美容室の開業で医師の診断書が要る理由|保健所に出す診断書の内容・取り方・費用・スタッフ分の扱いと、提出が遅れると起きること

美容室 開業 医師の診断書|美容室の店内の様子

美容室の開業では、保健所への開設届に「従業者の医師の診断書」を添える必要があり、これが揃わないと検査日程が組めず、開業日がずれることがあります。診断書は施術に関わる全員分が要り、取得に数日かかるため、開業の3〜4週間前に手配するのが実務の目安です。

この記事では、診断書が必要な根拠、書いてもらう内容、取り方と費用、スタッフ分の扱い、提出が遅れたときに起きること、開業スケジュールへの組み込み方を整理します。

美容室 開業 医師の診断書|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の開業で医師の診断書は「開設届の添付書類」で、従業者全員分を検査前に揃える

美容師法では、美容所を開設する者は、開設の届出時に従業者の氏名とあわせて、結核・皮膚疾患などの有無に関する医師の診断書を提出することが求められています。これは開設者本人だけでなく、その美容所で施術に従事する美容師全員が対象になります。

診断書は開設届の一部なので、揃わなければ届出が受理されず、保健所の実地検査の日程も決まりません。開設届〜検査の流れ全体は保健所の検査で見られる項目と準備、開業手続きの全体は美容室開業の手続き一覧にまとめています。

診断書に書いてもらう内容と、様式の確認先

項目 内容 注意点
対象の疾患 結核、伝染性皮膚疾患(法令上「美容師法施行規則」で定める疾病)の有無 一般的な健康診断書とは目的が違う。「美容所開設用」と伝える
様式 保健所が指定様式を用意している場合と、任意様式でよい場合がある 管轄の保健所のサイトか窓口で先に確認。指定様式を医院に持参する
発行日の有効期間 「発行から3か月以内」等を求める保健所が多い 早く取りすぎると期限切れになる。開業の1〜2か月前が目安
対象者 開設者を含む、施術に従事する従業者全員 受付専任のスタッフは対象外の場合がある。判断は保健所に確認
記載事項 氏名・生年月日・診断日・医療機関名・医師の署名または記名押印 記載漏れは差し戻しになる。受け取ったらその場で確認

表のとおり、「どの疾患について」「どの様式で」「いつまでの発行日か」の3点が保健所ごとに少しずつ違います。診断書を取る前に、管轄保健所の案内を1回確認する順番にしてください。

取り方と費用(4ステップ)

  1. 管轄の保健所で様式と要件を確認する

    店の所在地を管轄する保健所のサイトで「美容所 開設 届出」を確認し、指定様式があれば印刷します。有効期間と対象者の範囲も、このときに窓口で聞いておきます。

  2. 内科や皮膚科など、対応してくれる医療機関に予約する

    近所のクリニックでも、「美容所開設届に添付する診断書」と伝えれば対応してもらえる場合が多いです。結核については問診と胸部X線を求める医院もあり、その場合は費用が上がります。

  3. 受診し、その日か数日後に受け取る

    診断書は自費診療で、費用は医療機関によって差があります。数字は仮の設定ですが、問診のみで3,000〜5,000円程度、X線を含めると5,000〜10,000円程度になる場合があります。受け取ったら記載事項を確認します。

  4. スタッフ分を揃え、開設届と一緒に提出する

    従業者全員分がそろってから提出します。1人でも欠けると受理されないため、スタッフの受診日を先に決めておきます。

診断書の費用を店が負担するか本人が負担するかは、法律で決まっていません。雇用するスタッフの分は店が負担する運用が多く、業務委託の美容師は本人負担にする契約も見られます。後で揉めないよう、採用時か契約時に決めておいてください。

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スタッフの入退社があったときの扱い

診断書が要るのは開業時だけではありません。開業後に美容師を新しく雇うと、従業者の変更届にその人の診断書を添えるのが一般的な運用です。届出の期限は保健所によって異なりますが、変更から10日〜30日以内としているところが多いです。

