美容師の有効求人倍率の推移|2025年は3.15倍。求人1件に求職者0.32人から採用を逆算する

ハローワークの統計で、美容師を含む「生活衛生サービス職業従事者」の有効求人倍率(パートタイムを含む常用)は2025年平均で3.15倍、全職業の1.12倍の約2.8倍で、裏返すと求人1件に対して仕事を探している人は約0.32人しかいません。2018年の4.52倍(旧分類)をピークに下がったものの2023年以降も3倍台が続いているため、欠員が出てから募集するのではなく、必要な応募数と期間を逆算して早めに求人を出すことが採用の前提になります(厚生労働省「一般職業紹介状況」)。

有効求人倍率の意味と推移、雇用形態別・月別の倍率、求人数と求職者数の変化、店の状況別の判断表、採用までの期間と応募数を逆算する試算、求人票の書き換え例、数字の読み違いでつまずく点を整理します(2026年10月時点で公表されている数字です)。

目次

結論:美容師の有効求人倍率の早見表

美容師だけの倍率は公表されていないため、美容師・理容師などを含む中分類「生活衛生サービス職業従事者」の倍率で見ます。主な数字を一覧にします。

項目 数値 根拠・補足
2025年平均(パート含む常用) 3.15倍(職業計1.12倍) 一般職業紹介状況 第21表
求人1件あたりの求職者 約0.32人(職業計は約0.89人) 有効求職者数10,421人÷有効求人数32,865人
直近の月(2026年8月) 3.13倍(職業計1.06倍) 季節調整をしていない実数
2025年度平均 3.13倍(職業計1.10倍) 年度(4月〜翌3月)の平均
ピーク(旧分類) 2018年の4.52倍 2013年は2.15倍
パートを除く常用(2025年) 2.93倍(職業計1.21倍) 正社員を中心とする求人・求職
常用的パート(2025年) 3.56倍(職業計0.98倍) パートの求人のほうが倍率が高い
数字の範囲 ハローワークで受け付けた求人・求職だけ 求人サイト・学校求人・紹介は含まない

有効求人倍率とは — 求職者1人あたり何件の求人があるか

有効求人倍率とは、ハローワークに出ている有効求人数を、仕事を探している有効求職者数で割った値のことです。1倍を超えると求人のほうが多く、店から見れば人を採りにくい状態を表します。

2025年の「生活衛生サービス職業従事者」は、月平均の有効求人数が32,865人、有効求職者数が10,421人で、32,865÷10,421で3.15倍です。店の側から見ると、求人を1件出しても、同じ職業でハローワークを通じて仕事を探している人は約0.32人という計算になります。この中分類には、日本標準職業分類で理容師、美容師、美容サービス従事者(美容師を除く)、浴場従事者、クリーニング職、洗張職が含まれ、美容師だけの倍率ではない点に注意します。

有効求人倍率の推移 — 2018年の4.52倍をピークに、2023年以降は3倍台

生活衛生サービスの職業の有効求人倍率は、2013年の2.15倍から2018年の4.52倍まで上がり、2020年に3.26倍へ下がった後、2023年以降は3.15〜3.27倍で推移しています。どの年も全職業の倍率の2〜3倍台です。

年(暦年平均) 生活衛生サービスの職業 職業計 職業分類
2025年 3.15倍 1.12倍 日本標準職業分類
2024年 3.22倍 1.14倍 日本標準職業分類
2023年 3.27倍 1.19倍 日本標準職業分類
2022年 3.19倍 1.16倍 旧分類
2021年 3.08倍 1.03倍 旧分類
2020年 3.26倍 1.08倍 旧分類
2019年 4.49倍 1.45倍 旧分類
2018年 4.52倍 1.45倍 旧分類
2017年 4.04倍 1.35倍 旧分類
2016年 3.53倍 1.22倍 旧分類
2015年 2.90倍 1.08倍 旧分類
2014年 2.47倍 0.97倍 旧分類
2013年 2.15倍 0.83倍 旧分類

パートタイムを含む常用の有効求人倍率(実数)。2022年までは第4回改訂厚生労働省編職業分類の中分類「生活衛生サービスの職業」、2023年以降は日本標準職業分類(平成21年改定)の中分類「生活衛生サービス職業従事者」。厚生労働省は2023年4月分から職業別の集計を日本標準職業分類に切り替え、2022年4月分以降はこの分類でさかのぼって集計しています。両分類で集計された2022年度は、どちらも3.24倍でした。

雇用形態別の倍率 — パートの求人ほど人が集まりにくい

2025年の倍率は、パートを除く常用が2.93倍、常用的パートが3.56倍で、パートの求人1件あたりの求職者は約0.28人です。全職業のパートの倍率は0.98倍と1倍を下回るのに対し、生活衛生サービスの職業ではパートでも3倍を超えています。

雇用形態(暦年平均) 2023年 2024年 2025年 参考:職業計(2025年)
パートタイムを含む常用 3.27倍 3.22倍 3.15倍 1.12倍
パートタイムを除く常用 3.13倍 3.03倍 2.93倍 1.21倍
常用的パートタイム 3.52倍 3.57倍 3.56倍 0.98倍

