美容室の材料費(原価率)は、売上に対して薬剤やカラー剤などにいくらかかっているかの割合です。数字で把握すると、値上げをしなくても利益を増やせる余地が見えてきます。
この記事では、材料費率の計算方法、上がってしまう原因、そして品質を落とさずに下げる具体策を、数値例つきで解説します。
結論:美容室の材料費は「率」で管理すると下げどころが見える
材料費は、金額だけ見ても判断できません。売上が伸びれば材料費も増えるからです。見るべきは、売上に対する割合=材料費率です。
経営改善では、自店の数字を把握することが基本とされています(出典:中小企業庁「中小企業白書」)。材料費率は、毎月追いかけやすく、改善の効果もすぐ数字に出る指標です。
大切なのは、安い薬剤に変えることではありません。ムダを減らすことです。使いすぎ、余らせ、期限切れ。この3つを減らすだけで、品質を落とさずに率は下がります。

材料費を管理する3つの軸を整理します。
- 計測:材料費率を毎月出して推移を見る
- ムダ:使いすぎ・余り・期限切れを減らす
- 設計:メニュー価格が材料費に見合っているか確認する
この3つを回すと、値上げに頼らず利益を厚くできます。
材料費率の計算方法と数値例
計算はシンプルです。売上に対する材料費の割合を出すだけです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 材料費率 = 材料費 ÷ 売上 × 100 |
| 材料費に含むもの | カラー剤・パーマ液・シャンプー・トリートメントなど |
| 含めないもの | 家賃・人件費(=固定費。別で管理する) |
| 見方 | 前月・前年と比べた推移で判断する |
※ 適正な水準は、メニュー構成(カラー比率など)や単価帯で大きく異なります。他店との単純比較ではなく、自店の推移で判断してください。
数値例で見てみます。月の売上が150万円、材料費が18万円なら、18 ÷ 150 × 100 = 12%。これが翌月に15%へ上がっていたら、売上構成が変わったのか、ムダが増えたのかを確認します。
もう一歩踏み込むなら、メニュー別に見ます。カラーは材料費が高く、カットは低い。カラー比率が上がれば全体の率も上がるため、「率が上がった=ムダが増えた」とは限りません。構成の変化かムダかを分けて考えます。損益全体の見方は美容室の損益計算書の見方もあわせてご覧ください。
材料費率が上がる原因
率が上がるときは、たいてい原因が決まっています。
| 原因 | 起きていること |
|---|---|
| 調合の使いすぎ | 必要量より多く作り、余った分を捨てている |
| 在庫の持ちすぎ | まとめ買いで期限切れや劣化が発生する |
| 仕入れ価格の上昇 | 薬剤の値上がりが反映されていない |
| メニュー構成の変化 | 材料費の高いメニューの比率が上がった |
| 価格設定のズレ | 材料費が上がったのにメニュー価格が据え置き |
いちばん多いのが、調合の使いすぎです。毛量や長さに関わらず同じ量を作っていると、その差がそのまま捨てる量になります。ここは意識するだけで変わる部分です。
次に多いのが在庫です。まとめ買いは単価が下がる一方、使い切れずに期限が過ぎれば結局ムダになります。回転の速さと保管期限を見て、発注量を決めます。
品質を落とさず下げる進め方(3ステップ)
安い薬剤への切り替えは最後の手段です。まずムダから減らします。
-
毎月の材料費率を出す
売上と材料費を月ごとに記録し、推移を見ます。まず現状を数字で把握します。
-
調合量の基準を決める
毛量や長さごとの目安量を決め、スタッフ間で揃えます。作りすぎと捨てる量が減ります。
-
在庫を適正化する
まとめ買いを見直し、回転の遅いものは発注を絞ります。期限切れの廃棄をなくします。

調合量の基準づくりは、効果が出やすい取り組みです。ベテランほど感覚で作りがちなので、まず実際の使用量を記録し、そこから目安を決めます。スタッフ間で差があるなら、揃えるだけで率は下がります。
仕入れの見直しも有効です。同等品質でより条件の良い仕入れ先がないか、定期的に確認します。ただし品質を落とすと、仕上がりと満足度に響き、結果として失客につながります。利益全体の設計は美容室の売上を上げる方法もご覧ください。
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価格設定との関係を確認する
材料費が上がっているのにメニュー価格が据え置きだと、率は上がり続けます。ムダを削っても追いつかない場合は、価格設計の見直しが必要です。
材料費チェックリスト
- 毎月の材料費率を出しているか
- 調合量の目安をスタッフ間で揃えているか
- 在庫の期限切れ・廃棄が出ていないか
- 仕入れ価格の変化を把握しているか
- メニュー価格が材料費に見合っているか
とくに材料費の高いメニューは、価格が見合っているか確認します。原価の高いカラーやトリートメントが赤字寄りになっていないか、メニュー単位で点検します。
値上げに頼らない改善の考え方は美容室の客単価を上げる方法で解説しています。
やってはいけない材料費の下げ方
注意:品質を落とす安価な薬剤への切り替えは、仕上がりと満足度を下げ、失客につながる恐れがあります。適正な水準は店ごとに異なり、断定はできません。利益や効果を保証する表現、根拠のない最上級表現も景品表示法の観点で控えます。
もっとも避けたいのは、品質を犠牲にして安い薬剤に変えることです。目先の率は下がっても、仕上がりが落ちれば再来店が減り、売上そのものが下がります。
必要量を削って施術の質を落とすのも同じです。減らすべきは「捨てている分」であって、「お客様に使う分」ではありません。率だけを見て他店と単純比較するのも避けます。メニュー構成が違えば、適正水準も変わります。
よくある質問
Q. 材料費率はどう計算しますか?
「材料費 ÷ 売上 × 100」で求めます。カラー剤やパーマ液など施術に使うものを材料費とし、家賃や人件費は含めません。
Q. 適正な材料費率の目安はありますか?
メニュー構成や単価帯で大きく変わるため、一律の正解はありません。他店比較よりも、自店の前月・前年からの推移で見るのが実用的です。
Q. 率が上がってきました。何を確認すれば?
まず調合の使いすぎと在庫の期限切れを確認しましょう。次に、カラー比率など売上構成が変わっていないかを見ます。
Q. 安い薬剤に変えるべきですか?
最後の手段です。品質が落ちると仕上がりと再来店に響きます。まずはムダの削減から取り組みましょう。
Q. ムダを削っても率が下がりません。
仕入れ価格の上昇に、メニュー価格が追いついていない可能性があります。原価の高いメニューから、価格設計を点検しましょう。

次の一手
まずは先月の売上と材料費から、自店の材料費率を計算してみましょう。次に、調合で捨てている量がどれくらいあるかを1週間だけ記録します。数字が見えれば、削れるムダがはっきりします。
材料費は、率で管理すると下げどころが見えます。品質は落とさず、ムダから減らす。焦らず、まず今月の率の計算から始めていきましょう。
黒字ラインの把握は美容室の損益分岐点の出し方もあわせてご覧ください。
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