厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で職種「理容・美容師」の年収を推計すると約388.5万円(月給31.5万円×12+賞与10.6万円)です。従業員10人以上の企業で働く一般労働者の値で、5〜9人の企業では約351.1万円です。
統計表の正しい読み方、年齢・経験年数・地域による差、アシスタントとスタイリストの差の見方、統計を使って自店の求人給与を決める手順を整理します(2026年10月時点の情報です)。
結論:美容師(理容・美容師)の平均年収の早見表
美容師の平均年収は、従業員10人以上の企業で約388.5万円、5〜9人の企業で約351.1万円です。年収は統計に直接は載っていないため、「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で推計しています。
| 区分(令和7年) | 月給 | 年間賞与 | 年収の推計 | 平均年齢 | 勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男女計(企業規模10人以上) | 31.5万円 | 10.6万円 | 約388.5万円 | 30.0歳 | 6.8年 |
| 男性(10人以上) | 36.6万円 | 13.8万円 | 約452.5万円 | 31.5歳 | 8.6年 |
| 女性(10人以上) | 29.0万円 | 9.1万円 | 約356.7万円 | 29.2歳 | 5.9年 |
| 男女計(企業規模5〜9人) | 28.6万円 | 8.1万円 | 約351.1万円 | 35.5歳 | 10.3年 |
月給は「きまって支給する現金給与額」(残業代を含む)。年収の推計は編集部が計算したもので、統計の公表値ではありません。
前年(令和6年)の同じ区分(10人以上・男女計)は約371.7万円でした。全職種の一般労働者と比べると、残業代を除いた所定内給与額は全職種平均34.1万円に対し、理容・美容師は30.3万円です。全職種より月3.8万円低い水準ですが、平均年齢が30.0歳と若いことも差の一因です。
賃金構造基本統計調査の見方 — 「理容・美容師」を読む前に知る5つの注意
賃金構造基本統計調査とは、厚生労働省が毎年6月分の賃金などを事業所に聞き取り、職種・年齢・地域別に集計する統計です。美容師の数字を使う前に、何が含まれて何が含まれないかを押さえておきます。
- 理容師と美容師は同じ区分:職種(小分類)は「理容・美容師」で、美容師だけの値はありません。
- 小さな店は別集計か対象外:主要な表は企業規模10人以上の値です。5〜9人の企業は別の表にあり、常用労働者5人未満の事業所は調査の対象外です。
- 雇われて働く人の統計:短時間労働者を除く一般労働者の値です。業務委託・面貸しの美容師や、個人事業主のオーナーは含まれません。
- 月給は6月分、賞与は前年1年分:「きまって支給する現金給与額」は残業代を含む6月分の給与、「所定内給与額」は残業代などを除いた額です。賞与は前年1年間の支給額です。
- 平均値で、年によって動く:10人以上の理容・美容師の平均年齢は令和6年32.8歳、令和7年30.0歳と変わっています。標本の構成が変わると平均も動くため、1年分の上下で判断しないことが大切です。
企業規模10人以上の内訳を見ると、1,000人以上は約483.8万円(平均44.2歳)、100〜999人は約396.9万円(27.0歳)、10〜99人は約376.2万円(31.3歳)です。大きな企業ほど年収が高い一方、平均年齢も大きく違うため、自店と規模・年齢が近い区分を選んで比べるのが基本です。
年齢で美容師の給与はどう変わるか — 20代前半は月23.5万円、30代で40万円台
理容・美容師の月給は、20〜24歳の23.5万円から30〜34歳の40.9万円へと、20代後半から30代前半にかけて大きく上がります。年収の推計では約285.4万円から約504.6万円です。
| 年齢(10人以上・男女計) | 月給 | 年間賞与 | 年収の推計 | 推計労働者数 |
|---|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 23.5万円 | 3.4万円 | 約285.4万円 | 約21,230人 |
| 25〜29歳 | 34.5万円 | 11.1万円 | 約425.3万円 | 約11,520人 |
| 30〜34歳 | 40.9万円 | 13.5万円 | 約504.6万円 | 約3,870人 |
| 35〜39歳 | 41.3万円 | 20.5万円 | 約515.5万円 | 約3,670人 |
| 40〜44歳 | 40.3万円 | 26.3万円 | 約510.3万円 | 約2,920人 |
| 45〜49歳 | 44.7万円 | 21.2万円 | 約557.1万円 | 約2,650人 |
