LINE拡張ツールは、LINE公式アカウントにタグ管理・回答フォーム・予約・条件分岐の自動配信を足すサービスです。来店日やメニューで配信を送り分けたい美容室に向き、全員へのお知らせを月1〜2回送るだけの店は公式アカウント単体で足ります。
公式アカウント単体との違い、美容室で使う4つの機能、費用を比べる7つの軸と主なツールの公表料金、導入を判断する条件、乗り換えと外注の注意点を整理します。特定のツールを勧めるものではありません(2026年10月時点の情報です)。
結論:LINE拡張ツールが必要な店・まだ要らない店の早見表
拡張ツールが役立つのは、お客様ごとに送る内容やタイミングを変えたい店です。全員に同じお知らせを送るだけなら、LINE公式アカウント単体の機能で足ります。
| 店の状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 配信は全員へのお知らせが月1〜2回 | 単体で足りる | 一斉配信と応答メッセージで用が足りる |
| 予約は予約システムで受け、LINEは案内と問い合わせに使う | 単体で足りる(予約システムのLINE連携を先に確認) | 予約台帳を二重にしない |
| 来店周期やメニューごとに案内を送り分けたい | 検討する | 来店日やメニューを友だちごとに記録する必要がある |
| 初回来店の1週間後・1か月後など、来店日を起点に自動で送りたい | 検討する | 単体のステップ配信は、友だち追加やオーディエンスが起点になる |
| 事前カウンセリングをLINEで受け、回答を顧客情報に残したい | 検討する | 回答を友だちごとに保存し、配信の条件に使える |
| 管理画面を週1回も見る人がいない | 先に運用体制を作る | タグやシナリオが更新されず、月額だけが残る |
判断の分かれ目は、友だちの数よりも、送り分けの必要があるかと、運用する人がいるかです。友だちが数百人の店でも、来店日を起点にしたフォローを自動にしたいなら拡張ツールが役に立ちます。
LINE拡張ツールとは — LINE公式アカウント単体との違い
LINE拡張ツールとは、LINE公式アカウントのMessaging APIにつないで、友だち一人ひとりの情報を記録し、その情報に応じて配信や表示を変えられるようにする外部サービスです。Lステップ、エルメ(L Message)、Linyなどがあり、いずれもLINEヤフーとは別の会社が提供しています。
| 機能 | LINE公式アカウント単体 | 拡張ツールをつないだ場合 |
|---|---|---|
| 友だちの記録 | チャット画面で、手動でタグやノートを付ける | 回答・予約・ボタンのタップに応じて、自動でタグや情報が付く |
| 絞り込み配信 | 推計の属性(性別・年代など)と、50人以上のオーディエンス | タグ、回答の内容、来店日などで、1人単位から絞れる |
| ステップ配信 | 友だち追加やオーディエンスを起点に送る | タグの付与・予約・回答など、任意の出来事を起点に送れる |
| リッチメニュー | 基本は全員に同じメニュー | 友だちの状態ごとにメニューを切り替えられる(プランによる) |
| 予約 | 外部の予約ページやチャットで受ける | ツール内のカレンダーで予約を受け、リマインドを自動で送れる |
| 費用 | 月額0円・5,000円・15,000円(税別)と追加メッセージ | 左の費用に加えて、ツールの月額 |
仕組みの上で押さえておきたいのは、拡張ツールから送るメッセージも、店のLINE公式アカウントから送られる点です。通数はLINE側で数えられ、LINE公式アカウントの料金とツールの料金の両方がかかります。プランごとの月額と通数の計算はLINE公式アカウントの料金プランの選び方で整理しています。
また、1つのLINE公式アカウントにつなぐ拡張ツールは1つが前提です。2つのツールを同時につないで使い分けることはできないため、選ぶ段階で必要な機能がそろっているかを確かめます。
美容室で使う機能は4つ — 予約・タグ・ステップ配信・回答フォーム
拡張ツールには多くの機能がありますが、美容室で使う中心は予約、タグ、ステップ配信、回答フォームの4つです。導入前にこのうちどれを使うかを決めておくと、プラン選びで迷いません。
