美容室の売上の平均はいくらか|規模別の目安と、自店の位置を確かめる手順

美容室の売上の平均を知る目的は、他店と比べることではなく「自店の数字が説明できる状態にあるか」を確かめることです。平均より上でも、利益が残らなければ意味がありません。

この記事では、規模別の目安の作り方、自店の位置の確かめ方、そして平均を見ても分からないことを整理します。

美容室 売上 平均|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の売上の平均は「席数×稼働×単価」で自分で作れる

公表された全国平均をそのまま自店に当てはめても、席数も立地も違うため判断には使えません。平均は借りてくるものではなく、自店の条件から組み立てるものです。

必要なのは3つの数字だけです。席数、1席あたりの1日の施術人数、客単価。この3つで、自店が取り得る売上の上限と、現実的な着地が出ます。

売上そのものの上げ方は美容室の売上を上げる方法で扱っています。この記事は「今の位置を測る」ところに絞ります。

規模別に目安を組み立てる

下の表は、稼働率と客単価を仮に置いて計算した月商の目安です。数字は仮の設定で、地域や客層によって変わります。

規模 席数 1日の施術人数 営業日 客単価 月商の目安
1人店 2席 5人 24日 7,500円 90万円
2人店 3席 9人 25日 7,500円 169万円
4人店 6席 17人 26日 8,000円 354万円
面貸し併用 3席(うち1席貸出) 5人+席料 24日 7,500円 90万円+12万円

この表の使い方は、当てはめることではなくずれの理由を言葉にすることです。1人店で月商60万円なら、稼働(1日3.3人)か単価(5,000円)のどちらがずれているかが分かります。

ずれの原因が稼働なら集客か予約枠の設計、単価ならメニュー構成の問題です。同じ「売上が低い」でも打ち手が変わります。

稼働がずれている場合の見方

1日の施術人数が想定を下回るときは、原因を3つに切り分けます。予約枠が空いているのか、枠はあるのに埋まらないのか、そもそも枠を作っていないのか。この3つは打ち手がまったく違います。

枠が空いている場合は、空いている曜日と時間帯を1か月分だけ書き出してください。平日の午前に集中しているなら、その時間帯に来られる客層(主婦層・シフト勤務・リタイア層)に向けた導線が不足しているという読み方ができます。

枠は埋まっているのに人数が伸びないときは、1人あたりの施術時間が長すぎる可能性があります。カット90分をカット75分に短縮できれば、8時間の営業で施術できる人数は5.3人から6.4人へ増える計算です。ただし短縮が仕上がりの質に影響する場合もあるため、無理に詰めることは勧められません。

単価がずれている場合の見方

客単価が想定より低いときは、平均だけを見ても原因は出ません。メニュー別の構成比を出すと、どこで落ちているかが分かります。

メニュー 単価 構成比 単価への寄与
カットのみ 5,000円 45% 2,250円
カット+カラー 11,000円 30% 3,300円
カット+パーマ 12,000円 10% 1,200円
トリートメント追加 3,000円 15% 450円
合計(平均客単価) 100% 7,200円

この例では、カットのみが45%を占めていることが単価を押し下げています。単価を7,200円から8,000円へ動かしたい場合、値上げをしなくてもカットのみの構成比を45%から35%へ下げるだけで届く計算です。

構成比を動かす手段は、カウンセリングでの提案の順番や、メニュー表の並び順といった運用面にあります。値上げは最後の手段として残しておくほうが、失客の リスク を抑えられます。

季節変動を平均に含めない

美容室の売上は月によって上下します。年末や新学期の前は伸び、2月や8月は落ちる傾向があります。1か月の実績だけで「平均より低い」と判断すると、季節の谷を実力と取り違えることがあります。

判断に使うのは、直近12か月の合計を12で割った数字です。これなら季節の影響が打ち消され、前年同月と比べることもできます。月次の記録の付け方は売上表の作り方にまとめています。

自店の位置を確かめる4つの指標

  1. 1席あたり月商:月商÷席数。席を増やすべきか、埋めるべきかが分かります。
  2. 1人あたり月商:月商÷スタッフ数。増員の判断に直結します。
  3. 営業日1日あたり売上:休みを増減させたときの影響が読めます。
  4. 売上に対する家賃比率:物件が重すぎないかの確認。家賃の目安は家賃は売上の何割かを参照してください。