場面 診断書 届出
開業時 開設者と従業者全員分 開設届(検査前)
スタッフの入社 入社した人の分 従業者変更届
スタッフの退社 不要 従業者変更届
業務委託・面貸しの美容師が加わる その人の分(施術に従事するため) 従業者変更届。雇用形態は問わない
受付専任のスタッフ 不要な場合がある 保健所に確認

採用が続く店では、「入社日の前に診断書を提出してもらう」を採用手続きの標準に入れておくと、変更届の遅れが起きません。スタッフの届出全体はスタッフの入退社時の保健所手続きにまとめています。

提出が遅れると開業日にどう響くか(試算)

開業予定日を4月1日に置いた場合の、逆算のスケジュールです。日数は仮の設定で、保健所の混み具合で変わります。

工程 目安の時期 遅れた場合
保健所への事前相談(図面の確認) 2月上旬 構造設備の指摘が工事後に出る
診断書の手配(全員分) 3月上旬 1人分欠けると開設届が出せない
開設届の提出 3月中旬(検査の1週間以上前) 検査日が後ろにずれる
実地検査 3月下旬 検査が4月にずれ、開業日を延期
確認書の受領・開業 4月1日

診断書が1週間遅れると、開設届・検査・確認書のすべてが1週間ずれます。内装工事が終わっていても、確認を受ける前に営業を始めることはできません。家賃と人件費は発生しているため、1週間の延期は売上ゼロの1週間になります。開業までの全体日程は開業スケジュールの組み方を参照してください。

出典:美容師法第11条(美容所の開設の届出)、美容師法施行規則(届出事項・添付書類、従業者の疾病に関する規定)、厚生労働省「美容師法概要」。指定様式・有効期間・対象者の範囲は管轄保健所ごとに運用が異なるため、必ず所在地の保健所の案内を確認してください。記事内の費用・日数は自分で置いた前提による試算です。

よくある質問

  1. 健康診断の結果票で代えられますか:目的と項目が違うため、代用できない保健所が多いです。「美容所開設届の添付用」と明示した診断書を取ってください。
  2. 開設者が施術しない場合も要りますか:開設者自身が施術に従事しないなら、開設者分は不要とする保健所があります。従業者分は必要です。個別に確認してください。
  3. 他県の保健所で取った診断書は使えますか:発行する医療機関の所在地は問われないのが一般的です。様式と有効期間が管轄保健所の要件に合っていれば使えます。

診断書と一緒に揃える開設届の添付書類

診断書だけを先に取っても、他の添付書類が欠けると届出は受理されません。同じタイミングで揃える書類を一覧にしておくと、保健所へ行く回数が減ります。

書類 誰の分か 取得先・準備
美容所開設届 保健所の様式。所在地・名称・構造設備・従業者を記載
構造設備の概要書と平面図 内装業者から受け取る。作業室の面積・洗髪設備・消毒設備の位置
従業者名簿 従業者全員の氏名・免許番号
美容師免許証(原本または写し) 従業者全員 本人から預かる。原本提示を求める保健所もある
管理美容師の講習修了証 常時2人以上が従事する店 該当者の分。要否は管理美容師は必要かを参照
医師の診断書 従業者全員 本記事のとおり。発行日の有効期間に注意
登記事項証明書 法人で開設する場合 法務局。発行から3か月以内など
手数料 自治体により金額が異なる(2万円前後の例が多い)

手数料の金額と免許証の原本提示の有無は自治体で異なります。診断書の様式を確認する電話で、この一覧をまとめて聞いてしまうのが、いちばん手戻りの少ない進め方です。

開業3か月前からのチェックリスト

次の5つを順番に進めてください。

  • 管轄保健所の指定様式・有効期間・対象者の範囲を確認した
  • 開設者とスタッフ全員の受診日を、開業の3〜4週間前に決めた
  • 費用の負担(店か本人か)を採用時・契約時に決めた
  • 受け取った診断書の記載事項(氏名・日付・医師名・押印)を確認した
  • 開設届の提出日と実地検査日を、診断書が揃う日から逆算した

医師の診断書は、金額は小さいものの開業日そのものを左右する書類です。物件と内装に気を取られて後回しにせず、スケジュールの早い段階に置いてください。

美容室 開業 医師の診断書|美容室での施術の様子

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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