子育て中の美容師など、短い時間で働きたい人を採るには、パートの求人でも働ける曜日と時間の幅を具体的に示す必要があります。進め方はパート・時短美容師の採用にまとめています。

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月ごとの動きと求人数・求職者数 — 倍率が高いのは求職者が少ないから

2026年1〜8月の有効求人倍率(パートタイムを含む常用)は3.05〜3.18倍で、一度も3倍を割り込んでいません。月ごとの差は0.13ポイントの幅に収まっており、求人を出す月を倍率で選んでも大きな違いは出ません。職業別の数字は季節調整をしていないため、前年の同じ月と並べて見ます。

月 2026年 2025年の同じ月 参考:職業計(2026年)
1月 3.18倍 3.34倍 1.14倍
2月 3.16倍 3.27倍 1.13倍
3月 3.15倍 3.23倍 1.10倍
4月 3.05倍 3.11倍 1.02倍
5月 3.08倍 3.10倍 0.99倍
6月 3.13倍 3.05倍 1.01倍
7月 3.17倍 3.10倍 1.05倍
8月 3.13倍 3.05倍 1.06倍

前の年の同じ月と比べると1〜5月は下回り、6〜8月は上回りました。倍率が高いままなのは、求人が多いからというより、ハローワークで仕事を探す人が少ないためです。旧分類で見ると、有効求職者数は2013年の17,841人から2019年には9,913人と、6年で44.4%減りました。

年(月平均) 有効求人数 有効求職者数 職業分類
2025年 32,865人 10,421人 日本標準職業分類
2024年 34,854人 10,809人 日本標準職業分類
2023年 37,039人 11,339人 日本標準職業分類
2022年 38,022人 11,921人 旧分類
2019年 44,554人 9,913人 旧分類
2016年 43,315人 12,272人 旧分類
2013年 38,295人 17,841人 旧分類

2023年から2025年にかけては、有効求人数が11.3%減り、有効求職者数も8.1%減りました。求人1件あたりの求職者は、2013年の約0.47人から2025年は約0.32人です。美容師の離職の実態は美容師の離職率のデータで確認できます。

店の状況別にやること — 倍率3倍台の中で何から手を打つか

倍率は店の努力では変えられないため、変えられる「募集を始める時期」「条件の書き方」「経路の数」「定着」のどれに手を打つかを、店の状況で決めます。

店の状況 やること 判断の目安
スタッフから退職の申し出があった その週のうちに募集を始める 下の試算では、応募が月1.5件の店で採用まで約4か月かかる
2か月出しても応募がない(正社員) 給与の内訳・休日数・デビューまでの期間を数字で書き直し、経路を1つ足す パートを除く常用でも2.93倍。条件があいまいな求人は比べてもらえない
パートの求人に応募がない 働ける曜日・時間の幅と、扶養の範囲内で働けるかを書く パートは3.56倍で、求人1件あたりの求職者は約0.28人
地域の倍率が全国の3.15倍より高い ハローワーク以外の経路(学校・紹介・SNS・求人サイト)を並行する 地域の倍率は下の計算式で出す
応募はあるが、辞退や早期の退職が続く 面接での説明と、入社後の面談・評価の仕組みを見直す 倍率より定着の問題。採用を繰り返すほど費用がかさむ

採用までの期間と応募数の逆算 — 地域の倍率の出し方と求人票の書き換え例

採用1人に必要な応募数は「1÷面接から採用までの割合÷応募から面接までの割合」、かかる月数は「必要な応募数÷月の応募数」で出ます。スタイリスト1人の欠員を例に計算します。

試算の前提(仮定):スタイリスト1人が3か月後に退職する店。応募から面接に進む割合60%、面接から採用(承諾)30%、自店の求人への応募は月1.5件。辞めるスタイリストの売上は月80万円で、ほかのスタッフで吸収できない分を半分(月40万円)、求人広告費を月5万円とします。

項目 計算 結果
採用1人に必要な応募数 1÷30%÷60% 約5.6件→6件
今の応募ペースでかかる期間 6件÷月1.5件 4か月(退職に1か月間に合わない)
欠員1か月の売上の減り 月80万円×50% 月40万円
経路を足して応募を月3件にした場合 6件÷月3件 2か月で採用、広告費は月5万円×2か月=10万円の追加でも退職前に間に合う
地域の倍率(例) 県の有効求人数900人÷有効求職者数250人 3.6倍(全国の3.15倍より採りにくい)

欠員の1か月で売上が40万円減る店なら、広告費を増やしてでも募集の開始を早めたほうが負担は小さくなります。都道府県ごとの職業別の有効求人数と有効求職者数は、e-Statの「雇用関係指標(年度)」の表で確認でき、両方の数を割れば地域の倍率が出ます。広告費の上限の決め方は求人広告はいくらかけるべきかにあります。