| 機能 | 美容室での使い方 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 予約(カレンダー予約) | LINEの中で空き枠を選んで予約してもらい、前日にリマインドを自動で送る | 予約台帳をどこに置くか。予約システムと併用すると二重予約の原因になる |
| タグ | 来店回数・主なメニュー・担当・最終来店月などで友だちを分類する | タグの名前のルールと、誰がいつ付けるか |
| ステップ配信 | 初回来店のお礼、1週間後のホームケアの案内、来店周期の前の予約案内を自動で送る | 予約が入った人には送らない停止条件 |
| 回答フォーム | 事前カウンセリング、来店後アンケート、髪の悩みの聞き取り | 聞く項目を最小限にし、肌トラブルなど健康に関わる情報の扱いを決める |
4つのうち美容室で使い道が広いのは、タグとステップ配信の組み合わせです。初回来店のお客様にタグを付け、来店日を起点に案内を送れば、2回目の来店を促す連絡を手作業なしで続けられます。ステップの組み方はLINEステップ配信の作り方、タグの最小構成はLINE顧客管理タグの設計、事前カウンセリングの項目はLINE事前カウンセリング設計で扱っています。
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費用はどう比べるか — 月額だけでなく7つの軸で見る
拡張ツールの費用は、ツールの月額に加えて、LINE公式アカウントの料金、必要な機能が載っているプラン、契約期間と解約の条件を合わせて比べます。月額が安いプランでも、使いたい機能が上位プランにしかないことがあります。
| 比較軸 | 確認すること | 美容室での見方 |
|---|---|---|
| ① 月額と課金の始まり | 無料期間、初月無料の条件、課金日 | 無料期間のうちに予約・タグ・ステップ配信を試せるか |
| ② 配信数の数え方 | ツール側の上限と、LINE側の通数は別に数える | 個別トークがツールの送信数に含まれるかも確認する |
| ③ 必要な機能が載っているプラン | 予約カレンダーの数、人ごとのリッチメニュー、流入経路の分析 | スタイリストごとに予約カレンダーが要るか |
| ④ スタッフの人数 | 管理画面に入れる人数と、追加1人あたりの料金 | 全員がログインするか、店長だけが触るか |
| ⑤ 契約期間と解約 | 最低利用期間、解約の申請期限 | 合わなかったときに何か月分を払うことになるか |
| ⑥ 乗り換えのしやすさ | データの出力(CSV)、解約後に同じアカウントを再びつなげるか | タグや回答の履歴を持ち出せるか |
| ⑦ サポート | 初期設定の支援、問い合わせの受付時間 | 閉店後に設定する店は、サポートの受付時間も見る |
主なツールの公表料金は次のとおりです。金額は各社の公式サイトに2026年10月時点で掲載されている内容で、変わることがあります。優劣ではなく、上の比較軸に当てはめるための材料として見てください。
| ツール | 月額(公表値) | 契約前に確認しておく条件 |
|---|---|---|
| Lステップ | フリー0円(初めて利用する人に限り1社1アカウント)、スタート5,000円、スタンダード21,780円、プロ32,780円(税込) | 有料プランは3回課金した後から解約できる。人ごとのリッチメニューはスタンダード以上。一度つないだアカウントは解約後に再びつなげない。個別トークも送信数に含む |
| エルメ(L Message) | フリー0円(エルメ側の月間配信1,000通まで)、スタンダード10,780円、プロ33,000円(税込)。初期費用・最低利用期間なし | 予約カレンダー・フォーム・リッチメニューの数がプランで異なる |
| Liny | 運用規模に応じた見積もり。初回にアカウント発行手数料 | 契約期間は1年。支払いは請求書(年一括か月払い) |
3つとも、LINE公式アカウントの料金は別にかかります。ツール側の配信数が無制限のプランでも、LINE側の通数がプランの上限を超えれば、LINE公式アカウントのプランを上げる必要があります。
試算 — 拡張ツールを入れたときの年間の追加費用と、回収に必要な予約数(仮の設定)