| 50〜54歳 | 33.9万円 | 17.3万円 | 約424.3万円 | 約1,700人 |
表から読み取れるのは、人数の約4割が20代前半に集中していることです。40代以降は人数が少なく、1人ひとりの給与の影響を受けやすいため、平均の上下は参考程度に見てください。年齢が上がると独立や小さな店への移籍が増えると考えられ、その人たちは10人以上の統計から外れます。
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アシスタントとスタイリストの給与差はどのくらいか — 経験5年目以降に月10万円上がる
統計には「アシスタント」「スタイリスト」の区分がないため、経験年数で近づけて見ます。所定内給与額は経験1〜4年の23.8万円から、5〜9年で33.9万円へ約10万円上がります。多くの店でスタイリストとして売上を持つ時期と重なります。
| 経験年数(10人以上・男女計) | 所定内給与額 | 年間賞与 | 年収の推計(残業代を除く) | 推計労働者数 |
|---|---|---|---|---|
| 0年 | 21.4万円 | 0.5万円 | 約256.9万円 | 約6,710人 |
| 1〜4年 | 23.8万円 | 4.9万円 | 約290.4万円 | 約17,450人 |
| 5〜9年 | 33.9万円 | 12.0万円 | 約418.4万円 | 約11,500人 |
| 10〜14年 | 40.1万円 | 16.4万円 | 約497.8万円 | 約5,230人 |
| 15年以上 | 39.6万円 | 24.6万円 | 約500.0万円 | 約8,780人 |
経験年数は「その職種の経験年数」で、今の店の勤続年数とは違います。男女で分けると、経験10〜14年の所定内給与額は男性46.7万円、女性35.9万円と差が開きます。アシスタント期の4年間は月20万円台にとどまることが、若手の離職との関係で注目される点です。離職の統計は美容師の離職率は本当に高いのかで整理しています。
地域で美容師の給与はどれくらい違うか — 東京は約410.8万円、ただし標本の偏りに注意
都道府県別に見ると、10人以上の企業の理容・美容師の年収の推計は東京が約410.8万円、大阪が約395.8万円、愛知が約363.4万円です。ただし都道府県別は人数が少なく、年によって大きく動きます。
| 地域(10人以上・男女計) | 月給 | 年間賞与 | 年収の推計 | 平均年齢 | 推計労働者数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全国 | 31.5万円 | 10.6万円 | 約388.5万円 | 30.0歳 | 約49,670人 |
| 東京 | 33.5万円 | 9.1万円 | 約410.8万円 | 27.4歳 | 約20,360人 |
| 大阪 | 31.9万円 | 13.2万円 | 約395.8万円 | 30.0歳 | 約6,980人 |
| 神奈川 | 31.0万円 | 9.1万円 | 約381.5万円 | 34.1歳 | 約2,330人 |
| 愛知 | 29.2万円 | 13.1万円 | 約363.4万円 | 30.3歳 | 約4,520人 |
| 京都 | 25.3万円 | 4.2万円 | 約307.7万円 | 34.4歳 | 約1,490人 |
注意したいのは、全国の人数の約4割を東京が占めていることです。全国平均は東京の比較的大きな店の給与に引っ張られており、地方の小規模店がそのまま目安にすると高めに出ます。地域の水準は、統計に加えて同じ地域の求人票や最低賃金と合わせて判断します。
自店の給与水準を決める手順 — 統計・地域相場・人件費率の3点で決める
給与水準は、統計で「世間の水準」、地域の求人で「採用の相場」、人件費率で「払える上限」を確認し、その範囲で決めます。統計だけで決めると、払えない額や採れない額になりがちです。
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自店に近い区分の統計を選ぶ
スタッフが10人未満なら企業規模5〜9人の値(約351.1万円)、10人以上なら10人以上の値(約388.5万円)を基準にします。年齢や経験年数の表で、採用したい層に近い行も確認します。
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最低賃金を下回らないか確かめる
固定給を月の所定労働時間で割り、地域別最低賃金と比べます。歩合給の店は保障給の確認も必要です。改定への対応は美容室の最低賃金引き上げへの対応で整理しています。
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同じ地域の求人と比べる
