美容室の洗濯機は経費になるか|業務用と家庭用の違いと、水道光熱費の考え方

数字や書類を確認する様子

美容室の洗濯機は、店で使うために購入したものであれば経費になります。判断が分かれるのは、自宅兼店舗で家庭と共用する場合と、価格が10万円を超える場合です。

この記事では、金額ごとの処理、自宅兼店舗での按分、業務用と家庭用の選び方、そして水道光熱費の扱いまでを整理します。

美容室 洗濯機 経費|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の洗濯機の経費処理は「専用か共用か」で決まる

店のタオルを洗うためだけに置いた洗濯機は、事業に必要な設備です。店舗に設置し、店のタオル以外に使っていなければ、購入費も電気代・水道代も事業の支出として説明できます。

難しくなるのは、自宅の洗濯機で店のタオルを洗っている場合と、店の洗濯機で家族の衣類も洗っている場合です。どちらも「事業に使った割合」を出す必要があります。

経費全体の判断基準は美容室で経費にできるもので扱っています。この記事は洗濯機とその周辺費用に絞ります。

美容室は1日に大量のタオルを使うため、洗濯機は「あれば便利な備品」ではなく、営業を成り立たせる設備です。この点は、税務署に説明する際にも軸になります。1日20人の来店で1人3枚使えば60枚、週6日で360枚。家庭用の容量では回しきれないことも、業務上の必要性を示す材料になります。

金額ごとの処理を表で確認する

洗濯機は価格帯が広く、家庭用の5万円台から業務用の40万円超まであります。金額によって、その年に経費にできる額が変わります。

取得価額 処理 その年に経費にできる額 該当する機種の例
10万円未満 その年の経費(消耗品費など) 全額 家庭用の縦型・小型
10万円以上20万円未満 一括償却資産として3年で均等償却する方法も選べます 3分の1 大容量のドラム式
30万円未満 青色申告者は少額減価償却資産の特例の対象となる場合があります(年間300万円が上限) 全額 小型の業務用
30万円以上 固定資産として耐用年数にわたり減価償却 耐用年数に応じた額 業務用・乾燥機一体型

たとえば業務用の洗濯乾燥機を28万円で購入した場合、青色申告であれば特例でその年に28万円全額を経費にできる場合があります。同じ機種を白色申告で購入すると、耐用年数にわたって分割することになります。

ここで判断が必要なのは、その年に全額を落とすことが常に有利とは限らない点です。利益が小さい年に全額を経費にすると、控除しきれずに効果が薄くなることがあります。翌年以降の利益見込みと合わせて選ぶほうが、税負担を平準化しやすくなります。

自宅兼店舗の場合は按分する

自宅の一部を店舗にしている場合、洗濯機を家族と共用することがあります。このとき全額を経費にすると、事業と家事の区別がついていない状態になります。

按分の考え方は、合理的な基準を1つ決めて、それを継続して使うことです。洗濯機の場合は、回した回数か、洗濯物の量で分けるのが説明しやすい方法です。

  1. 1週間だけ回数を記録する

    店のタオル用に何回、家庭用に何回回したかを7日間だけ数えます。例:店12回・家庭9回。

  2. 比率を出す

    12÷21=約57%。端数は切り捨てて55%など、控えめな数字にしておくと説明が通りやすくなります。

  3. その比率を継続して使う

    購入費・電気代・水道代・洗剤代すべてに同じ比率を当てます。項目ごとに比率を変えると、根拠を問われたときに説明できません。

  4. 記録を残す

    7日間の記録用紙を保管し、翌年も同じ方法で見直します。事情が変われば比率も見直します。

按分の考え方全般は家事按分のやり方にまとめています。家賃や電気代と同じ考え方なので、まとめて整理すると作業が一度で済みます。

美容室 洗濯機 経費|美容室でのカウンセリングの様子

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業務用と家庭用のどちらを選ぶか

経費になるかどうかは、業務用でも家庭用でも変わりません。選択の基準は税務ではなく、1日に洗う量と、洗濯にかかる時間です。

項目 家庭用(8kg) 業務用(15kg)
本体価格 90,000円 320,000円
1回の洗濯枚数(タオル) 約35枚 約70枚
1日60枚を洗う回数 2回 1回
1回の所要時間 45分 35分
1日の拘束時間 90分 35分
想定使用年数 5年 8年
1年あたりの本体費用 18,000円 40,000円

本体費用の差は年間22,000円ですが、拘束時間は1日55分短くなります。営業日を月24日とすると月22時間、年間264時間の差です。この時間を施術や店内の作業に充てられるなら、業務用のほうが実質的な負担は軽くなる場合があります。