あいまいな書き方 数字で書いた例(記入例)
高収入可 月給22万円(基本給19万円+技術手当3万円)。指名売上が月60万円を超えた分の10%を歩合で加算
休日充実 月8日休み(年間休日105日=月8日×12か月+夏季・年末年始9日)
教育制度あり スタイリストデビューまで平均2年。営業後の練習は週2回・各1時間で、練習時間にも賃金を支払う
アットホームな職場 スタッフ5人(スタイリスト3人・アシスタント2人)、全員が月1回オーナーと面談

記入例の金額・日数は書き方を示すための仮の値です。自店の実際の条件に置き換え、固定残業代を含む場合の書き方は固定残業代の正しい設定で確認できます。求人票全体の雛形は美容師求人票の書き方、給与水準の比べ方は美容師の平均年収と給与の統計で確認できます。

数字の読み違いでつまずく5つの点 — 美容師だけの数字ではない、前月と比べない

一般職業紹介状況は、ハローワークで受け付けた求人と求職だけを集計した統計です。読み違えやすい5つの点と防ぎ方をまとめます。

  1. 美容師だけの倍率と読む:中分類には理容師、美容サービス従事者(エステなど)、浴場従事者、クリーニング職なども含まれます。防ぎ方:業界全体の採りにくさの目安として使い、地域の美容室の求人の数と合わせて見ます。
  2. 前の月と比べて「改善した」と読む:職業別の数字は季節調整をしていない実数です。防ぎ方:前の年の同じ月と並べて比べます。
  3. 2022年以前と2023年以降をそのまま比べる:2023年4月分から職業分類が変わりました。防ぎ方:両分類で集計された2022年度(どちらも3.24倍)を境目の目安にします。
  4. ハローワークに求人を出していないから関係ないと考える:求人サイト、学校求人、紹介、SNSはこの統計に含まれませんが、人の取り合いの強さは同じ傾向と考えられます。防ぎ方:ハローワークも無料の経路の1つとして並行し、応募の多い経路に予算を寄せます。
  5. 新卒の採用状況もこの数字で判断する:高校・中学の新規学卒者は別に集計され、美容学校の学生の採用状況はこの統計からは分かりません。防ぎ方:新卒は学校の卒業予定者数と求人の受付状況で判断します。

求人を出す前に、次の8項目を確認してください。

  • 求人1件あたりの求職者が約0.32人という前提で、募集を始める時期を決めた
  • 自店の過去の実績から、応募から面接、面接から採用までの割合を出した
  • 必要な応募数と、今の応募ペースでかかる月数を計算した
  • 地域の有効求人数と有効求職者数から、地域の倍率を出した
  • 求人票の給与の内訳、休日数、デビューまでの期間を数字で書いた
  • パート・時短の求人では、働ける曜日と時間帯の幅を具体的に示した
  • ハローワーク以外の経路(求人サイト・学校・紹介・SNS)も並行する計画を立てた
  • 採用した人が辞めないための面談や評価の仕組みを用意した

よくある質問

美容師の有効求人倍率は何倍ですか?

美容師だけの倍率は公表されていません。美容師を含む「生活衛生サービス職業従事者」の有効求人倍率(パートタイムを含む常用)は、2025年平均で3.15倍、2026年8月は3.13倍でした。

美容師の求人倍率はなぜ高いのですか?

求人が多いだけでなく、ハローワークで仕事を探す求職者が少ないためです。旧分類では有効求職者数が2013年の17,841人から2019年の9,913人まで減り、倍率は2018年に4.52倍まで上がりました。

正社員の美容師の求人倍率はどれくらいですか?

正社員だけの職業別の倍率は公表されていません。近い数字として、パートタイムを除く常用の倍率は2025年平均で2.93倍です。パートの倍率は3.56倍で、こちらのほうが高くなっています。

求人を出すのに有利な月はありますか?

2026年1〜8月の倍率は3.05〜3.18倍の幅に収まっており、月によって採りやすさが大きく変わるとは言えません。求人を出す月は倍率より、欠員が出る時期から必要な応募数と期間を逆算して決めます。

地域ごとの美容師の求人倍率は分かりますか?

都道府県ごとの職業別(中分類)の有効求人数と有効求職者数は、e-Statで公表されている雇用関係指標の表で確認できます。有効求人数を有効求職者数で割れば、地域の倍率を計算できます。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」第21表 職業別労働市場関係指標(実数)(令和4年4月〜、2026年8月分公表時点)および同表の旧様式(平成24年3月〜令和5年3月)、「令和5年4月以降の職業分類について」(2023年5月30日)(政府統計の総合窓口e-Stat「一般職業紹介状況」)、総務省「日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)分類項目名」。増減率と求人1件あたりの求職者数は本記事で計算しました。試算と記入例の数字は仮定です。

まずは次に人が抜ける時期を決め、必要な応募数と今の応募ペースから、募集を始める月を逆算することから始めてください。人手不足の原因と、採用と定着の両面の対策は美容師の人手不足の原因と対策で確認できます。

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この記事を書いた人

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