美容師免許は、国家試験の合格後に理容師美容師試験研修センターへ申請し、美容師名簿に登録された時点で効力が生じます。新規登録の費用は登録免許税9,000円と手数料5,200円の計14,200円で、免許証は受付から概ね2〜4週間で届きます。
合格後の名簿登録の手順と書類、登録前に働けない業務の範囲、結婚で姓が変わったときの書換え、紛失時の再交付、採用する店側が確認することまでを順に整理します(2026年10月時点の情報です)。
結論:美容師免許の手続き早見表(登録・書換え・再交付)
美容師免許の手続きは、新規登録・書換え交付・再交付の3つが中心です。どれも窓口は公益財団法人理容師美容師試験研修センター(以下、試験研修センター)で、保健所や都道府県ではありません。
| 手続き | 必要になる場面 | 費用 | 期限・目安 |
|---|---|---|---|
| 新規登録(名簿登録) | 国家試験に合格し、初めて免許を受けるとき | 登録免許税9,000円+登録手数料5,200円 | 期限なし。登録されるまで美容の業はできない |
| 名簿訂正・書換え交付 | 結婚・離婚で氏名が変わった、本籍を他の都道府県に移した | 登録免許税1,000円+書換え手数料3,750円 | 名簿の訂正は変更から30日以内 |
| 再交付 | 免許証を紛失した、破れた・汚れた | 再交付手数料4,150円 | 期限なし。紛失した免許証が見つかったら5日以内に返納 |
| 旧姓の併記のみ | 氏名は変わらないが、免許証に旧姓を載せたい | 書換え手数料3,750円(収入印紙は不要) | 任意 |
| 登録消除 | 美容師が死亡した、失踪宣告を受けた | 手数料の記載なし | 戸籍法上の届出義務者が30日以内に申請 |
手数料は美容師法施行令第3条、登録免許税は登録免許税法別表第一第32号(十七)で定められた金額です。住所の変更だけなら手続きは要りません。住所は美容師名簿の登録事項に入っていないためです(美容師法施行規則第2条)。
国家試験に合格したら何をするか — 美容師名簿への登録申請の手順
合格したら、合格通知書に同封されている免許申請書に書類と費用を添えて試験研修センターに申請します。美容師の免許は「美容師名簿に登録することによつて行う」と定められており(美容師法第5条の2)、合格しただけでは免許を受けたことになりません。
新規登録で必要な書類と費用
| 書類・費用 | 内容 | 有効期間・注意点 |
|---|---|---|
| 免許申請書 | 合格通知書に同封。紛失時はセンターのサイトから入手 | 同封のバーコード付き申請書の方が免許証の発送が早い |
| 戸籍抄本(謄本)または本籍記載の住民票 | 本籍地の市区町村、または住所地の市区町村で取得 | 発行から6か月以内。本籍が「省略」の住民票は不可。マイナンバーの記載がないもの |
| 医師の診断書 | 精神の機能の障害の有無について医師が作成(センターの様式あり) | 診断日から3か月以内。歯科では作成できない |
| 収入印紙(登録免許税) | 9,000円分 | オンライン申請の場合は専用の貼付用紙を使う |
| 登録手数料 | 5,200円 | 郵送申請は郵便局の払込取扱票で支払う(ネットバンキング不可) |
| 旧姓・通称の併記を希望する場合 | その氏名が記載された戸籍抄本または住民票 | 発行から6か月以内。希望しなければ不要 |
2000年(平成12年)3月以前に合格した人は、合格証書のコピーも必要です。合格に有効期限はなく、何年前に合格していても同じ手順で申請できます。
申請の流れ(郵送とオンライン)
-
合格発表前に診断書と住民票をそろえる
診断書は合格発表前に受診しても構いません。有効期間が3か月あるので、発表の1〜2か月前に用意しておくと発表直後に申請できます。
-
申請方法を選ぶ
試験研修センターでは、免許の新規申請・書換え・再交付をオンラインでも受け付けています。オンラインはクレジットカードやスマホ決済などのキャッシュレス決済ができる人に限られ、表示額にはシステム利用料が含まれます。郵送の場合は郵便局で手数料を払い込み、簡易書留で送ります。
-
免許証の到着を待つ
免許証は申請書の受付後、概ね2〜4週間で届きます。正式には、試験研修センターが交付するものは「美容師免許証明書」と呼ばれます(美容師法第5条の4)。
-
勤務先に免許証を見せ、保健所への届出に回してもらう
勤務先の美容所は、従業者の氏名と登録番号を保健所に届け出ています(美容師法施行規則第19条第1項第5号)。登録番号は免許証で確認するため、届いたらすぐに店へ渡します。
試算 — 新規登録にかかる費用の合計(仮の設定)
法令で決まっている部分は、登録免許税9,000円と登録手数料5,200円の計14,200円です。これに診断書の費用を3,000円、住民票の交付手数料を300円、払込手数料と郵送料を合わせて600円と置くと、合計は約18,100円になります。診断書や住民票の金額は医療機関や自治体によって異なるため、ここでの数字は自分で置いた仮の前提です。
