美容室の個人情報の同意文例|カウンセリングシート・LINE・写真掲載でそのまま使える10の文面と、取ってはいけない同意

美容室が個人情報を取るときは、カウンセリングシートに利用目的を明示し(個人情報保護法第21条第2項)、健康状態の情報・写真のSNS掲載・メールの広告配信は目的ごとに同意を取ります。「異議がなければ同意とみなす」形は同意になりません。

カウンセリングシート、LINE公式アカウント、写真掲載、未成年のお客様、施術リスクの説明という場面ごとに、そのまま使える同意文例を10本と、取ってはいけない同意の言い換えをまとめます(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:美容室で同意が必要な場面の早見表

お客様の個人情報を扱うたびに同意書が要るわけではありません。同意が必要なのは、健康に関する情報を取るとき、写真を公開するとき、第三者に渡すとき、メールで広告を送るときの4つが中心で、それ以外は利用目的を示せば足ります。

場面 必要なこと 根拠 文例
カウンセリングシートに氏名・連絡先を書いてもらう 同意は不要。書面に利用目的を明示する 個人情報保護法第21条第2項 文例1
通院・服薬・皮膚の病気など健康状態を書いてもらう 本人の同意を得て取得する 同法第20条第2項 文例2
メール・SMSでキャンペーンを送る 事前の同意と、その記録の保存 特定電子メール法第3条 文例3
LINEで予約受付や来店の案内をする 友だち追加時に利用目的を示す 個人情報保護法第21条 文例4〜6
スタイル写真をSNS・ホームページ・予約サイトに載せる 掲載範囲を示して同意を取る 肖像権(判例)、個人情報保護法第27条 文例7
中学生以下のお客様の情報を取る 保護者の同意を取る 個人情報保護委員会ガイドライン・Q&A 文例8
メーカーのモニター企画などで他社に顧客情報を渡す 提供先・項目を示して同意を取る 個人情報保護法第27条第1項 文例10
予約システムや配信ツールの会社にデータを預ける 同意は不要。委託先を監督する 同法第25条、第27条第5項第1号 文例1に記載

個人情報保護法は、扱う顧客の数に関係なく、顧客名簿やカルテを持つすべての美容室に適用されます。1人で営業している店も例外ではありません。

同意文を作る前に押さえる3つのルール

同意文は、目的を具体的に書く・健康情報は分けて扱う・同意は本人が選んだ形で残すの3点を守れば、法律上の要件を満たせます。

  1. 利用目的はできる限り具体的に書く:個人情報保護法第17条は利用目的を「できる限り特定」するよう求めています。個人情報保護委員会のガイドラインは、「事業活動に用いるため」「お客様のサービスの向上」のような抽象的な書き方では特定したことにならないとしています。
  2. 健康に関する情報は要配慮個人情報として扱う:要配慮個人情報とは、病歴や、医師による診療・調剤を受けたことなど、取扱いに特に配慮が必要な個人情報です(同法第2条第3項、施行令第2条)。「皮膚科で治療中」「薬を服用中」は該当し得るため、取得には本人の同意が必要です(同法第20条第2項)。
  3. 同意は目的ごとに、本人が選んだ形で取る:個人情報保護委員会のQ&Aは、一定期間回答がなかったことだけで一律に同意を得たとすることはできないとしています。チェック欄は最初から空欄にし、目的ごとに分けます。

本人が自分で健康状態を書いて提出した場合は、そのこと自体で取得への同意があったと解されます(個人情報保護委員会ガイドライン通則編)。ただし、何のために聞くのかを示さないと記入をためらうお客様もいるため、文例2のように目的と同意欄を明記しておく方が確実です。店全体の取扱方針はプライバシーポリシーの作り方で整えておくと、同意文はそれを参照するだけで済みます。

カウンセリングシートの同意欄の例文 — 利用目的・健康状態・お知らせ配信

カウンセリングシートには、冒頭の利用目的の表示、健康状態の欄の同意、お知らせ配信の希望の3つを分けて入れます。1つの署名欄でまとめて同意を取ると、どれに同意したのかが分からなくなるためです。

文例1:シート冒頭の利用目的の表示

ご記入いただく個人情報の取り扱いについて
〇〇(店名)は、このシートにご記入いただいた情報を、次の目的にだけ使います。
1. ご予約の確認・変更のご連絡
2. 施術内容の検討と、施術履歴(カルテ)の記録
3. 次回ご来店の目安などのご案内(ご希望の方法は下の欄で伺います)
4. お問い合わせやトラブルへの対応
法令に基づく場合を除き、ご本人の同意なく第三者に提供することはありません。予約管理やお知らせの配信には外部のシステムを利用しており、その運営会社に取り扱いを委託する場合があります。詳しくは店内掲示またはホームページのプライバシーポリシーをご覧ください。

