美容室の保健所へのスタッフ登録|入社・退職のたびに出す変更届の手順・必要書類・出し忘れの影響

美容室 保健所 スタッフ登録|美容室のスタッフ・チームの様子

美容室でスタッフが入社・退職したら、保健所に「変更届」を出す必要があります。美容所の開設届には従事する美容師の氏名が含まれており、その内容が変わった時点で届出事項の変更にあたるためです。

この記事では、保健所へのスタッフ登録が必要になる場面、届出の手順と書類、自治体で異なる点、出し忘れたときに何が起きるかを、雇う側の実務として整理します。

美容室 保健所 スタッフ登録|美容室のスタッフ・チームの様子
目次

結論:美容室の保健所へのスタッフ登録は「入社・退職のたびに変更届」が基本

美容師法は、美容所を開設するときに都道府県知事(実務上は所轄の保健所)へ届け出ることを定めており、届け出た事項に変更が生じたときは、速やかに届け出ることも同じ条文で求めています。

届出事項には、開設者の氏名・美容所の名称と所在地・構造設備のほか、従事する美容師の氏名と免許に関する情報が含まれます。つまりスタッフの入退社は、そのまま届出事項の変更です。

開設時の届出の流れは美容室開業の届出・手続きの流れ、検査の基準は保健所の検査と基準で扱っています。この記事は開業後のスタッフの出入りに絞ります。

届出が必要になる場面の早見表

場面 届出 主な添付書類 注意点
美容師(有資格者)の入社 変更届(従業者の追加) 美容師免許証の写し(原本提示を求める自治体あり) 免許番号・登録年月日を控えておく
美容師の退職 変更届(従業者の削除) 原則不要(自治体により退職日の記載) 退職日から数えて期限が始まる
アシスタント(免許取得前)の採用 自治体により扱いが異なる 免許がない人は美容行為ができない点は全国共通
管理美容師の交代 変更届(管理美容師の変更) 管理美容師講習の修了証の写し 美容師が常時2人以上いる店は空白期間を作らない
免許取得後にスタイリストへ 変更届(免許情報の追加) 免許証の写し 合格発表から免許証交付までの期間に注意
受付・レセプション専任の採用 原則不要な自治体が多い 「従業者」に含めるかを保健所に確認

表のとおり、美容師免許を持つ人の出入りは全国どこでも届出の対象です。一方で、免許のないアシスタントや受付専任の扱いは自治体の運用で差があります。迷ったら所轄の保健所に電話で確認し、回答をメモに残しておくのが確実です。

変更届の出し方(5ステップ)

  1. 所轄の保健所の様式を入手する

    自治体のサイトに「美容所 変更届」の様式があります。開設時に控えた開設届の写しがあると、届出番号や記載内容をそのまま転記できます。

  2. 入社者の免許情報を集める

    免許証の写しと、免許番号・登録年月日を本人から受け取ります。入社手続きの書類一式に「免許証の写し」を入れておくと、都度頼まずに済みます。

  3. 変更届を記入する

    変更前・変更後の従業者名を並べて書く様式が多く見られます。管理美容師が変わる場合は、その欄も同時に埋めます。

  4. 提出する(窓口・郵送・電子)

    窓口持参が基本ですが、郵送や電子申請に対応する自治体も増えています。手数料は変更届については不要とする自治体が多い一方、開設者の変更など一部の届出は別扱いです。

  5. 控えを保管し、店の名簿と一致させる

    受付印のある控えを開設届と一緒に保管します。同時に、店で備える従業者名簿と保健所への届出内容が一致しているかを確認します。

届出の期限は法律上「速やかに」とされていますが、自治体によっては「変更から10日以内」「30日以内」のように日数を定めている場合があります。所轄の運用を確認し、入社日・退職日を起点に社内の期限を決めておいてください。

美容室 保健所 スタッフ登録|美容室での施術の様子

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管理美容師の要件と、退職で空白ができたときの対応

美容師法では、美容師が常時2人以上いる美容所には管理美容師を置くことが求められています。管理美容師が退職すると、その日から要件を満たさない状態になるため、後任を先に決めておく必要があります。

  1. 後任候補を常に1人は確保する:管理美容師講習は美容師として3年以上の実務経験がある人が受講できる制度で、開催回数が限られる地域もあります。1人体制の店は、退職の申し出があってからでは間に合わないことがあります。
  2. 退職日と後任の届出日をそろえる:前任の削除と後任の追加を同じ変更届で出せば、空白期間が書類上も生じません。
  3. やむを得ず空白ができる場合は保健所に相談する:黙って営業を続けるより、事情を伝えて指示を受けるほうが、後の指導が軽くなる傾向があります。

