美容室が潰れる確率より先に見るもの|毎月出す4つの数字と、資金繰りの危険サイン

美容室 潰れる 確率|美容室の店内の様子

「美容室が潰れる確率」を調べても、業種を限定した公的な統計は公表されていません。そして仮に分かっても、自分の店が続くかどうかの判断には使えません。

この記事では、確率の代わりに毎月出すべき4つの数字、資金繰りが詰まる入口、危険サインの見分け方、そして詰まりかけたときに手をつける順番を整理します。

目次

結論:確率ではなく「あと何か月もつか」を毎月出す

店が続かなくなる直接の理由は、赤字そのものではありません。赤字が続いた結果、支払いに充てる現金が尽きることです。利益が出ていても入金より支払いが先に来れば資金は詰まりますし、赤字でも手元資金が厚ければすぐには止まりません。

だから見るべきは損益ではなく現金です。手元にいくらあり、毎月いくら減っているか。この2つから「あと何か月もつか」が出ます。この数字を毎月更新していれば、危険な状態に入る何か月も前に気づけます。

逆に、通帳の残高だけを見ていると気づくのが遅れます。売上の入金と仕入れの支払いがずれるため、残高は上下します。上下の波に隠れて、じわじわ減っていることが見えなくなるのです。

開業前の備えについては独立の成功率をどう考えるかで扱っています。この記事は、すでに営業している店の見方です。

美容室 潰れる 確率|美容室の店内の様子

公的データから読み取れること

事業の継続については、中小企業庁の「中小企業白書」に開業年次ごとの生存率や、休廃業・解散に関する集計が掲載されています。業種横断のデータですが、年数の経過とともに事業所数が減っていく傾向は読み取れます。

また、美容所の施設数は厚生労働省の「衛生行政報告例」で公表されており、全国の推移を確認できます。開業と廃業が両方起きた結果としての増減が分かります。

出典:中小企業庁「中小企業白書」、厚生労働省「衛生行政報告例」。公表年により数値は異なります。最新版は各省庁の公表資料をご確認ください。

注意したいのは、廃業のすべてが経営の失敗ではないことです。移転、法人化、事業承継、体調や年齢を理由とした引退も廃業として集計されます。統計上の減少をそのまま「潰れた店の数」と読むのは正確ではありません。だからこそ、外の数字ではなく自店の数字を見る必要があります。

資金繰りが詰まる4つの入口

  1. 季節変動を平準化していない。繁忙期の入金を運転資金と考えて使い切ると、閑散期に足りなくなります。年間の資金計画がないと毎年同じことが起きます。
  2. 納税と社会保険の支払いを見込んでいない。所得税・住民税・消費税は、利益が出た翌年に来ます。手元の現金を全部使っていると、この時期に詰まります。
  3. 借入の返済が粗利に対して重い。設備投資の借入は、返済が固定費として毎月出ていきます。売上が落ちても返済額は変わりません。
  4. 売上の減少に気づくのが遅い。月次で数字を見ていないと、3か月経ってから「そういえば減っている」となります。手を打つ時間が失われます。

②は特に多い入口です。利益が出た年ほど翌年の納税額が増えるため、好調だった翌年に苦しくなるという逆転が起きます。納税用の資金を売上と分けて管理するだけで、この入口は塞げます。準備の考え方は確定申告と経費の知識で扱っています。

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毎月出す4つの数字

  1. 手元資金

    事業用の口座残高と現金の合計です。生活費用の口座とは分けてください。混ざっていると、事業がもっているのか分かりません。

  2. 月の固定費

    家賃、水道光熱費、通信費、リース料、保険料、借入返済、人件費の合計。売上に関係なく毎月出ていく額です。

  3. 月の粗利

    売上 − 材料費。ここから固定費を引いた額が、その月の実質的な増減です。

  4. もつ月数

    手元資金 ÷(固定費 − 粗利)。粗利が固定費を上回っていれば計算不要ですが、下回っている月は必ず出してください。

たとえば手元資金180万円、固定費60万円、粗利45万円という仮の条件なら、毎月15万円ずつ減ります。180 ÷ 15 = 12か月です。1年以内に粗利を15万円増やすか、固定費を減らす必要があると分かります。

上記は計算方法を示すための仮の数値です。実際の金額は店舗の規模によって異なります。

この4つは、5分あれば出せます。毎月同じ日に記録して、3か月並べてください。1か月だけでは判断できませんが、3か月並ぶと方向が見えます。

美容室 潰れる 確率|美容室でのカウンセリングの様子

もつ月数が計算できると、打ち手の選び方も変わります。残り12か月なら、時間のかかる集客の立て直しにも取り組めます。残り3か月なら、まず固定費を下げて時間を稼ぐしかありません。同じ状況でも、残された時間によって正解が変わります。

危険サインの見分け方

サイン 意味 対応の目安
もつ月数が6か月を切った 選択肢が狭まり始めている 固定費の見直しに着手
3か月続けて粗利が固定費を下回る 一時的な変動ではない 原因の切り分けを行う
支払いを翌月に回し始めた 資金繰りが逼迫している 早期に金融機関へ相談
既存客の再来店率が落ちている 売上の土台が崩れている 失客の原因を確認
新規に頼る割合が増えている 広告費が増え粗利が薄くなる 既存客の周期を見直す

「支払いを翌月に回す」が出た時点で、相談は早いほど選択肢が多く残ります。金融機関は、資金が尽きてからより、余力があるうちのほうが対応の幅があります。

再来店率の落ち込みは、売上より先に出るサインです。確認の仕方は失客を防ぐ原因と対策を参考にしてください。

サインが出ているかどうかを、月末に3分で確認する習慣にしてください。表の5項目に「はい・いいえ」で答えるだけです。1つでも「はい」があれば、その月のうちに対応を始めます。翌月に持ち越すと、選択肢が1つずつ減っていきます。

詰まりかけたときに手をつける順番

打ち手には、効き始めるまでの時間差があります。効くのが早い順に着手すると、資金が持ちます。

最初に見るのは固定費です。使っていないサブスクリプション、過剰な保険、稼働に合っていないリース。ここは今月中に手をつけられ、来月から効きます。次に材料費です。1人あたりの使用量を測ると、下げられる工程が見つかることがあります。

三番目が既存客の来店周期です。新規を増やすより、いま来ている人にもう1回来てもらうほうが早く、費用もかかりません。四番目が新規集客で、これは費用が先に出て効くのが最も遅い打ち手です。

苦しいときほど広告費を増やしたくなりますが、順番としては最後です。資金が減っている状態で最も遅い打ち手から始めると、効果が出る前に資金が尽きます。

今月やることのチェックリスト

不安を感じているなら、まずこの5つを埋めてください。数字が出れば、状況は具体的になります。

  1. 事業用と生活用の口座を分けた。
  2. 手元資金・固定費・粗利を、直近3か月ぶん書き出した。
  3. 「もつ月数」を計算した。
  4. 納税用の資金を別枠で確保する方法を決めた。
  5. 固定費のうち、今月中に削れるものを1つ以上見つけた。

美容室 潰れる 確率|美容室のスタッフ・チームの様子

確率を調べても状況は変わりませんが、この5つを埋めれば、あと何か月の猶予があるかがはっきりします。まず3か月分の数字を書き出すところから始めてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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