文例2:健康状態の欄(要配慮個人情報の同意)

【安全に施術するための確認】
次の項目は、薬剤によるかぶれなどを防ぎ、安全に施術するためだけに伺います。答えにくい項目は空欄で構いません。ご記入の内容はカルテに記録し、施術を担当するスタッフ以外が見ない形で保管します。
□ これまでにヘアカラーやパーマ液で、かゆみ・かぶれが出たことがある
□ 皮膚科などで治療中、または薬を服用中である(差し支えなければ内容:    )
□ 頭皮に傷・湿疹・強いかゆみがある
□ 妊娠中・授乳中である
□ 上記の内容を、施術の判断とカルテへの記録に使うことに同意します

文例3:お知らせ配信の希望(任意)

【お知らせの受け取り(任意)】
ご希望の方法にチェックしてください。チェックのない方法では、ご予約に関するご連絡以外はお送りしません。
□ LINE(次回ご来店の目安・空き状況・キャンペーン)
□ メール(キャンペーン・新メニューのご案内)
□ SMS(キャンペーン・新メニューのご案内)
□ はがきのDM
受け取りはいつでも止められます。LINEはブロック、メールは本文末尾の配信停止リンク、そのほかは店頭またはお電話でお申し付けください。

メールやSMSでキャンペーンを送るには、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)により、あらかじめ送信への同意を得る必要があります(同法第3条第1項)。同意を得たことを示す記録の保存も義務なので(同条第2項)、チェックを入れたシートは配信を続ける間は捨てないでください。配信するメールには、店名と配信停止の連絡先を表示します(同法第4条)。シート全体の項目設計はカウンセリングシートの作り方を参照してください。

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LINE公式アカウントで使う個人情報の案内文 — 友だち追加・事前相談・配信停止

LINEでは、友だち追加の直後に届くあいさつメッセージで利用目的を伝えるのが最も確実です。予約の照合のために名前や電話番号を聞く時点で個人情報の取得になるため、聞く前に目的を示しておきます。

文例4:あいさつメッセージ(友だち追加時)

友だち追加ありがとうございます。〇〇(店名)です。
このアカウントでは、ご予約の受付・変更のご連絡、次回ご来店の目安、空き状況やキャンペーンのお知らせをお送りします。
ご予約とカルテの照合のため、お名前と電話番号を伺うことがあります。いただいた情報はご予約とご来店のご案内にだけ使い、取り扱いはプライバシーポリシー(URL)のとおりです。
お知らせが不要になったときは、ブロックでいつでも停止できます。

文例5:事前カウンセリングで写真を送ってもらうとき

事前のご相談のため、今の髪の状態が分かる写真(正面・横・後ろ)をお送りください。お顔が写らない角度で構いません。
お送りいただいた写真は、施術内容の検討とカルテへの記録にだけ使い、SNSや広告には使いません。掲載をお願いする場合は、あらためて許可を伺います。
頭皮の状態やお薬など健康に関することは、ご来店時に口頭で伺いますので、メッセージには書かなくて構いません。

文例6:配信停止・情報削除の依頼への返信

ご連絡ありがとうございます。本日〇月〇日をもって、キャンペーンのお知らせの配信を停止しました。ご予約に関するご連絡は、引き続きこちらでお受けします。
カルテの情報の削除をご希望の場合は、削除する範囲を確認のうえ〇営業日以内に対応し、完了したらご連絡します。削除後は過去の施術内容(使用した薬剤など)を参照できなくなる点だけご了承ください。

文例5で健康情報をメッセージに書かせないのは、トーク履歴に要配慮個人情報が残るのを避けるためです。要配慮個人情報を含むデータが漏えいすると、件数が1件でも個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります(個人情報保護法第26条、同法施行規則第7条第1号)。

LINEの配信ツールや予約システムの会社にデータを預けるのは「委託」にあたり、お客様の同意は要りません(同法第27条第5項第1号)。そのかわり、委託先を監督する義務が店に生じます(同法第25条)。スタッフごとの権限設定や退職時の対応はLINEの個人情報管理、事前相談フォームの設計はLINE事前カウンセリング設計で解説しています。