管理美容師の要件と資格の取り方は美容室の開業に管理美容師は必要かにまとめています。

出し忘れると何が起きるか

変更届の出し忘れは、すぐに営業停止になるような性質のものではありません。しかし、保健所の立入検査や、他の届出(移転・構造変更)のときに発覚し、指導の対象になります。放置が長いほど、届出全体の信頼性を疑われます。

状況 起きやすいこと 先に打てる手
退職者の名前が残ったまま 立入検査で名簿との不一致を指摘される 退職手続きのチェックリストに変更届を入れる
入社者を届け出ていない 免許の確認ができていない店と見なされる 入社初週に届出を出す社内期限を置く
管理美容師の退職後に届出なし 要件未充足として是正指導 後任の講習受講を先に済ませる
無免許者に美容行為をさせていた 美容師法違反として罰則の対象になり得る 免許取得前のアシスタントの業務範囲を文書で決める

最後の行は届出の問題ではなく、免許のない人に施術をさせること自体が禁止されている点の確認です。スタッフ登録の整備は、この線を店として守っていることを示す記録にもなります。免許のない人ができる業務の線引きは求人で免許なしでもできる仕事を参照してください。

出典:厚生労働省「美容師法概要」、e-Gov法令検索 美容師法第11条(美容所の開設の届出、届出事項の変更・廃止の届出)、第12条の3(管理美容師)、美容師法施行規則(開設届出事項)。様式・期限・添付書類は都道府県・保健所設置市ごとに定められているため、実際の手続きでは所轄の保健所の案内を確認してください。記事内の日数の例は自治体の運用例であり、全国一律の基準ではありません。

入社・退職のチェックリストに組み込む

変更届は単体で覚えておくより、入社・退職の手続き一式の中に固定の1項目として入れると漏れません。労務の書類と並べると次のようになります。

  1. 入社時:雇用契約書、労働条件通知書、社会保険・雇用保険の手続き、免許証の写しの受領、保健所への変更届、従業者名簿の更新。
  2. 退職時:退職届の受理、社会保険・雇用保険の資格喪失、源泉徴収票、貸与品と鍵の回収、保健所への変更届、従業者名簿の更新。
  3. 年1回:開設届の控えと現在のスタッフ名簿を突き合わせ、差があれば変更届でそろえる。

社会保険の手続きは美容室の社会保険の加入義務にまとめています。保健所と年金事務所・ハローワークへの届出を同じ日に処理する運用にすると、どれかだけ忘れることが減ります。

複数店舗・面貸しのスタッフはどう扱うか

2店舗以上を経営している場合、届出は美容所ごとに行います。スタッフが店舗間を異動したら、異動元で削除、異動先で追加の変更届が要ります。ヘルプで一時的に他店に入る場合の扱いは自治体で差があるため、頻繁にある店は事前に確認しておきます。

面貸しやシェアサロンで席を借りている美容師についても、その美容所で施術する以上、従業者として届け出る運用を求める自治体が一般的です。雇用契約がないことは届出の要否に影響しません。面貸しの契約で決めておく項目は面貸し契約書に入れる条項の一覧を参照してください。

従業者名簿と健康診断 — 保健所が一緒に見るもの

変更届を出すときに、保健所から従業者の健康状態に関する書類を求められることがあります。開設時に従業者の医師の診断書(結核・皮膚疾患の有無)を求める自治体があり、入社時にも同じ書類を求める運用がある一方、不要とする自治体もあります。

要否は所轄の案内で確認するとして、店側でできる準備は次の3つです。

  1. 従業者名簿を1つにまとめる:氏名・免許番号・入社日・退職日・管理美容師の別を1枚に。届出の控えと並べれば、差分が一目で分かります。
  2. 健康診断の記録を保管する:労働安全衛生法上の雇入時健診・定期健診の結果は、保健所の求めとは別に事業主に保存義務があります。同じファイルに入れておきます。
  3. 提出した日付を名簿に書く:「変更届 提出日」の列を作っておくと、出し忘れが名簿の空欄として見えます。

数字の目安として、スタッフ5名の店で年3回の入退社があれば、変更届は年3回です。1回あたりの作業は30分程度で済むことが多く、手続き自体は重くありません。重くなるのは、数年分をまとめて直すときです。

今週確認する5項目

次の5つを確認し、1つでも「いいえ」があれば今週中に保健所へ連絡してください。

  • 開設届の控えがあり、届出番号と記載内容をすぐ確認できる
  • 現在のスタッフ全員(美容師)が届出内容と一致している
  • 管理美容師の後任候補がいる(美容師2人以上の店)
  • 入社・退職のチェックリストに変更届が入っている
  • 所轄の保健所の届出期限と提出方法をメモしている

保健所へのスタッフ登録は、金額も手間も小さい手続きです。入退社の手続きの中に固定しておくだけで、検査のたびに慌てることがなくなります。

美容室 保健所 スタッフ登録|美容室の店内の様子

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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