美容室の売上の内訳はどう見るか|技術・店販・新規・再来の4つの割合の出し方と、崩れているときの直す順番

美容室 売上 内訳|美容室の店内の様子

美容室の売上の内訳は、「技術と店販」「新規と再来」「メニュー別」「担当別」の4つの割合で見ると、合計額だけでは分からない崩れが見えます。月商が同じでも、内訳が変わっていれば店の状態は変わっています。

この記事では、売上の内訳の出し方、割合の読み方、目安の置き方、内訳が崩れているときにどこから直すかの順番を、美容室の実務に沿って整理します。

美容室 売上 内訳|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の売上の内訳は4つの割合で見て、月ごとの変化で判断する

売上の合計は、上がっていれば安心し、下がれば焦る数字です。しかし合計が同じでも「新規が増えて再来が減った」「店販が減って技術で補った」という入れ替わりは、合計には出てきません。内訳を割合で持っておくと、変化の中身が先に見えます。

割合の目安は店の形で変わるため、他店の数字を当てはめるより、自店の割合を月ごとに並べて「前月・前年同月からどう動いたか」で判断するのが実務的です。売上表そのものの作り方は売上表は何を入れるかで扱っています。この記事は内訳の読み方に絞ります。

4つの内訳と、それぞれが教えてくれること

内訳 出し方 分かること 崩れの兆候
技術と店販 店販売上 ÷ 総売上 施術以外で粗利を積めているか 店販の割合が下がる=提案が止まっている
新規と再来 新規客の売上 ÷ 総売上(客数でも出す) 集客に依存しているか、定着で回っているか 新規の割合が上がり続ける=再来が減っている
メニュー別 カット/カラー/パーマ/トリートメントの売上比 単価と粗利の構造。季節の波 低単価メニューの割合が増える=客単価が下がる前触れ
担当別 スタッフごとの売上 ÷ 総売上 特定の人への依存度 1人が6割超=その人の休みや退職で売上が崩れる

4つのうち、最初に出すべきは「新規と再来」です。この割合が崩れていると、他の3つを直しても売上は安定しません。

内訳を出す手順(4ステップ)

  1. 予約システムかレジから月の売上を4軸で書き出す

    予約システムの集計機能で、店販・新規/再来・メニュー・担当の4つを月次で出します。手書きなら、日報に「新規/再来」「店販あり」の印を付けるだけで集計できます。

  2. 割合に直す

    金額ではなく総売上に対する%にします。月商が増減しても比べられる形にするためです。

  3. 3か月分を横に並べる

    1か月だけでは季節や連休の影響で振れます。3か月並べて、上がり続けている・下がり続けている割合を探します。

  4. 動いた割合を1つだけ選んで手を打つ

    同時に複数を直そうとすると、どの手が効いたか分からなくなります。最も崩れた割合を1つ選び、翌月の数字で効果を見ます。

割合の「目安」を他店やネットの数字に求めると、店の形が違うため判断を誤るおそれがあります。基準は自店の前月・前年同月に置き、外部の数字は参考程度にとどめてください。

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試算で見る — 月商が同じでも内訳で状態が違う

月商120万円の2つの月を比べます。数字は仮の設定です。

内訳 3か月前 今月 読み方
総売上 1,200,000円 1,200,000円 合計は同じ
店販の割合 10%(12万円) 5%(6万円) 提案が減った。粗利で見るとさらに差が出る
新規の割合(売上) 25%(30万円) 40%(48万円) 集客は増えたが、再来が減った分を新規で埋めている
再来の割合(売上) 75%(90万円) 60%(72万円) 定着が崩れている。集客費が増えていれば利益は減っている
カラーの割合 45% 38% 単価の高いメニューが減った
担当Aの割合 55% 65% 依存度が上がった。Aが休むと月商が崩れる

合計は同じでも、今月は「再来が減り、新規で埋め、店販とカラーが落ち、1人に偏った」状態です。合計だけを見ていると、この状態は来月の売上減として初めて表に出ます。

直す順番は、再来の割合(定着)→ 店販の割合(提案)→ メニュー(単価)→ 担当(依存)です。再来の設計はリピート率を上げる方法、店販は店販売上を上げる方法を参照してください。

割合が崩れているときの直す順番

  1. 再来の割合が下がった:初回客の2回目来店率と、来店周期のズレを先に見る。新規を増やす前に、次回提案とフォローの型を直します。
  2. 店販の割合が下がった:提案の場面が固定されているか、スタッフが動ける仕組みがあるかを確認。値引きで戻そうとしない。
  3. 低単価メニューの割合が増えた:メニュー表の見せ方と、カウンセリングでの提案の順番を見直す。値上げは最後の手段。
  4. 担当の偏りが強まった:指名の分散より、新規の割り当てと育成の設計を見る。1人への依存は、その人の待遇の問題ではなく配置の問題です。

出典:国税庁 タックスアンサー「事業所得の課税のしくみ(事業所得)」(タックスアンサー 1350・売上の記帳)、中小企業庁「中小企業の会計に関する基本要領」(売上の区分と管理会計の考え方)。記事内の割合・金額はすべて自分で置いた前提による試算で、業界の統計値ではありません。実際の判断では自店の3か月分の実測で置き換えてください。

内訳を「粗利」でも見ると判断が変わる

売上の内訳は金額の割合ですが、店販は仕入れ値があるため、売上の割合と粗利の割合はずれます。店販売上12万円で粗利率40%なら粗利は4.8万円、技術売上108万円で材料費率10%なら粗利は約97万円です。