登録まで何日かかり、いつから美容師として働けるか
美容師名簿に登録されるまでは、美容師として施術することはできません。免許証は受付から概ね2〜4週間で届くため、合格発表から実際に施術に入れるまでには1か月前後の空白が生じるのが一般的です。
美容師法第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定め、違反は30万円以下の罰金の対象です(同法第18条)。無資格者に美容を行わせた美容所は、保健所から閉鎖を命じられることもあります(同法第15条)。シャンプーも美容行為に当たり、美容師が行う必要があるというのが厚生労働省の見解です。
登録前(合格しただけ)の新人に任せられる業務
- 任せられない:カット・カラー剤の塗布・パーマ・ブロー・シャンプー・ヘッドスパなど、お客様の髪に施す作業
- 任せられる:受付・会計・予約の電話対応
- 任せられる:清掃・タオルの洗濯・薬剤の在庫整理
- 任せられる:ウィッグでの練習
4月入社の新卒スタッフは、春に実施される試験の合格発表(例年3月下旬)を受けて申請するため、入社日に免許証が届いていないことが多くなります。登録までの期間は、受付や清掃、練習を中心にしたシフトを組んでおきます。免許がなくてもできる業務の線引きは免許なしでもできる仕事の範囲で詳しく整理しています。
| 時期(仮の設定) | 本人がやること | 店がやること |
|---|---|---|
| 合格発表の1〜2か月前 | 診断書の受診、本籍入りの住民票の取得 | 入社後の業務を「登録前」と「登録後」に分けて決める |
| 合格発表の当日〜数日後 | 同封の申請書で申請(オンラインならその日のうちも可) | 申請日を本人に確認し、到着予定を把握する |
| 受付から2〜4週間後 | 免許証を受け取り、店に提示する | 原本で氏名・登録番号・登録年月日を確認する |
| 免許証の確認後すぐ | 診断書(保健所用)を用意する | 保健所に従業者の変更届を出し、施術デビューの段取りを組む |
登録が遅れると、もう1つ影響が出ます。管理美容師になるには「免許を受けた後三年以上」美容の業務に従事する必要があり(美容師法第12条の3第2項)、3年は登録年月日から数えます。将来店長や独立を考えるなら、合格後すぐに登録しておく方が有利です。管理美容師の要件は管理美容師は必要かで解説しています。
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結婚・離婚で姓が変わったときの書換え — 30日以内に名簿の訂正を申請する
氏名が変わったら、変更から30日以内に美容師名簿の訂正を申請しなければなりません(美容師法施行規則第3条第1項)。実務では、試験研修センターの「名簿訂正・免許証書換え交付申請書」1枚で、名簿の訂正と免許証の書換えをまとめて行います。
書換えで必要な書類と費用
- 名簿訂正・免許証書換え交付申請書(美容師用)
- 今の免許証の原本
- 戸籍抄本(謄本)または本籍記載の住民票(発行から6か月以内)
- 収入印紙1,000円分(名簿の登録事項変更に係る登録免許税)
- 書換え交付手数料3,750円(郵便局で払込み)
費用は合計4,750円です。旧姓を免許証に併記したい場合は、旧姓が記載された戸籍抄本か住民票を一緒に出します。
| 変わったこと | 必要な手続き | 収入印紙 |
|---|---|---|
| 結婚・離婚で姓が変わった | 名簿訂正・書換え交付(30日以内) | 1,000円 |
| 本籍を他の都道府県へ移した | 名簿訂正・書換え交付(30日以内) | 1,000円 |
| 本籍を同じ都道府県内で移した | 不要 | — |
| 住所だけが変わった | 不要 | — |
| 氏名は同じで、旧姓の併記だけを追加・変更したい | 書換え交付のみ | 不要 |
| 姓が変わったうえ、免許証もなくした | 名簿訂正+再交付(書換え交付は不要) | 1,000円 |
本籍の変更で手続きが要るのは、都道府県をまたぐ場合だけです。名簿に登録されているのは本籍の「都道府県」までだからです(美容師法施行規則第2条第2号)。名簿の訂正に罰則はありませんが、免許証と現在の氏名が食い違うと、転職時や保健所への届出の際に本人確認で手間取ります。
免許証をなくした・破れたときの再交付 — 手数料4,150円
免許証を紛失したり、破れたり汚れたりしたときは、再交付手数料4,150円で再交付を申請できます(美容師法施行規則第6条、同法施行令第3条第3号)。破れた・汚れた免許証は申請書に添えて返します。
- 紛失した場合:再交付申請書と手数料4,150円を送ります。氏名や本籍の都道府県が変わっていれば、名簿訂正の申請と収入印紙1,000円も必要です。