この4つは、売上の合計を眺めていても出てきません。割り算をして初めて、どこがボトルネックかが見えます。

美容室 売上 平均|美容室でのカウンセリングの様子

売上より先に見るべき「手残り」の計算

売上の平均を気にする場面の多くは、実際には「このままで生活が成り立つか」という不安が出発点です。その不安に答えるのは売上ではなく、固定費を引いたあとに残る額です。

項目 月商90万円の1人店 月商169万円の2人店
材料費(売上の10%) 9万円 17万円
家賃 13万円 22万円
人件費(社会保険料含む) 0円 34万円
水道光熱・通信・広告 11万円 18万円
借入返済(元金) 7万円 10万円
オーナーの手残り 50万円 68万円

月商は79万円の差がありますが、手残りの差は18万円です。売上が2倍近くになっても手取りが比例して増えるわけではない点は、規模を大きくする前に押さえておきたいところです。

この試算では、2人店のほうが1人あたりの負担は軽くなる一方、休みが取りやすくなるという別の価値も生まれます。金額だけで優劣は決まりません。

目標売上を「必要額」から逆算する

  1. 必要な手残りを決める

    生活費28万円+事業用の積立5万円+税金の備え7万円=月40万円。ここを先に決めます。

  2. 固定費を足す

    家賃13万円+水道光熱等11万円+返済7万円=31万円。合計71万円が必要な粗利です。

  3. 材料費率で割り戻す

    材料費が売上の10%なら、71万円÷0.9=約79万円が必要月商になります。

  4. 人数に直す

    単価7,500円なら月105人、営業24日で1日4.4人。ここまで落とすと、達成できるかどうかを判断できます。

この順で出した数字は、他店の平均とは無関係に自分にとっての合格ラインになります。平均より低くても必要額を超えていれば問題はなく、平均より高くても足りなければ手を打つ必要がある、という判断ができます。

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平均を見ても分からない3つのこと

平均売上は、次の3つを教えてくれません。判断を平均だけに預けると、方向を誤ることがあります。

  1. 利益が残っているか

    月商300万円でも人件費と家賃が重ければ手残りは1人店より少ない場合があります。見るべきは売上ではなく、固定費を引いたあとの額です。

  2. その売上が続くか

    新規の割合が5割を超えている月商は、翌年も同じとは限りません。再来店率とセットで見る必要があります。

  3. オーナーの労働時間

    週70時間働いて出した月商150万円と、週50時間で出した150万円は別のものです。時間あたりで割ると実態が見えます。

公表統計をどう使うか

美容業の事業所数や従業者数は、厚生労働省が「衛生行政報告例」として毎年公表しています。総務省・経済産業省の「経済センサス」でも、産業別の事業所数や売上高が集計されています。

これらは市場全体の規模や店舗数の推移をつかむには有効ですが、1店舗あたりの平均をそのまま自店の目標にするのは適していません。集計対象に大型店と個人店が混在しており、中央値ではなく平均が押し上げられる傾向があるためです。

使いどころは「地域の美容所数が増えているか減っているか」といった環境の把握です。自店の目標は、前節の3つの数字から組み立てるほうが実務に合います。

出典:厚生労働省「衛生行政報告例」(美容所数・美容師数の年次統計)、総務省・経済産業省「経済センサス」。制度や統計は改定されることがあるため、実際の判断では最新の公表資料を確認し、必要に応じて税理士・社会保険労務士など専門家にご相談ください。記事内の計算は自分で置いた前提による試算です。

今月やることのチェックリスト

次の5つを、今月の数字で埋めてください。埋まらない項目が、今いちばん把握できていない部分です。

  • 席数・1日の施術人数・客単価の3つを書き出した
  • その3つから計算した「取り得る月商」と実績の差を出した
  • 差の原因が稼働か単価かを1文で説明できる
  • 1席あたり月商と1人あたり月商を計算した
  • 家賃比率を出し、10%を超えていないか確認した

この5つが埋まると、来月の打ち手が1つに絞れます。原価の管理まで進めるなら経費の比率の見方を続けて確認してください。

美容室 売上 平均|美容室のスタッフ・チームの様子

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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