ハローワークや求人媒体で、通勤圏の美容室の固定給・歩合・休日を5件ほど並べます。統計より、応募者が実際に比べる数字です。
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人件費率から払える上限を出す
年間売上×目標の人件費率で人件費の総額を出し、社会保険料の店負担を含めて配分します。考え方は美容室の人件費率の目安と適正化を参照してください。
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経験年数ごとの給与テーブルを作る
アシスタント期、デビュー後、指名が増えた段階の3つ程度に分け、何を満たせばいくら上がるかを書きます。設計の方法は美容室の給与・歩合制度の作り方にまとめています。
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求人票にモデル年収を載せる
固定給・歩合・手当・賞与を分けて書き、経験年数別のモデル年収を添えます。中途の経験者向けの書き方はスタイリスト求人の出し方が参考になります。
試算 — 歩合を含めたスタイリストの年収と店の負担(仮の設定)
固定給22万円、技術売上の歩合10%(月の技術売上80万円で8万円)、店販歩合1万円、賞与は年2回で合計20万円のスタイリストを置きます。月給31万円×12+賞与20万円で、年収は392万円です。統計の男女計(約388.5万円)とほぼ同じ水準になります。
店の負担は、社会保険料などの店負担を年収の約15%と置くと約450.8万円です。この人の年間技術売上960万円に対する割合は約47%になります。人件費の割合を40%に収めるには、技術売上を月約94万円まで伸ばす必要があります。数字は自分で置いた前提による試算で、実際の負担は社会保険の加入状況や歩合の設計によって変わります。
統計を使って給与を決める前に、次の7項目を確認してください。
- 比べている統計の年(令和7年など)と、企業規模(10人以上か5〜9人か)を書き留めた
- 年収は「月給×12+賞与」の推計であることを理解している
- 「理容・美容師」は理容師を含む区分で、業務委託やオーナーは含まれないと理解している
- 固定給が最低賃金を下回らないことを時間換算で確かめた
- 通勤圏の美容室の求人を5件以上並べて比べた
- 社会保険料の店負担を含めた人件費の総額を計算した
- 経験年数ごとの給与の上がり方を、求人票と面接で説明できる
業務委託やフリーランスで働く美容師の収入は、この統計には入りません。働き方による違いはフリーランス美容師の年収と手取りで比較しています。
よくある質問
美容師の平均年収はいくらですか?
約388.5万円です。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種「理容・美容師」(企業規模10人以上の一般労働者)の月給31.5万円×12に賞与10.6万円を足した推計で、5〜9人の企業では約351.1万円です。
美容師の1年目の給与はいくらですか?
統計上、経験年数0年の理容・美容師の所定内給与額は平均21.4万円です(令和7年、企業規模10人以上)。残業代や賞与を含まない額で、実際の初任給は店や地域によって異なります。
男性と女性の美容師で年収は違いますか?
統計上は違います。年収の推計は男性約452.5万円、女性約356.7万円です。ただし平均年齢(男性31.5歳、女性29.2歳)や勤続年数(8.6年と5.9年)も違うため、単純には比べられません。
フリーランス美容師やオーナーの年収も統計に入っていますか?
入っていません。賃金構造基本統計調査は雇われて働く人の統計で、業務委託・面貸しの美容師や個人事業主のオーナーの収入は含まれません。
賃金構造基本統計調査の最新版はいつ公表されますか?
例年3月ごろに前年調査の結果が公表されます。2026年10月時点の最新は令和7年調査で、職種別の統計表は2026年3月24日にe-Statで公開されました。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」結果の概況(厚生労働省)、同調査の統計表(一般労働者 職種(小分類)第1表・第5表・第14表、企業規模5〜9人 第4表、都道府県別 第3表)、令和6年賃金構造基本統計調査(一般労働者 職種(小分類)第1表)(e-Stat)。年収の推計値と試算は編集部による計算です。給与制度の個別の判断は社会保険労務士に確認してください。
美容師の平均年収の統計は、区分(理容・美容師)・企業規模・推計方法を添えて使うのが原則です。まず自店に近い規模の数字と通勤圏の求人を並べ、経験年数ごとの給与テーブルを作るところから始めてください。
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