美容室の店販キャンペーンの設計|割引に頼らない4つの型・粗利を守る組み方・景品表示法で外せない表示のルール

美容室 店販 キャンペーン|美容室の店内の様子

美容室の店販キャンペーンは、値引きの大きさではなく「買う理由を1つ作る設計」で成果が決まります。割引を軸にすると粗利が消え、次も割引を待つお客様を増やすだけになりがちです。

この記事では、割引に頼らないキャンペーンの4つの型、粗利を守る組み方、期間と対象の決め方、景品表示法と薬機法で外せない表示のルールを、美容室の店販に絞って整理します。

美容室 店販 キャンペーン|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の店販キャンペーンは「割引」より「理由・組み合わせ・期限」で組む

店販が動かない理由は、商品を知らないから、今買う理由がないから、使い方が分からないからの3つに集まります。キャンペーンの役割は、この3つのどれかを一時的に解消することです。値引きはそのうち「今買う理由」を金額で作る手段の1つにすぎません。

日常の店販の伸ばし方は店販売上を上げる方法、スタッフへの還元は店販の歩合の設計で扱っています。この記事は「期間を区切った施策」の組み方に絞ります。

割引に頼らない4つの型

内容の例 買う理由をどう作るか 粗利への影響
体験型(試す) 施術中に使った商品の現品を、仕上げ時にもう一度手に取ってもらう。サンプル配布 「使い方が分からない」を解消 サンプル代のみ。値引きなし
組み合わせ型(セット) シャンプー+トリートメントで小物(ポーチ・ミニサイズ)を付ける 「今買う理由」を物で作る 景品の原価分だけ。売価は維持
季節・悩み型(きっかけ) 紫外線・乾燥・湿気など季節の悩みに合わせて商品を1つ推す 「知らない」を解消。提案が自然になる なし。提案の型を変えるだけ
継続型(定期・まとめ) 3か月分をまとめて買うと4か月目の来店時に小物を渡す 次回来店の理由を同時に作る 景品原価。来店周期が守られる効果が大きい

4つの型に共通するのは、売価を下げていないことです。景品や小物の原価は売価の数%に収まることが多く、10〜20%の値引きより店に残る粗利が大きくなります。数字は仮の設定です。

粗利で比べる — 値引きと景品の差

売価3,300円・仕入れ値1,980円(粗利1,320円)のシャンプーを、キャンペーンで20本売る前提で比べます。数字は仮の設定です。

施策 1本あたりの粗利 20本の粗利 通常時(20本)との差
通常販売 1,320円 26,400円
20%値引き(660円引き) 660円 13,200円 −13,200円
10%値引き(330円引き) 990円 19,800円 −6,600円
景品を付ける(原価200円のミニサイズ) 1,120円 22,400円 −4,000円
体験型(サンプル原価100円を全員に配布) 1,320円(別途サンプル100円×来店50人) 26,400円−5,000円=21,400円 −5,000円

20%値引きは粗利を半分にします。同じ「お得感」を作るなら、景品や体験のほうが店の粗利は大きく残ることが、表から読み取れます。値引きを使うなら10%までを上限にし、それ以上は景品で組むのが目安です。

値引きキャンペーンを繰り返すと、通常価格で買う人が減り、「次のキャンペーンまで待つ」お客様を店が育ててしまうことがあります。値引き型は年に1〜2回までに限り、他は割引なしの型で組むほうが長期の店販売上は安定しやすいです。

美容室 店販 キャンペーン|美容室でのカウンセリングの様子

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期間・対象・目標の決め方(4ステップ)

