美容室の周年キャンペーンの設計|割引に頼らず既存客に還元する組み立て方

美容室の店内の様子

美容室の周年キャンペーンで単価を下げてしまうのは、企画の中身を「割引」から考えるからです。周年は、既存客に感謝を伝える機会であって、新規を安く集める機会ではありません。

この記事では、目的の決め方、割引以外の企画の型、告知の設計、そして効果の測り方を解説します。

目次

結論:美容室の周年キャンペーンは「既存客への還元」に絞る

周年の告知に反応するのは、その店に関心がある人です。つまり既存客が中心になります。ここに割引を出すと、通常価格で来ていた方の単価を下げることになります。

周年は、既存客との関係を深める企画にしてください。新規獲得は通常の集客施策で行うほうが、単価も再来率も保てます。

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美容室の店内の様子

もうひとつ、周年は店の歴史を伝える機会でもあります。何年続いているか、どんな思いで始めたか。こうした情報は、価格や技術とは別の選ばれる理由になります。差別化の材料としても機能します。

新規向けの企画は、通常の集客と分けて考えてください。周年に混ぜると目的が曖昧になります。

目的を1つに決める

目的 企画の方向 測る指標
感謝を伝える 特典・お礼の手紙 反応数・来店率
休眠客を戻す 個別の案内 復帰した人数
紹介を増やす 紹介の特典 紹介経由の新規数
単価を上げる 上位メニューの体験 実施率・その後の継続

上表は目的別の整理です。複数を同時に狙うと、企画が散漫になります。

目的を1つに絞る理由は、告知の内容が変わるためです。感謝が目的なら伝え方が中心になり、休眠客を戻すなら送る相手の選定が中心になります。

とくに休眠客を戻す目的で行う場合、周年は連絡する自然な理由になります。「久しぶりに連絡する口実」として使えるため、通常の案内より送りやすくなります。掘り起こしの方法は休眠客を掘り起こす方法にまとめています。

複数の目的を並べたくなりますが、そうすると企画も告知も曖昧になります。「感謝を伝えつつ新規も増やしたい」という設計は、どちらにも届きません。今年は感謝、来年は紹介、というように年ごとに変えるほうが機能します。

目的が決まれば、測る指標も決まります。何をもって成功とするかを先に決めておかないと、終わった後に振り返れません。売上が増えたかどうかだけでは、企画の良し悪しは判断できません。

割引以外の企画の型

  1. 上位メニューの体験。普段選ばない施術を、周年の期間だけ通常メニューに付ける形です。良ければ次回から選ばれます。
  2. 時間をかけた施術。同じメニューでも、予約枠を長めに取って丁寧に行います。費用はかかりません。
  3. お礼の手紙やメッセージ。定型文ではなく、担当者からの一言を添えます。手間はかかりますが印象に残ります。
  4. 店販商品のミニサイズ。試してもらう機会になり、次の購入につながります。

①と②は、単価を下げずに満足度を上げられる形です。とくに②は費用がゼロで、予約の組み方を変えるだけで実施できます。

美容室でヘアスタイルを仕上げる場面

③については、印刷したカードでも手書きの一言でも構いません。形式より、その人に向けた内容が入っているかどうかで印象が変わります。全員分は難しければ、来店回数の多い方に絞る形でも十分です。

④の店販は、普段勧めにくい商品を試してもらう機会にもなります。押し売りにならず、自然な形で体験してもらえます。

企画を考えるときは、翌年も続けられるかを基準にしてください。初回だけ豪華にすると、翌年に見劣りします。毎年同じ形で続けられる規模にしておくほうが、周年そのものが店の恒例になります。

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告知の設計

  1. 対象を決める

    全員か、来店回数が一定以上の方か。目的によって変わります。全員に送ると、特別感が薄れます。

  2. 期間を区切る

    1か月程度が扱いやすい長さです。長すぎると通常メニューとの区別がなくなります。

  3. 2回に分けて伝える

    開始前と期間中盤。1回だけだと、来店周期の関係で届かない方が出ます。

  4. 店内でも伝える

    来店した方に口頭で伝えます。配信を見ていない方にも届きます。

特典の条件は明確に示してください。対象メニュー、併用の可否、期間。表示と実際の適用に差があると、景品表示法上の問題となる可能性があります。また、景品類を提供する場合は金額の制限があるため、内容によっては確認が必要です。

②の時間をかける形は、実施する側の負担も考えて設計してください。全員に長い枠を取ると、その月の受け入れ人数が減ります。対象を絞るか、期間を区切るかで調整してください。

①の上位メニュー体験は、通常価格との差が大きすぎると、以降その価格で受けてもらいにくくなります。体験後の価格を事前に伝え、納得したうえで試してもらう形にしてください。

準備の中で、スタッフの意見を聞く時間も取ってください。日頃お客様と接しているスタッフのほうが、何が喜ばれるかを知っていることがあります。オーナーが1人で決めるより、実施の意欲も変わります。

準備の進め方

周年の日付は毎年決まっています。直前に慌てないよう、2か月前から準備してください。

2か月前に目的と企画を決め、1か月前に告知の文面と対象リストを用意し、2週間前から告知を開始する。この流れなら、通常業務を止めずに進められます。

スタッフとの共有も忘れないでください。何を、誰に、どう伝えるかが共有されていないと、来店した方への案内がばらつきます。

準備の中で最も時間がかかるのは、対象リストの作成です。顧客の分け方は優良顧客のランク分けの基準を参考にしてください。

①の対象については、来店回数で区切ると分かりやすくなります。3回以上の方に手厚く、それ以外には通常の案内、といった形です。ただし線引きを外に見せる必要はありません。内部の運用として使ってください。

②の期間については、繁忙期と重なるかも確認してください。もともと予約が埋まる時期に企画を行っても、枠が足りずに提供できません。閑散期にずらすという判断もあり得ます。

④の店頭での案内は、配信を見ない層に届く唯一の経路になることもあります。

効果の測り方

周年キャンペーンの効果は、期間中の売上だけで判断しないでください。

見るのは3つです。第一に、期間中の来店数と、通常月との差。第二に、特典を利用した方のその後の来店。第三に、実質単価が下がっていないか。

美容室で施術を受けるお客様

2つ目が重要です。周年の期間だけ来店が増えて、その後元に戻るなら、前倒しで来てもらっただけになります。翌々月まで見て判断してください。

周年は、年に一度しかない機会です。割引で数字を作るより、通ってくれている方に何を返せるかを考えるほうが、翌年の関係につながります。まずは目的を1つ決めるところから始めてみてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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