店販の割合が下がったときの影響は、売上の割合で見るより粗利で見たほうが小さく出ることがあり、逆に店販の粗利率が高い商品構成なら影響は大きく出ます。月に1度、売上の内訳と粗利の内訳を並べて見ると、どこに手を打つと利益に効くかが分かります。粗利の考え方は店販の歩合の設計にまとめています。

担当別の内訳は「率」と「金額」の両方で見る

担当別の割合は、店の依存度を見る指標です。ただし割合だけを見ると、売上の大きい人を抑えて割合を平らにするという誤った方向に進みかねません。見るのは「Aの割合が上がったのはAが伸びたからか、他が落ちたからか」です。

Aの金額が増えていて他が横ばいなら問題はなく、Aが横ばいで他が減っているなら、他の担当の予約の入り方や新規の割り当てを見直します。担当ごとの1時間あたり売上を並べると、この区別が付きます。人件費との関係は人件費率の目安と適正化を参照してください。

季節で動く割合と、動いてはいけない割合

内訳の割合には、季節で動いて当然のものと、季節に関係なく崩れてはいけないものがあります。この区別を付けないと、3月や12月の数字を見て誤った手を打つおそれがあります。数字は仮の設定です。

割合 季節で動くか 動き方の例 判断のしかた
メニュー別 動く 夏はカラー・トリートメントが増え、年末はパーマが増える 前年同月と比べる。前月比では判断しない
新規の割合 やや動く 3月・4月は引っ越しで新規が増えやすい 新規が増えた月は、その3か月後の再来率を必ず追う
店販の割合 あまり動かない 季節商品で1〜2ポイント上下する程度 3ポイント以上下がったら提案の問題と考える
担当別 動かない 休暇の月を除けば安定する 休暇以外で5ポイント動いたら配置か指名の変化を疑う

季節で動く割合は前年同月と、動かない割合は前月と比べる。この使い分けだけで、内訳の読み違いの大半は避けられる場合が多いです。

1人店・夫婦2人店での内訳の見方

担当が1〜2人の店では、担当別の割合は意味を持ちません。代わりに「新規と再来」「店販」「メニュー別」の3つに絞り、来店客数の内訳も一緒に出すと、単価の変化と客数の変化を分けて見られます。

たとえば再来の売上割合が75%から70%に下がっても、再来の客数割合が変わっていなければ、原因は再来客の単価の低下です。逆に客数割合も下がっていれば、定着の問題です。売上と客数の両方で割合を出すことで、打つ手が「単価」か「定着」かに分かれます。1人店の売上設計は1人美容室の売上はいくら必要かにまとめています。

今月出す数字のチェックリスト

次の6つを今月中に出してください。内訳の判断は、この数字が3か月分そろってから始まります。

  • 店販の割合(売上と粗利の両方)
  • 新規と再来の割合(売上と客数の両方)
  • メニュー別の売上の割合
  • 担当別の売上の割合と、担当ごとの1時間あたり売上
  • 前月・前年同月との差が最も大きい割合
  • その割合に対して、翌月に打つ手を1つ

売上の内訳は、合計の変化より先に店の変化を教えてくれる数字です。4つの割合を月1回並べる習慣が、そのまま経営判断の土台になります。

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売上内訳の月次テンプレートと、崩れた月の切り分け質問10

4つの割合を一度出しても、翌月に同じ形で出せなければ比べられません。記入欄を固定したテンプレートを作り、毎月同じ日に埋めます。目安の数字はすべて自分で置いた前提です。

記入欄 出し方 1人店の目安 2〜3人 5人以上
技術売上比率 技術売上÷総売上 85〜92% 85〜90% 80〜90%
店販比率 店販売上÷総売上 8〜15% 10〜15% 10〜20%
新規売上比率 新規客の売上÷総売上 10〜20% 15〜25% 20〜30%
再来売上比率 再来客の売上÷総売上 80〜90% 75〜85% 70〜80%
補助①客単価 総売上÷客数 前年同月比で見る
補助②新規の2回目来店率 90日以内に再来した新規÷新規数 3割以上を目安
補助③指名比率 指名客数÷客数 スタッフ別に出す
補助④メニュー別構成 カット/カラー/パーマ/その他の売上割合 偏りの把握
補助⑤曜日別売上 曜日ごとの合計 枠の見直しに使う
補助⑥媒体別新規数 来店のきっかけ別の新規数 広告費の配分に使う

内訳が崩れた月の切り分け質問10

  1. 再来比率が下がった:①新規が増えたせいか(分母の問題)、②再来の人数自体が減ったか。
  2. 再来の人数が減った:③周期が延びたのか、④失客が増えたのか(失客分析シートで確認)。
  3. 新規比率が上がった:⑤媒体のキャンペーンか、⑥紹介か。キャンペーン新規なら2回目来店率を翌々月に見る。
  4. 店販比率が下がった:⑦提案の回数が減ったか、⑧在庫切れ・商品の入れ替えか。
  5. 技術売上が下がったのに客数は同じ:⑨メニューの格下げ(カラー→カットのみ)か、⑩値引きの増加か。

四半期で並べる

月次は季節と連休で揺れます。3か月の平均を前年同期と比べると、打ち手の効果が見えます。1〜3月は新規比率が上がり、12月は店販比率が上がるのが一般的で、単月の変動で判断しないようにします。

目安のレンジはすべて自分で置いた前提によるもので、統計値ではありません。売上表の作り方は「売上表の作り方」、客単価の分解は「客単価の計算と分解」、失客の分析は「失客分析と失客率の計算」、店販の設計は「店販の歩合と設計」の記事を参照してください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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