美容室の店販の棚・ディスプレイ・POPの作り方|手に取られる置き場所と並べ方・POPに書けることと書けないこと

美容室 店販 ディスプレイ|美容室の店内の様子

美容室の店販のディスプレイは、商品の数を増やすことではなく、「お客様が待つ場所・座る場所の視線の先」に少数を置くことで動きます。棚を作り込んでも、施術中に目に入らなければ提案のきっかけになりません。

この記事では、店販の棚をどこに置くか、並べ方の型、POPに書けることと薬機法・景表法で書けないこと、価格表示のルール、月1回の入れ替えの手順を整理します。

美容室 店販 ディスプレイ|美容室の店内の様子
目次

結論:美容室の店販ディスプレイは「3か所に3点ずつ」が基本形

店販の棚を1か所に集めると、お客様はその前を通る一瞬しか商品を見ません。視線が止まる場所に少数を分散させ、それぞれの場所で「なぜここにこれがあるか」が分かる形にすると、施術中の会話に商品が自然に入ります。

店販の提案の仕方は店販売上を上げる方法、期間を区切った施策は店販キャンペーンの設計で扱っています。この記事は「見せ方」に絞ります。

置き場所ごとの役割と、置く商品

場所 お客様の状態 置く商品の例 点数の目安
セット面の鏡の脇 施術中。20〜60分視界に入る 今日の施術で使っている商品の現品 1〜2点
シャンプー台の近く 目を閉じている時間が長い 置かない(香りの体験で伝える) 0点
待合 手が空いていて、手に取れる 試せるテスターと説明カード 3点
会計カウンター 財布を出している。最後の判断の場 今月の提案商品と、ミニサイズ 2〜3点
入口・ウィンドウ 通行人。まだ客ではない 置かない(店の雰囲気を優先) 0点

合計で8点前後になります。棚に20種類並べるより、3か所に3点ずつのほうが1点あたりの説明が厚くなり、手に取られる回数が増える傾向があります。数字は仮の設定です。

並べ方の型(4ステップ)

  1. 「悩み」で棚を分ける

    ブランド別ではなく「乾燥」「うねり」「カラーの持ち」のように、お客様の悩みで区画を作ります。悩みの言葉が見出しになれば、スタッフが説明しなくても商品の役割が伝わります。

  2. 1区画に3点まで

    同じ悩みに5点並ぶと選べません。松・竹・梅の3段階か、シャンプー・トリートメント・アウトバスの3工程にそろえます。

  3. 正面を向けて、手前に余白を作る

    ラベルの正面を通路側に向け、棚の手前5cmを空けます。詰めて並べると「触ってはいけない」印象になります。

  4. テスターと説明カードを必ず添える

    手に取って試せる形にし、カードには「誰の・どんな悩みに・どう使うか」を3行で書きます。価格は税込で明記します。

棚の見栄えを優先して商品を増やすと、在庫と廃棄が増えます。ディスプレイに置く商品は「今月提案する商品」に絞り、在庫は別の場所に持つ形が、見せ方と在庫管理の両方で無理がありません。

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POPに書けること・書けないこと

店販のPOPは、化粧品を扱う以上、薬機法(医薬品医療機器等法)と景品表示法の両方の制限を受けます。メーカーのカタログの表現でも、店の手書きPOPに写すと問題になる場合があるため、書ける範囲を知っておく必要があります。

書きたい内容 書けるか 言い換えの例
「髪が生える」「抜け毛が止まる」 書けない(医薬品的な効能) 「頭皮をすっきり洗い上げる」「髪にハリ・コシを与える」
「ダメージを修復する」「細胞を活性化」 書けない 「髪のダメージを補修する(毛髪表面)」「うるおいを与える」
「〇〇で一番売れている」「地域で唯一」 根拠がなければ書けない 「当店で今月おすすめしている1本」
「お客様の声:3日でうねりが消えた」 効果の保証になるため避ける 「使い方:タオルドライ後に1プッシュ」
「通常価格3,300円→今だけ2,640円」 通常価格が実際の販売実績と一致していれば可 実際に売っていた価格でなければ書かない
「担当者の一言:私も使っています」 書ける(事実なら) 誰が、いつから、どう使っているかを具体に