写真撮影・SNS掲載の同意書の例文 — 掲載範囲と取り下げ方を選んでもらう

スタイル写真の同意書は、「どこまで写してよいか」「どこに載せてよいか」「やめたいときどうするか」の3点をお客様に選んでもらう形にします。「掲載してよいですか」の一言だけだと、後で「顔まで出るとは思わなかった」というトラブルになりやすいからです。

文例7:スタイル写真の撮影・掲載の同意書

スタイル写真の撮影・掲載についてのお願い(撮影日: 年 月 日/担当:   )
1. 掲載してよい範囲(いずれかに〇)
 A お顔を含めて掲載してよい
 B お顔が分からない写真(後ろ姿・髪のアップなど)だけ掲載してよい
 C 掲載しない(カルテへの記録のみ)
2. 掲載してよい場所(〇をつけた場所にだけ掲載します)
 当店のInstagram / ホームページ / 予約サイトの店舗ページ / 店内の掲示・印刷物
3. お名前やお住まいの地域など、写真以外の情報は掲載しません。加工は明るさ・色味の補正にとどめ、髪型を実際と違って見せる加工はしません。
4. 掲載をやめたいときは、店頭・LINE・お電話でいつでもお申し付けください。当店が管理する投稿・ページからは〇営業日以内に削除します。すでに配布した印刷物や、第三者が保存・転載したものは回収できない場合があります。
上記の内容に同意します。 お名前(自署):
(18歳未満の方は、保護者の方のお名前もご記入ください)

写真の掲載は、個人情報保護法より先に肖像権の問題になります。顔が分かる写真を本人の承諾なく公開すれば、肖像権の侵害として争われるおそれがあります。カルテに保存した写真を公開する場合は、個人データの第三者提供にあたる可能性もあるため、文例7のように掲載先を特定して同意を取ります。撮影の手順や運用は写真撮影と掲載許可の取り方にまとめています。

未成年のお客様の同意 — 中学生以下は保護者から取る

個人情報保護委員会のQ&Aは、一般的に12歳から15歳までの年齢以下の子どもについては、法定代理人(親権者)から同意を得る必要があるとしています。美容室では「中学生以下は保護者の同意」と決めておくと、現場で迷いません。

文例8:保護者の同意欄(中学生以下のお客様)

【保護者の方へ】
お子さまのカウンセリング内容と施術履歴を、このシートに記載した目的で記録します。アレルギーや皮膚の状態など健康に関する項目は、保護者の方にご確認いただいたうえでご記入ください。
□ 上記の内容を確認し、同意します。
保護者のお名前:      お子さまとの続柄:     ご連絡先:

2026年7月には個人情報保護法の改正法(令和8年法律第56号)が公布されました。16歳未満の本人の個人情報を扱う場合は、同意などを原則として法定代理人から得る規定が設けられ、公布から2年以内に政令で定める日に施行されます。高校1年生の一部も含まれる線引きになるため、子どもの来店が多い店は、今のうちから「16歳未満は保護者の同意」に揃えておくと改正後も書式を変えずに済みます。

取ってはいけない同意 — NG文面と言い換え例

同意書に書いても効力が認められない文面や、トラブルのもとになる文面があります。特に「当店は一切責任を負いません」という免責の一文は、消費者契約法で無効になる条項の典型です。

NGの文面 問題点 言い換え例
「当店の事業活動全般に利用することに同意します」 利用目的が特定されていない(個人情報保護法第17条) 「ご予約のご連絡と施術履歴の記録に使います」と目的を列挙する
「ご回答がない場合は同意したものとみなします」 無回答だけを同意とは扱えない(個人情報保護委員会Q&A) チェック欄を空欄で用意し、本人に選んでもらう
「施術によるトラブルについて、当店は一切責任を負いません」 事業者の損害賠償責任を全部免除する条項は無効(消費者契約法第8条第1項第1号・第3号) リスクの説明を受けた確認書にとどめる(文例9)
「写真は当店が自由に使用し、掲載後の削除には応じません」 消費者の利益を一方的に害する条項として無効とされるおそれ(同法第10条) 掲載先を選んでもらい、取り下げの方法と期限を書く(文例7)
メール受信の同意欄に、最初からチェックが入っている 本人が選んだ記録として弱く、後で争いになりやすい 空欄にして、受け取る方法ごとに選んでもらう(文例3)
「提携先への情報提供に同意いただけない場合は施術できません」 施術に不要な同意を条件にしており、信頼を損なう 施術と切り離した任意の同意にする(文例10)

文例9:施術リスクの説明確認書(ブリーチなど)