- 見つかった場合:再交付を受けた後に古い免許証が出てきたら、5日以内に返納します(美容師法施行規則第6条第5項)。
- 都道府県知事が交付した古い免許証の場合:1998年(平成10年)3月以前の免許も今も有効です。書換えや再交付をすると、厚生労働大臣の免許証に切り替わります。
- 英文の証明が必要な場合:海外で働く準備などには、別に英訳文証明(手数料1,150円)を申請できます。
再交付には数週間かかるため、転職や独立の予定があるなら、免許証の保管場所を早めに確認しておきます。免許証は採用面接や保健所への届出で原本を求められる場面が多い書類です。
店側が確認すること — 美容師名簿の登録と保健所への従業者の届出は別の手続き
美容師名簿への登録は本人が国(試験研修センター)に行う手続きで、保健所への従業者の届出は店(美容所の開設者)が行う手続きです。どちらか一方だけでは足りません。
| 比較項目 | 美容師名簿の登録 | 保健所への従業者の届出 |
|---|---|---|
| 誰が出すか | 美容師本人 | 美容所の開設者(オーナー) |
| 出す先 | 試験研修センター | 美容所の所在地を管轄する保健所 |
| 何のためか | 美容師の免許そのものを受ける | どの美容所で誰が働いているかを届け出る |
| 根拠 | 美容師法第5条の2 | 美容師法第11条第2項、同法施行規則第20条 |
| 添付する診断書 | 精神の機能の障害の有無 | 結核・皮膚疾患などの伝染性疾病の有無 |
2つの手続きで求められる診断書は内容が違います。名簿登録用の診断書を保健所に流用することはできないため、入社時に保健所用の診断書が必要かを管轄の保健所に確認します。届出の書式や添付書類は自治体ごとに異なり、手順は保健所へのスタッフ登録と保健所に出す診断書で解説しています。
免許の登録状況は、個人情報のため電話では教えてもらえません。名簿を閲覧できるのは、写真付きの公的証明書を持参した本人に限られます。店側は免許証の原本を見て確認するのが基本です。
美容師を採用したら、次の7項目を確認してください。
- 免許証の原本で、氏名・登録番号・登録年月日を確認した
- 免許証のコピーは本人に利用目的を伝えて取り、保管場所と閲覧できる人を限っている
- 登録前の新卒には、シャンプーを含む施術を任せていない
- 登録番号が分かった時点で、保健所に従業者の変更届を出した
- 姓が変わったスタッフに、30日以内の名簿訂正を案内した
- スタッフの氏名変更や退職のときも、保健所に変更届を出している
- 管理美容師の候補者について、登録年月日から3年の経過時期を把握している
新卒の受け入れ全体の段取りは新卒採用の方法にまとめています。
よくある質問
美容師国家試験の合格に有効期限はありますか?
ありません。合格に有効期限はなく、合格通知書に同封された申請書は何年前のものでも使えます。ただし、美容師名簿に登録するまでは美容師として施術することはできません。
免許証が届く前に登録番号を知る方法はありますか?
あります。申請時に返信用封筒と「受付書希望」と書いたメモを同封すると、不備がなければ登録番号と登録年月日を記入した申請書の写しが返送されます。ただし届くのは免許証の到着の3〜4日前程度で、電話での問い合わせには回答されません。
引っ越して住所が変わったら免許の手続きは必要ですか?
不要です。住所は美容師名簿の登録事項ではないため、名簿訂正も免許証の書換えも要りません。本籍を他の都道府県に移した場合は、30日以内に名簿訂正の申請が必要です。
結婚後も旧姓で仕事を続けたい場合はどうすればよいですか?
免許証に旧姓を併記できます。氏名の変更に伴う名簿訂正・書換え交付の申請時に、旧姓が記載された戸籍抄本か住民票を添付すると、新しい氏名と旧姓が併記された免許証が交付されます。
美容師免許の申請はオンラインでもできますか?
できます。試験研修センターでは新規申請と書換え・再交付をオンラインで受け付けています。ただし手数料の支払いはクレジットカードやスマホ決済などのキャッシュレス決済に限られ、事前のユーザー登録が必要です。
出典:美容師法第2条・第5条・第5条の2・第5条の4・第6条・第11条・第12条の3・第15条・第18条、美容師法施行令第3条、美容師法施行規則第2条・第3条・第4条・第6条・第19条・第20条、登録免許税法別表第一第32号(十七)、公益財団法人理容師美容師試験研修センター「免許に関する申請手続きについて」「免許申請に関するよくある質問」(試験研修センター「免許に関する申請手続き」、e-Gov法令検索「美容師法」)。手数料・書類は改定されることがあるため、申請前に試験研修センターの最新の案内を確認してください。
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