美容室の開業に固定電話は必要か|予約・掲載・融資で番号が要る場面と、携帯・IP電話で代える判断

美容室 開業 固定電話|美容室の店内の様子

美容室の開業に固定電話は必須ではありませんが、「番号が要る場面」と「固定回線が要る場面」を分けて考えないと、開業後に掲載や申請で止まることがあります。多くの店では、050番号や携帯番号で足りる一方、予約の受け方によっては固定回線が合理的な場合もあります。

この記事では、電話番号が求められる場面、固定電話・IP電話・携帯の比較、予約の受け方との組み合わせ、費用の試算、開業前に決める順番を整理します。

美容室 開業 固定電話|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の開業に固定電話は必須ではなく、「番号の用途」で決める

電話番号が必要になる場面は、予約の受付、Googleビジネスプロフィールやポータルへの掲載、融資や契約の書類、取引先との連絡の4つです。このうち「固定回線でなければならない」場面はほとんどなく、店専用の番号が1つあれば足りるのが実務の状況です。

ただし、電話予約の割合が高い店や、スタッフが複数で電話を取り回す店では、固定電話か、複数端末で受けられるIP電話のほうが運用が楽になる場合があります。電話予約そのものを減らす設計は予約システムで電話予約を減らすで扱っています。

電話番号が求められる場面と、何で代えられるか

場面 番号は必要か 固定回線が要るか 代替
Googleビジネスプロフィールの登録 推奨(無くても登録可) 不要 050番号・携帯番号でも登録できる
ポータルサイトへの掲載 必要な媒体が多い 媒体により異なる 店専用の番号。個人携帯の流用は避ける
日本政策金融公庫等の融資申込 連絡先として必要 不要 携帯でも可。店の番号があれば記載
保健所の開設届 連絡先として必要 不要 開設者の連絡先で可
テナントの賃貸契約・ディーラーとの取引 必要 不要 携帯で可。店の番号があれば信頼感が増す場合がある
お客様からの予約・問い合わせ 必要 受け方による 予約システム+LINEで電話の割合を下げられる

表のとおり、「固定電話でなければ通らない」手続きは、一般的な開業の範囲ではほぼありません。要るのは「店の番号」であり、その番号を固定・IP・携帯のどれで用意するかは運用で選べます。

固定電話・IP電話・携帯の比較

方式 初期費用の目安 月額の目安 向く店 注意点
固定電話(アナログ・光電話) 回線工事で数千〜数万円 1,500〜3,000円程度 電話予約が多く、店に常に人がいる店 店の外で受けられない。番号は市外局番
IP電話(050番号・クラウド型) 0〜数千円 500〜2,000円程度 スマホで受けたい店。スタッフ2人以上で共有したい店 050番号を受け付けない媒体・手続きが稀にある
携帯電話(店専用の1台) 端末代 1,000〜3,000円程度 1人店。外出中も受けたい店 個人携帯と兼用すると私用の連絡と混ざる
クラウドPBX(市外局番を複数端末で) 数千〜数万円 2,000〜5,000円程度 複数店舗、スタッフ多数 1〜2人の店には過剰

金額はすべて仮の設定で、事業者やプランで変わります。1人店なら店専用の携帯かIP電話、2人以上で電話予約が多いなら固定かクラウド型という分け方が、費用と運用のバランスとして無理がありません。

個人の携帯番号を店の番号として掲載すると、退職や番号変更のたびに掲載を直す必要があり、お客様の連絡先に個人の番号が残り続けます。番号は最初から「店のもの」として1つ用意してください。

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予約の受け方と電話の組み合わせ(4ステップ)

  1. 予約の入口を「予約システムとLINE」に置く

    電話は残しますが、掲載やSNSの導線はまず予約ページに向けます。電話予約の割合が下がれば、固定回線の必要性も下がります。

  2. 電話は「店専用の1番号」にする

    IP電話か店専用携帯で番号を取り、すべての掲載に同じ番号を載せます。番号が1つなら、後で方式を変えても掲載の修正は最小限で済みます。

  3. 施術中の着信の受け方を決める

    出られないときの留守電メッセージに「LINEまたは予約ページから」と案内を入れます。折り返しの担当と時間帯も決めておきます。

  4. 3か月後に電話予約の割合を見る

    予約経路を記録し、電話の割合が2割を下回っているなら現状の方式で足ります。5割を超えているなら、受け方(複数端末・固定)の見直しを検討します。

電話に出たときの対応の型は電話対応マニュアルの作り方にまとめています。

開業時の費用と、5年間の総額で比べる

方式ごとの5年間の総額を比べます。数字は仮の設定です。

方式 初期費用 月額 5年間の総額
固定電話(光電話) 15,000円 2,000円 135,000円
IP電話(050) 0円 1,000円 60,000円
店専用携帯 30,000円(端末) 2,000円 150,000円
クラウドPBX 20,000円 4,000円 260,000円