友だちが1,200人で、月の通数が4,500通の店を想定します。LINE公式アカウントはライトプラン(税込5,500円)のままで、ツールの月額だけが増えるとします。
| ツールの月額(税込) | 年間の追加費用 | 回収に必要な予約数(年間) |
|---|---|---|
| 5,000円 | 60,000円 | 9件 |
| 10,780円 | 129,360円 | 18件 |
| 21,780円 | 261,360円 | 37件 |
回収に必要な予約数は、年間の追加費用÷(客単価8,000円×材料費を除いた90%)で出しています。ツールがなければ来なかった予約が月に1〜3件ほど増えるかどうかが、判断の目安です。構築を外注するなら、その費用も年間の追加費用に足してください。数字はすべて仮の設定です。
導入すべき店の条件 — 5項目のうち3つ以上で検討する
導入を検討してよいのは、送り分けたい配信があり、運用する人がいて、追加費用を回収できる見込みがある店です。次の5項目のうち3つ以上が当てはまり、そのなかに④が含まれるなら、無料期間で試す価値があります。
- 送り分けたい配信が2種類以上ある:来店周期の案内、メニュー別の案内、新規客のフォローなど、全員に同じ内容を送らないほうがよい連絡がある。
- 来店日や回答を起点に自動で送りたい:初回来店の翌週・翌月の連絡を、手作業では続けられていない。
- LINEで受けたい情報がある:事前カウンセリング、予約、来店後アンケートをLINEで受けたい。
- 週1回は管理画面を見る担当者がいる:タグの付け忘れや、止まったステップ配信に気づいて直せる。
- 回収の見込みがある:上の試算で、回収に必要な予約数が現実的な範囲に収まる。
反対に、使っている予約システムに顧客管理とLINE連携の機能があり、来店日にもとづく案内をすでに送れているなら、拡張ツールを足す前にその機能を使い切るほうが費用を抑えられます。予約システムの比べ方は予約システムの選び方を参照してください。
導入と乗り換えの手順 — 無料期間のうちに確かめること
拡張ツールは、目的を1つに決め、無料期間で最小構成を試してから本番の運用に移す順番で入れます。最初から全機能を設定しようとすると、無料期間が設定作業だけで終わります。
-
目的を1つに決める
例えば「初回来店のお客様の2回目の来店」のように、1つに絞ります。目的が決まれば、必要な機能とプランが決まります。
-
連携と解約の条件を読む
本番のLINE公式アカウントをつなぐ前に、解約後の再連携や、つなぐアカウントの変更ができるかを利用規約と料金ページで確認します。一度つないだアカウントを解約後に再びつなげないと定めているツールもあります。
-
最小構成を作ってテストする
タグを3〜5個、ステップ配信を3通、回答フォームを1つほど作ります。スタッフのLINEで友だち追加し、届く順番、停止条件、予約済みの人が外れるかを確かめます。
-
既存の友だちの情報を少しずつ埋める
ツールを入れる前からの友だちは、ツール側に来店日などの情報がありません。来店時に回答フォームに答えてもらう、タップで選べるアンケートを送るなどして、少しずつ情報を集め直します。
-
乗り換えるときは切り替えの週を決める
旧ツールのデータを出力し、リッチメニューとあいさつメッセージの差し替え、旧ツールの解約、新ツールの連携を同じ週にまとめます。期間が空くと、その間の予約や回答の記録が抜けます。
ツールを解約すると、ツールの中で作ったタグ、回答、予約の履歴、シナリオは使えなくなります。友だちとLINE公式アカウントは残りますが、ツール側のデータは解約前に必ず出力しておいてください。出力できる項目と形式はツールごとに違います。
構築を外部に頼むときに確認すること
構築を代行会社や個人に頼む場合も、LINE公式アカウントと拡張ツールの契約・管理者の権限は店が持つ形にしてください。外注先の名義になっていると、契約が終わるときに友だちやデータを引き継げなくなるおそれがあります。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| LINE公式アカウントの管理者にオーナー本人が入っているか | 外注先には運用担当者の権限で足りる。管理者が外注先だけだと、店が設定を変えられない |
