゴを店の告知物に使いたい場合は、使ってよいかを団体に確認してから使います。賛同サロン認定証の掲示は登録の条件ですが、ロゴを広告に使うことまで認められているとは限りません。

告知する場所は、店のホームページやブログ、Instagram、Googleビジネスプロフィール、LINEのあいさつメッセージなどです。「ヘアドネーション 地域名」で探す人に向けて、条件と手順をまとめたページを1つ作っておくと、問い合わせへの返信もそのページを案内するだけで済みます。書き方は美容室のブログの書き方、ほかの集客の手段との組み合わせは集客アイデア一覧で整理しています。

ドネーションカットを受ける前に、次の7項目を確認してください。

  • 寄付先の団体の最新の条件(長さ・髪の状態・送り方)を公式サイトで確認した
  • 予約時に、寄付先・今の長さ・仕上がりの希望を聞く項目を決めた
  • 当日は髪を濡らさずに来店してもらうよう伝える文面を用意した
  • ブロッキング・結束・カットの手順をスタッフ全員で共有した
  • 毛束を入れる袋と、発送方法を説明するメモを用意した
  • 料金を決め、税込の総額でメニュー表と予約サイトに載せた
  • 告知文に「店から送ります」など事実と違う表現がない

よくある質問

賛同サロンに登録していなくても、ドネーションカットはできますか?

できます。JHD&Cの賛同サロンへの登録は任意で、ドナー側の登録手続きも不要です。団体の条件に沿ってカットし、毛束をお客様に返せば、お客様が自分で送れます。

美容室で預かった髪をまとめて団体に送ってもよいですか?

できません。JHD&Cはサロンなど第三者による代理送付の受付を2020年7月に終えており、受け取りを拒否する場合があるとしています。毛束はお客様に返し、本人に発送してもらいます。

カラーやパーマをしている髪でも寄付できますか?

JHD&Cでは寄付できます。白髪やくせ毛も受け付けていますが、軽く引っ張るだけで切れるほど傷んだ髪は使えません。ほかの団体は条件が異なることがあるため、寄付先の公式サイトで確認します。

31cmに少し足りない場合はどうすればよいですか?

JHD&Cでは受け付けていますが、医療用ウィッグには使われません。31cm未満の髪は評価毛などとして販売され、ウィッグ提供の費用に充てられます。ウィッグに使ってほしいお客様には、伸ばしてから切る選択肢も伝えます。

子どもの髪も寄付できますか?

できます。JHD&Cは年齢や性別を問わず受け付けています。ただし長い髪は体の小さな子どもには負担になることがあるため、無理のない範囲で参加するよう案内しています。

ドネーションカットは無料にしたほうがよいですか?

無料にする決まりはありません。料金は店が設定し、予約時にお客様へ説明して、双方が納得したうえで行います。増える作業時間をどこまで料金に反映するかで決めます。

出典:NPO法人JHD&C(Japan Hair Donation & Charity)公式サイト「ヘアドネーション 髪を送りたい(髪の送り方について)」「賛同サロンについて」「よくある質問」「ヘアドネーション送付についてのお願い」(2026年9月30日)。条件や送付先は変わることがあるため、個別の判断は各団体の事務局に確認してください。

ヘアドネーションへの対応は、予約時に寄付先と長さを確かめる手順を決めることから始めてください。料金を決め、条件と手順をまとめた案内を1つ用意すれば、賛同サロンに登録する前からお客様を受け入れられます。

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この記事を書いた人

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