ただし業務用は設置に専用の電源や排水工事が必要なことがあり、本体価格以外の費用が発生する場合があります。物件の契約前に、設置可否と工事費用を確認しておくほうが安全です。賃貸物件では原状回復の範囲も併せて確認が必要です。

コインランドリーやリース、リネン業者を使う場合

洗濯機を持たずに外部へ出す選択もあります。それぞれ経費の科目と、資金の出方が変わります。

コインランドリーの利用料は、その都度の支出なので雑費または消耗品費として全額が経費です。初期費用がかからない代わりに、1回500円を1日2回、月24日使うと月24,000円、年間288,000円になります。本体を購入した場合の年間費用(業務用で約4万円+ランニング約9万円)と比べると、外部利用のほうが高くつくことが多い計算です。

リースは月々の支払いが賃借料として経費になります。まとまった資金を出さずに業務用機を使える一方、契約期間の途中解約に費用がかかる場合があります。契約年数と、その間に店を移転する可能性を照らして判断してください。

タオルのリネン業者を使う形は、洗濯そのものを外注する方法です。洗濯にかかる時間がゼロになる代わりに、枚数あたりの単価がかかります。スタッフの人数が増えて洗濯が回らなくなった段階で検討する選択肢といえます。

中古で購入した場合の耐用年数

業務用の洗濯機を中古で購入すると、初期費用を抑えられます。この場合、耐用年数は新品と同じではなく、使用済みの期間を考慮して短く見積もる考え方があります。

耐用年数が短くなると、1年あたりに経費にできる額は大きくなります。ただし中古品は故障の可能性が新品より高く、修理費が別途かかることがあります。本体価格の安さだけで判断せず、保証の有無を確認してください。

中古であっても、取得価額が10万円未満ならその年の経費です。20万円の業務用が中古で8万円なら、処理はシンプルになります。

買い替えのタイミングを数字で決める

洗濯機は壊れてから買い替えると、その日の営業に支障が出ます。タオルが回らないと施術そのものが止まるためです。

  1. 使用年数が想定の8割を超えた:業務用8年なら6年目から候補に入れます。
  2. 年間の修理費が本体価格の2割を超えた:32万円の機種で年6.4万円を超えたら、買い替えのほうが安く済む可能性があります。
  3. 1回の洗濯時間が延びてきた:脱水が弱くなると乾燥に時間がかかり、拘束時間が増えます。

この3つのどれかに当てはまったら、壊れる前に予算を確保しておくほうが安全です。予備の資金の持ち方は運転資金の目安を参照してください。

水道光熱費と洗剤代の扱い

洗濯にかかるランニングコストも、事業で使った分は経費です。店舗が独立した契約になっていれば全額、自宅と共用なら前節の比率で按分します。

年間の目安を試算すると、次のようになります。数字は仮の設定で、地域の料金や使用量によって変わります。

  1. 水道代:1回あたり120L、1日2回、月24日で月5,760L。上下水道で月あたり約2,000円。
  2. 電気代:洗濯乾燥で1回あたり60円、1日2回、月24日で月約2,880円。
  3. 洗剤・柔軟剤:月あたり約3,000円。業務用の大容量を使うと単価が下がります。
  4. 年間合計:(2,000+2,880+3,000)×12=約94,560円。本体費用とは別に発生します。

本体を含めた総額で見ると、洗濯まわりだけで年間11万〜13万円規模の支出になります。「タオル代」として意識されにくい費用ですが、経費の比率を見直すときには無視できない大きさです。経費全体の比率管理は経費の比率の見方を参照してください。

出典:国税庁 タックスアンサー「No.2100 減価償却のあらまし」「No.2210 やさしい必要経費の知識」、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例。制度や統計は改定されることがあるため、実際の判断では最新の公表資料を確認し、必要に応じて税理士・社会保険労務士など専門家にご相談ください。記事内の計算は自分で置いた前提による試算です。

記録のチェックリスト

次の5つを購入時と年末に確認してください。これだけ残っていれば、後から説明を求められても対応できます。

  • 設置場所が店舗内か、自宅と共用かを明確にした
  • 取得価額が10万円未満か以上かを確認し、処理方法を決めた
  • 共用の場合、1週間の使用回数を記録して比率を出した
  • 同じ比率を購入費・水道光熱費・洗剤代に一貫して適用した
  • 年間のランニングコストを集計し、翌年の予算に反映した

設備まわりの支出をまとめて整理するなら決算前にやることから着手すると漏れが減ります。

美容室 洗濯機 経費|美容室のスタッフ・チームの様子

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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