美容室の損益分岐点の出し方|黒字に必要な売上を数字で計算する

美容室の店内の様子

美容室の損益分岐点とは、「利益も損もゼロになる売上」のことです。この金額が分かると、毎月あといくら売れば黒字になるのかが、はっきり見えるようになります。

この記事では、損益分岐点の考え方、簡単な計算方法、数値シミュレーション、そして経営に活かすコツを、美容室の例でわかりやすく解説します。

目次

結論:損益分岐点は「黒字に必要な売上」が分かる指標

損益分岐点は、むずかしい会計用語に見えて、やっていることはシンプルです。かかる費用をちょうど賄える売上はいくらか、を出すだけです。これを超えれば黒字、下回れば赤字になります。

自店の数字を把握することは、経営改善の基本とされています(出典:中小企業庁「中小企業白書」)。損益分岐点は、その中でも「目標がはっきりする」使いやすい指標です。

売上目標を「なんとなく」で置くのと、損益分岐点から逆算して置くのとでは、日々の動き方が変わります。あと何人、あといくらで黒字になるかが見えると、打つ手が具体的になります。

美容室の店内の様子

損益分岐点を考えるときの要素は、次の3つです。

  1. 固定費:売上に関係なくかかる費用(家賃・人件費など)
  2. 変動費:売上に応じて増える費用(材料費など)
  3. 粗利率:売上から変動費を引いて残る割合

この3つがつかめれば、損益分岐点はすぐに計算できます。

損益分岐点の計算方法

計算式そのものは、次の一つだけです。難しく見えますが、当てはめるだけで求められます。

項目 内容
計算式 損益分岐点売上 = 固定費 ÷ 粗利率
固定費 家賃・人件費・リース・水道光熱の基本料など
変動費 カラー剤・薬剤など、売上に比例する費用
粗利率 (売上 − 変動費)÷ 売上

※ 費用の分け方は店や会計処理で異なります。正確な計算や税務は、税理士や会計の専門家に確認してください。ここでの数値は説明のための例です。

まず、費用を「固定費」と「変動費」に分けます。家賃のように毎月ほぼ一定なものが固定費、材料費のように売上が増えると増えるものが変動費です。次に、売上から変動費を引いた割合(粗利率)を出します。あとは、固定費を粗利率で割るだけです。

数字の全体像は、損益計算書で確認できます。損益計算書の読み方は美容室の損益計算書の見方もあわせてご覧ください。

数値でシミュレーション

具体的な数字で見ると、一気に分かりやすくなります。あくまで説明用の例として、次のように置いてみます。

  1. 固定費:月80万円(家賃・人件費など)
  2. 粗利率:80%(売上のうち材料費が20%と仮定)
  3. 損益分岐点売上:80万円 ÷ 0.8 = 月100万円

この例では、月の売上が100万円を超えれば黒字、下回れば赤字ということになります。さらに、客単価が7,000円なら、100万円 ÷ 7,000円で、月に約143人の来店が黒字の目安になる、と人数にも落とし込めます。

ここから見えるのは、固定費を下げるか、粗利率を上げるか、客数・単価を増やすか、という改善の方向です。たとえば材料費を見直して粗利率が上がれば、必要な売上は下がります。数字が、次の一手を教えてくれます。

もう一歩踏み込むと、営業日数でも割れます。月に25日営業なら、100万円 ÷ 25日で、1日あたり約4万円が黒字の目安です。客単価7,000円なら、1日およそ6人。ここまで分解すると、「今日はあと何人」という日々の目標にまで落とし込めます。

大切なのは、この数字を大きすぎず小さすぎず、現実的な水準として受け止めることです。分岐点を大きく超える日もあれば下回る日もあります。月単位でならして、無理なく超えられる状態を目指します。

美容室でのカウンセリングの様子

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損益分岐点を経営に活かす

損益分岐点は、出して終わりでは意味がありません。日々の目標や判断に使ってこそ、価値が出ます。

活用チェックリスト

  • 固定費と変動費を、分けて把握しているか
  • 損益分岐点の売上・人数を出しているか
  • 今月の売上が、その水準を超えているか
  • 固定費・粗利率・単価のどれで改善するか決めているか
  • 値下げの前に、分岐点への影響を確認したか

まず、毎月の売上を損益分岐点と比べる習慣をつけます。超えているか下回っているかが一目で分かると、早めに手を打てます。目標売上も、「黒字ライン+残したい利益」で置くと、根拠のある数字になります。

とくに値下げやクーポンを考えるときは、損益分岐点で確かめます。単価を下げると粗利率が変わり、必要な客数が増えます。割引が「どれだけ客数を増やせば見合うか」を数字で見てから決めると、感覚的な安売りを避けられます。利益を残す全体像は美容室の売上を上げる方法もご覧ください。

やってはいけない損益分岐点の使い方

注意:費用をざっくりまとめて計算すると、実態とずれた分岐点になります。数値の意味は店ごとに異なり、断定はできません。利益を保証する表現や、根拠のない最上級表現も景品表示法の観点で控えましょう。正確な計算は専門家に相談を。

避けたいのは、費用を固定費と変動費に分けずに、ざっくり計算することです。分け方が雑だと、分岐点が実態とずれ、判断を誤ります。

また、損益分岐点を一度出して満足し、その後見直さないのも禁物です。家賃やスタッフ構成が変われば、分岐点も変わります。数字だけを見てスタッフを追い込むのも逆効果で、改善は現場と一緒に考えます。値下げを分岐点で確かめずに始めるのも、利益を削る原因になります。

よくある質問

Q. 損益分岐点とは何ですか?

利益も損もゼロになる売上のことです。これを超えれば黒字、下回れば赤字になります。黒字に必要な売上が分かる指標です。

Q. 計算がむずかしそうです。

式は「固定費 ÷ 粗利率」の一つだけです。費用を固定費と変動費に分け、粗利率を出せば、当てはめるだけで求められます。

Q. 何に使えばいいですか?

毎月の売上と比べて黒字か赤字かを確認したり、目標売上を根拠づけたり、値下げの判断に使ったりできます。

Q. 一人サロンでも役立ちますか?

役立ちます。固定費が明確なぶん計算しやすく、「あと何人で黒字か」が見えると、日々の目標が立てやすくなります。

Q. 正確に出すには?

費用の分け方が鍵です。あいまいな場合は、税理士や会計の専門家に相談すると、実態に合った数字になります。

美容室のスタッフ・チームの様子

次の一手

まずは、毎月ほぼ一定でかかる固定費を書き出し、材料費の割合から粗利率を出してみましょう。固定費を粗利率で割れば、あなたのお店の損益分岐点が見えてきます。そこに客単価を当てれば、黒字に必要な人数まで分かります。

損益分岐点は、黒字に必要な売上が分かる指標です。固定費・変動費・粗利率の3つをつかみ、毎月の売上と比べる習慣をつける。焦らず、まず固定費の書き出しから始めていきましょう。

数字の読み方の基本は美容室の客単価を上げる方法もあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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