本日の施術について、担当者から次の説明を受けました。
・髪の状態によっては、ご希望の色まで明るくならない場合があること
・施術後、髪が乾燥しやすく、切れやすくなる可能性があること
・施術中にしみる、かゆいなどの違和感があれば、すぐに担当者に伝えること
説明を受け、内容を理解したうえで施術を希望します。 お名前(自署):
※当店の過失によって損害が生じた場合は、当店が責任を持って対応いたします。

文例10:他社への情報提供の同意(メーカーのモニター企画など)

□ 〇〇株式会社(提供先)の新商品モニターに参加するため、氏名・年代・髪の状態の記録・施術前後の写真を同社に提供することに同意します。
提供した情報は、同社が商品開発の参考にするためだけに使います。同意しなくても、通常の施術やサービスは変わりなく受けられます。

文例9のような確認書は、説明したことの記録としては役立ちますが、店の責任を消すものではありません。かぶれや薬剤事故が起きたときは、確認書の有無にかかわらず、受診の案内と誠実な対応が必要です。

同意を取った後の管理 — 記録・撤回・保管のチェックリスト

同意は取って終わりではなく、誰が・いつ・何に同意したかを後から確認できる状態にしておくことが大切です。撤回の申し出に応じられるのも、記録が残っていてこそです。

同意の運用を次の8項目で点検してください。

  • カウンセリングシートの冒頭に、利用目的を具体的に書いている
  • 健康状態の欄に、聞く目的と同意のチェック欄がある
  • メール・SMSの配信は、本人がチェックした人にだけ送っている
  • 同意のチェックが入ったシートを、配信を続ける間は保管している
  • 写真の同意書に、掲載範囲・掲載場所・取り下げ方法が書いてある
  • 中学生以下のお客様は、保護者の同意を取っている
  • 配信停止や写真の取り下げを受けたら、対応日をカルテに記録している
  • 健康情報や写真を、LINEのトークや個人のスマホに残したままにしていない

カルテや同意書をいつまで残すかは法律で一律には決まっていないため、店のルールとして決めます。考え方はカルテの保管期間で整理しています。

よくある質問

カウンセリングシートに同意の署名欄は必ず必要ですか?

氏名や連絡先を書いてもらうだけなら、同意の署名欄は必須ではありません。書面で個人情報を取るときに必要なのは、利用目的をあらかじめ明示することです。健康状態を書いてもらう欄、写真の掲載、メールでの広告配信には、別に同意欄を設けます。

口頭で同意をもらうだけでもよいですか?

個人情報保護法上は口頭の同意も有効ですが、記録が残らないため後から確認できません。少なくともカルテに日付と同意した内容を残してください。メールやSMSで広告を送る場合は、同意を得た記録の保存が特定電子メール法で義務づけられています。

LINEの友だち追加だけで、個人情報の同意を得たことになりますか?

なりません。友だち追加はLINEでお知らせを受け取る意思表示にすぎず、写真の掲載や健康情報の取得への同意にはあたりません。あいさつメッセージで利用目的を伝え、写真の掲載や健康情報は別に同意を取ります。

お客様から「データを消してほしい」と言われたら、必ず応じる義務がありますか?

法律上、消去の請求に応じる義務があるのは、目的外に使っている、不正に取得した、店が利用する必要がなくなったなど一定の場合です(個人情報保護法第35条)。ただし、配信の停止や写真の取り下げは、同意文で約束した範囲で速やかに対応するのが信頼を保つうえで重要です。

顔が写っていない写真なら、掲載に同意は要りませんか?

法的に同意が必須とまではいえませんが、取っておくのが安全です。顔が写っていなくても、髪型や服装、タトゥーなどで本人と分かる場合があります。文例7のように「顔が分からない写真だけ掲載可」という選択肢を用意すると、断られにくくなります。

出典:個人情報の保護に関する法律第2条・第17条・第20条・第21条・第25条・第26条・第27条・第35条、同法施行令第2条、同法施行規則第7条、個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(令和8年法律第56号)、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」「同ガイドラインに関するQ&A」(Q1-60・Q1-62)、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第3条・第4条、消費者契約法第8条・第10条(e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」、個人情報保護委員会「ガイドライン(通則編)」)。個別の判断は弁護士か個人情報保護委員会の相談窓口に確認してください。

同意文は目的ごとに分けて、本人に選んでもらう形にするのが基本です。まずはカウンセリングシートの冒頭に文例1を入れ、健康状態とお知らせ配信の欄を文例2・3の形に分けるところから始めてください。

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この記事を書いた人

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