| ツールの契約名義と支払いが店になっているか | 名義が外注先だと、契約終了とともにツールが止まる |
| 構築費と毎月の運用費の内訳 | 一度きりの費用と毎月の費用を分けて、年間の総額を出す |
| 納品物の一覧 | タグの一覧、シナリオの文面と配信条件、フォームの項目を文書で受け取る |
| 契約が終わるときの引き継ぎ方法 | 外注先の権限の削除と、データの出力を誰が行うかを決めておく |
VAULTAも美容室のLINE公式アカウントの構築を支援していますが、どこに頼む場合でも確認すべき点は同じです。権限の分け方と外したときの手順はLINEスタッフ権限管理でまとめています。
拡張ツールを申し込む前に、次の8項目を確認してください。
- 予約・タグ・ステップ配信・回答フォームのうち、使う機能を決めた
- 予約台帳を予約システムとツールのどちらに置くかを決めた
- 使う機能が、検討しているプランに含まれている
- LINE公式アカウントの料金を含めた、年間の総額を出した
- 最低利用期間と解約の申請期限を確認した
- 解約後の再連携と、データを出力できる範囲を確認した
- 週1回は管理画面を見る担当者を決めた
- 外注する場合、管理者の権限と契約名義が店にある
よくある質問
無料プランの拡張ツールだけで運用できますか?
小規模ならできる場合があります。ただしフリープランは使える機能や数に上限があり、LINE公式アカウントの通数と料金は別にかかります。試すなら、上位プランに移るときの条件とデータの引き継ぎ方を先に確認してください。
拡張ツールを入れると、LINE公式アカウントの料金は安くなりますか?
安くはなりません。拡張ツールから送るメッセージも、LINE公式アカウントの通数として数えられます。ただし、全員への配信を必要な人だけへの配信に変えて通数が減れば、LINE公式アカウントのプランを下げられる場合があります。
1つのLINE公式アカウントに、2つの拡張ツールをつなげますか?
基本的にはつなげません。拡張ツールはLINE公式アカウントのMessaging APIにつないで動くため、1つのアカウントに1つのツールが前提です。受け取った情報を別のシステムに転送する機能を持つツールもありますが、機能が足りない場合はプランを上げるかツールを乗り換えるのが基本です。
予約システムを使っていても、拡張ツールの予約機能を使うべきですか?
使わないほうが安全です。予約台帳は1つにするのが原則で、予約システムで予約を受けているなら、LINEからその予約ページに案内する形にしたほうが二重予約を防げます。
途中で別の拡張ツールに乗り換えられますか?
乗り換えられますが、タグや回答の履歴などツール側のデータは、出力できる範囲でしか引き継げません。一度つないだLINE公式アカウントを解約後に再びつなげないと定めているツールもあるため、契約前に確認してください。
構築を外注すると、LINE公式アカウントは誰のものになりますか?
店のものにしておくべきです。LINE公式アカウントの管理者とツールの契約名義を店にしておけば、外注をやめても友だちとデータは店に残ります。外注先には運用担当者の権限を渡す形にしてください。
出典:Lステップ公式サイト「料金プラン」、L Message(エルメ)公式サイト「料金プラン」、Liny公式サイト「料金」、LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」、LINE公式アカウント マニュアル「属性で絞り込んで配信する」、LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント『ステップ配信』の機能追加のお知らせ」(2022年2月)。料金と機能は2026年10月時点の各社公式サイトの表示で、変更されることがあります。契約前に各社の最新の利用規約と料金表を確認してください。
拡張ツール選びは、使う機能を予約・タグ・ステップ配信・回答フォームの中から決めることから始めてください。そのうえで比較軸の表に候補のツールを当てはめ、無料期間のうちに最小構成で試します。
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