化粧品として表現できる効能効果は、厚生労働省が示す範囲(「頭皮、毛髪を清浄にする」「毛髪にはり、こしを与える」など)に限られます。迷ったら「使い方」と「誰に向くか」だけを書くと、法律の線を越えません。

価格表示と、月1回の入れ替え

  1. 価格は税込の総額で表示する:消費者向けの価格表示は税込の総額表示が義務です。「3,000円(税抜)」だけの表示は避け、「3,300円(税込)」と書きます。
  2. 月初に提案商品を1つ替える:会計カウンターの2〜3点のうち1点を月替わりにすると、常連客に「今月は何か」を聞かれる形ができます。
  3. 手に取られた回数を数える:テスターの減り方と、カードの持ち帰り数を月末に見ます。手に取られているのに売れない商品は説明の問題、手に取られない商品は置き場所の問題です。
  4. 汚れたテスターは即交換:テスターの汚れは、商品ではなく店の印象を下げます。清掃をシャンプー台の掃除と同じ日課に入れます。

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第66条(誇大広告等の禁止)、厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」(化粧品の効能効果の範囲)、不当景品類及び不当表示防止法第5条(優良誤認・有利誤認)、消費税法第63条(価格の表示・総額表示の義務)。制度は改正されることがあるため、実際の表示では最新の公表資料を確認してください。記事内の点数・金額は自分で置いた前提による例です。

棚を買う前に — 造作か既製品か

店販棚を内装工事で造作すると見栄えは良くなりますが、置く商品や区画の分け方は開業後に変わります。最初は可動棚や既製のディスプレイ台で始め、1年運用して定まった配置を造作に移す順番のほうが、無駄になりにくいです。

数字は仮の設定ですが、可動棚3台で3〜6万円、造作棚なら1か所20〜40万円程度の差が出ることがあります。内装費の配分は内装をおしゃれにする設計の要点を参照してください。

ディスプレイと提案をつなぐ一言

棚が整っても、施術中に触れられなければ売れません。「鏡の脇にあるのが、今使っているトリートメントです」と一言添えるだけで、ディスプレイは提案の入口になります。この一言をスタッフ全員の型にすると、押し売りにならずに商品が話題に上がります。

買った後のフォローはLINE店販フォロー例文にまとめています。

試算 — ディスプレイの変更で何が変わるか

月の来店が200人の店で、店販の提案率と成約率が動いた場合の試算です。数字は仮の設定です。

状態 提案率(提案した客の割合) 成約率 月の販売本数 粗利(1本1,300円)
棚1か所・20種類 20%(40人) 20% 8本 10,400円
3か所・8点+鏡脇の一言 50%(100人) 20% 20本 26,000円
上記+悩み別の説明カード 50%(100人) 30% 30本 39,000円

ディスプレイそのものが売るのではなく、提案の「きっかけ」が増えることで提案率が動くのが、この表の読み方です。成約率は提案の質で決まるため、棚を直した後はスタッフの一言の型を整える順番になります。

在庫と廃棄を増やさないための3つの決まり

  1. ディスプレイ用の現品は1本ずつ:見せる分と売る分を分け、売る分は倉庫に置く。棚に在庫を積まない。
  2. 入れ替えで外した商品は次の月の提案候補に戻さない:3か月動かなかった商品は仕入れを止める判断材料にする。
  3. テスターは使用期限を書いて管理する:開封日をラベルに書き、期限を過ぎたら交換する。廃棄した数も記録し、テスターの原価を店販の経費として把握する。

今週のチェックリスト

次の6つを確認し、できていないものから直してください。

  • 店販は3か所(セット面・待合・会計)に分散し、合計8点前後に絞っている
  • 区画は悩み別で、1区画3点まで
  • POPに医薬品的な効能・根拠のない比較・効果の保証が書かれていない
  • 価格は税込の総額で表示している
  • テスターと3行の説明カードが全商品に付いている
  • 月初の入れ替えと、手に取られた回数の記録を決めている

店販のディスプレイは、「どこに・何点・何を書くか」の3つで決まります。棚を増やす前に、この3つを整えてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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