美容室の競合調査のやり方|見るべき5項目と自店の打ち手への落とし込み

美容室でスタイリングを行う様子

美容室の競合調査は、真似する材料を探す作業ではありません。自店が戦わなくていい場所を見つける作業です。他店の強みを追いかけると、価格でも設備でも消耗戦になります。

この記事では、調査する範囲の決め方、見るべき5項目、記録の残し方、そして調べた内容を自店の打ち手に変える手順を解説します。

目次

結論:美容室の競合調査は「空いている場所」を探すために行う

調査の目的をはっきりさせておかないと、他店の情報を集めただけで終わります。集めた結果として何を決めるのか。それは「自店がどこで選ばれるか」です。

周辺の店が全員同じ層を狙っているなら、そこを外した層に振ったほうが、少ない労力で選ばれます。差別化とは、優れていることではなく、違う場所に立つことです。

差別化そのものの考え方は美容室の集客は差別化で決まる、集客の全体像は集客方法完全ガイドで扱っています。

美容室でスタイリングを行う様子

調べる範囲を決める

まず対象を絞ります。全部を調べようとすると終わりません。次の3つの条件で候補を出してください。

第一に、徒歩や自転車で行ける距離にあること。第二に、価格帯が自店と近いこと。第三に、実際にお客様から名前が出ること。3つ目が最も確実な基準です。カウンセリングで「以前はどちらに」と聞けば、自然に集まります。

参考として、地域全体の店舗数を把握しておくと自店の立ち位置が見えます。厚生労働省の「衛生行政報告例」では、都道府県別の美容所数が公表されており、地域の事業所の多さを確認できます。

出典:厚生労働省「衛生行政報告例」。集計年度により数値は異なります。最新の結果は同省の公表資料をご確認ください。

対象は5〜8店舗で十分です。多すぎると比較が雑になり、少なすぎると傾向が読めません。

調査にかける時間もあらかじめ決めておいてください。1店舗あたり15分、全部で2時間程度が目安です。時間を区切らないと、細部に入り込んで肝心の比較にたどり着けません。

調べる時期も揃えることをおすすめします。同じ週のうちに全店を見れば、季節要因やキャンペーンの影響が揃うため、比較の精度が上がります。数か月にまたがって集めた情報は、条件が違うまま並ぶことになります。

見るべき5項目

項目 調べる場所 何が分かるか
価格とメニュー構成 公式サイト・ポータル 狙っている客層
予約の埋まり方 予約サイトの空き状況 需要の強い曜日・時間
口コミの内容 Googleマップ 評価される点と不満点
発信の頻度と中身 SNS・ブログ 力を入れている領域
スタッフ構成 サイトの紹介ページ 回せる席数と得意分野

上表は調査の観点を整理したものです。公開されている情報の範囲で確認してください。

このなかで最も情報量が多いのは口コミです。星の数ではなく、本文を読んでください。褒められている点が、その店の強みです。そして不満点は、自店が拾える余地を示しています。

美容室のヘアモデルの仕上がり

予約の埋まり方も見落とせません。土日だけ埋まっていて平日が空いているなら、地域全体で平日の需要が弱い可能性があります。逆に平日夜が埋まっているなら、その時間に働く層がいるということです。

スタッフ構成からは、その店が回せる客数の上限が読み取れます。スタイリストが2人の店であれば、どれだけ人気でも1日に受けられる数には限りがあります。地域の需要に対して供給が足りていない時間帯があれば、そこが自店の入り口になります。

発信の頻度も重要な手がかりです。更新が止まっている店は、集客に手が回っていない可能性があります。逆に毎日投稿している店は、その領域に力を入れているということです。同じ場所で競うか、別の場所を選ぶかの判断材料になります。

口コミを読むときは、低評価だけでなく高評価の理由も拾ってください。「待ち時間が短い」「説明が丁寧」といった言葉が繰り返し出ていれば、その地域で評価される軸が分かります。技術そのものより接客が評価されている地域もあります。

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記録の残し方

  1. 1店舗1枚にまとめる

    店名、価格帯、強み、弱み、狙っていそうな層の5項目だけを書きます。長文にすると続きません。

  2. 共通点を書き出す

    全店に共通していることを抜き出します。これが「その地域の当たり前」です。

  3. 誰も言っていないことを探す

    共通点の裏返しが、空いている場所になります。ここが自店の候補です。

  4. 3か月後に更新する

    価格改定や新メニューは変わります。一度きりでは意味が薄くなります。

他店を偵察する目的での来店や、口コミへの介入は避けてください。公開されている情報の範囲で調べれば十分です。競合の評判を下げる行為は、法的な問題に加えて、地域での信用も損ないます。

更新のタイミングは、季節の変わり目に合わせると自然です。春と秋は新規出店や価格改定が起きやすく、周辺の状況が動きます。カレンダーに入れておかないと、忙しさに紛れて2年前の情報のまま判断することになります。

調べた内容を打ち手に変える

調査で終わらせないために、次の3つに変換してください。

第一に、メニューの1つを変える。周辺にない切り口のメニューを1つ作ります。全部を変える必要はありません。第二に、発信の内容を変える。他店が言っていないことを、自店の発信の主題にします。第三に、対象の時間帯を変える。空いている曜日や時間に、その層向けの案内を出します。

たとえば周辺の全店がトレンドカラーを打ち出しているなら、髪の傷みを抑える方向で発信するだけで、見え方は変わります。同じ土俵で競うより、選ばれる理由が伝わりやすくなります。

平日の集客を伸ばす具体策はお金をかけない集客方法もあわせてご覧ください。調査で見えた余地に、費用をかけずに手を打つ順番が現実的です。

変換するときのコツは、一度に1つだけ変えることです。メニュー・発信・時間帯を同時に動かすと、何が効いたのか分からなくなります。3か月ごとに1つずつ試すほうが、結果として早く正解に近づきます。

もうひとつ、自店の情報も同じ5項目で書いてみてください。他店と同じ形式で並べると、外から見た自店がどう映るかが分かります。強みだと思っていたことが、実は全店に共通する当たり前だったと気づくことがあります。

3か月後に確認すること

打ち手の効果は、次の3つで判断します。第一に、新規客が来店したきっかけ。第二に、狙った層の来店数。第三に、指名の内容です。

美容室の店内で打ち合わせをするイメージ

ここで大切なのは、狙った層が来ているかを見ることです。新規数が同じでも、狙いどおりの層が増えていれば、その打ち手は効いています。逆に数だけ増えて再来率が低いなら、届いている相手がずれています。

競合調査は、一度やって終わりの作業ではありません。周辺の店も変化します。半年に一度、1時間だけ時間を取って更新する。それくらいの頻度で十分に役立ちます。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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