差は5年で最大20万円程度で、開業資金の中では小さい費用です。費用より「誰が・どこで・何台で受けるか」の運用で選ぶほうが、後悔が少ない傾向があります。開業費用全体の組み立ては開業資金・融資完全ガイドを参照してください。

出典:電気通信事業法および総務省「電気通信番号規則」(050番号・固定電話番号の区分)、厚生労働省「美容師法概要」(美容所開設届の届出事項)、日本政策金融公庫「創業計画書」記載項目。掲載媒体・金融機関・自治体ごとの要件は変わることがあるため、実際の手続きでは各窓口の案内を確認してください。記事内の金額はすべて自分で置いた前提による試算です。

番号を後から変えると何が起きるか

開業後に電話の方式を変えて番号が変わると、Googleビジネスプロフィール・ポータル・名刺・ショップカード・LINEのプロフィールなど、載せた場所すべての修正が要ります。修正漏れがあると、古い番号に掛けたお客様が「つながらない店」と受け取ります。

これを避けるには、開業時に「5年は変えない前提」で番号を決めるか、番号ポータビリティに対応した方式を選びます。方式を変えても番号を維持できるかは、契約前に事業者へ確認してください。

FAX・インターネット回線との関係

ディーラーとの発注や保健所とのやり取りでFAXを求められる場面は減っていますが、ゼロではありません。FAXが必要になったときはインターネットFAXで代えられるため、そのために固定回線を引く必要はありません。

一方、予約システム・決済端末・音楽配信など、店のインターネット回線は必須です。光回線を引くなら光電話を数百円の追加で付けられる場合があり、その場合は固定電話の費用差はさらに小さくなります。

店の規模別に見た「無理のない選び方」

店の形 電話予約の見込み 向く方式 理由
1人サロン(席2以下) 2〜3割程度 店専用携帯 または 050 施術中は出られない前提。留守電と予約ページの案内で補う
夫婦・2人(席3〜4) 3〜4割程度 クラウド型IP電話(2台で共有) 受付と施術を分けやすく、どちらの端末でも受けられる
スタッフ3人以上(席5以上) 4割以上の場合がある 固定 または クラウドPBX 受付係が常にいる。店外からの受電は不要なことが多い
年配客が中心の店 5割以上の場合がある 市外局番の番号(固定 or クラウドPBX) 「050」に馴染みがなく掛けにくいと感じる客層への配慮

割合はすべて仮の設定です。客層が電話を好むかどうかが、方式を分ける一番大きな要因で、席数や資金よりも先に確認する項目です。開業前にターゲットの年齢層を決めているなら、その層の連絡手段に合わせてください。

よくある失敗3つ

  1. 個人携帯で開業し、2年目に番号を変えた:掲載10か所以上を直す手間がかかり、直し漏れた媒体から「つながらない」と口コミが入った例があります。最初から店の番号を分けていれば起きません。
  2. 固定電話を引いたが、施術中に誰も出られない:1人店で固定を選ぶと、留守電にたまった予約希望への折り返しが夜になります。転送設定か、そもそも携帯型にするほうが合います。
  3. 050番号が掲載媒体で通らなかった:媒体側の要件は変わるため、掲載を予定している媒体の番号要件を、番号を取る前に確認する順番にします。

開業前に決めるチェックリスト

開業の2か月前までに、次の5つを決めてください。

  • 店専用の番号を1つ用意する(個人携帯の流用はしない)
  • 方式(固定・IP・携帯・クラウド)を、受ける人数と場所で選ぶ
  • 掲載予定の媒体が050番号を受け付けるか確認した
  • 予約の入口を予約システムとLINEに置き、電話は補助にする
  • 留守電の案内文と、折り返しの担当・時間帯を決めた

固定電話の要否は、「番号が要るか」ではなく「誰がどこで受けるか」で決まります。番号は開業前に1つ確保し、方式は運用に合わせて選んでください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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