  1. 期間は来店周期1回分にする

    来店周期が6週間なら、6〜8週間の期間にします。短すぎると対象客の一部しか来店せず、長すぎると「いつでもやっている」状態になります。

  2. 対象を「その悩みを持つ人」に絞る

    全員に同じ商品を推すと押し売りに見えます。カルテの悩み欄で対象を先に決め、該当する人にだけ提案します。

  3. 目標を本数ではなく「提案数」で置く

    売れた本数を目標にすると強引になります。「対象客の8割に提案する」を目標にし、購入率は結果として見ます。

  4. 終了後に3つの数字を残す

    提案数・購入数・購入者の次回来店率。この3つが残っていれば、次のキャンペーンの型を数字で選べます。

対象を絞るためのカルテの項目はカルテのテンプレート、購入後のフォローはLINE店販フォロー例文を参照してください。

景品表示法と薬機法で外せない表示のルール

店販キャンペーンは、景品(おまけ)と表示(効果の説明)の両方で法律の制限を受けます。小さな店でも例外はなく、POPやSNSの1文が対象になります。

場面 ルール 美容室での注意点
購入者全員に景品を付ける(総付景品) 取引価額1,000円未満は200円まで、1,000円以上は取引価額の10分の2まで 3,300円の商品なら景品は660円相当まで。高額な景品は付けられない
抽選で景品を出す(一般懸賞) 取引価額5,000円未満は取引価額の20倍まで、5,000円以上は10万円まで。総額は売上予定総額の2%以内 抽選型は総額の管理が要る。小規模店は総付のほうが扱いやすい
「通常価格」を並べて値引きを見せる 最近相当期間販売していた価格でなければ有利誤認のおそれ 常に値引きしている商品に「通常価格」は使えない
効果の表現(化粧品) 化粧品として認められた効能効果の範囲内で表現する 「髪が生える」「白髪が治る」は使えない。「うるおいを与える」など範囲内の表現にする
「一番」「地域で唯一」などの比較・最上級の表現 客観的な根拠がなければ優良誤認のおそれ 比較の言葉は使わず、誰のどんな悩みに向くかを書く

景品の限度額は法令と告示で決まっている数字です。迷ったら「取引価額の2割まで」を上限に置き、抽選は使わないのが、小規模店で最も安全な組み方です。

出典:消費者庁「景品表示法」(不当景品類及び不当表示防止法第4条 景品類の制限、第5条 不当な表示の禁止)、「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」(総付景品告示)、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(懸賞告示)、厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(医薬品医療機器等法に基づく化粧品の効能効果の範囲)。制度は改正されることがあるため、実際の表示では最新の公表資料を確認してください。記事内の計算は自分で置いた前提による試算です。

スタッフが動ける形にする — 提案の一言を決める

キャンペーンの成否は、POPよりスタッフの一言で決まります。「今月は〇〇の方に、施術で使った△△をお渡ししています。仕上げに一度手に取ってみますか」のように、対象・商品・行動を1文にした型を作り、全員が同じ言葉で言えるようにします。

  1. 提案する場面を固定する:仕上げの直前、鏡の前で商品を手に取ってもらう。会計時に初めて出すと押し売りになります。
  2. 断られたときの返しを決める:「では次回、使い心地だけでもお伝えしますね」で終える。2度目の提案はしません。
  3. 提案数を毎日記録する:誰が何人に提案したかを1行で残す。購入数ではなく提案数を見ると、スタッフの動きが変わります。

キャンペーンの後に残すもの

期間が終わったら、値引きや景品は止めますが、「その悩みの人にこの商品を提案する」という型は残します。キャンペーンは提案の型を店に定着させる練習期間と考えると、終了後も店販の底が上がります。

購入者には、購入から3〜4週間後に使い心地を尋ねる1通を送ります。使い方の質問が返ってきたら、その返信が次の購入につながります。来店周期に合わせた連絡の設計は来店周期に合わせたLINE配信にまとめています。

なお、キャンペーンの告知はLINEで既存客に送るのが最も反応が読みやすい形です。配信は期間の初日と終了1週間前の2回までにし、対象の悩みを持つ人に絞って送ると、ブロックを増やさずに済む場合があります。全員への一斉配信は、店販の案内ほど反応が落ちやすい傾向があります。

数字の目安として、対象客40人に提案して購入率25%なら10本、粗利1,120円(景品込み)で11,200円です。これに購入者の次回来店率が通常より上がる効果が加わるため、店販の粗利だけで成否を判断しないでください。数字は仮の設定です。

開始前のチェックリスト

キャンペーンを始める前に、次の6つを確認してください。

  • 4つの型のどれで組むかを決め、値引きは10%以内か使っていない
  • 期間は来店周期1回分、対象はカルテの悩み欄で絞っている
  • 景品は取引価額の2割以内(1,000円未満なら200円以内)に収まっている
  • POP・SNSの文に「通常価格」の不当表示や効能の逸脱、比較の言葉がない
  • スタッフ全員が同じ提案の一言を言える
  • 提案数・購入数・次回来店率を記録する欄がある

店販キャンペーンは、粗利を削らず、提案の型を店に残すための期間です。値引きで一時的に本数を稼ぐより、割引なしの型で組んだほうが、終わった後の店販売上が変わります。

美容室 店販 キャンペーン|美容室のスタッフ・チームの様子

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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