美容室の2店舗目を出す判断基準|出店前に満たすべき条件と失敗の型

美容室で施術を受けるお客様

美容室の2店舗目を出す判断で見るべきは、売上でも予約の埋まり具合でもなく「1店舗目が自分なしで回るか」です。ここが満たせていないと、2店舗目を出した瞬間に1店舗目の数字が落ちます。

この記事では、出店前に満たすべき条件、判断に使う数字、資金の考え方、そしてよくある失敗の型を整理します。

目次

結論:美容室の2店舗目は「1店舗目が自走してから」出す

2店舗目を出すと、オーナーの時間は必ず分散します。新店の立ち上げには、採用・内装・集客・オペレーション構築のすべてが同時に発生するためです。

そのとき1店舗目が自分の存在に依存していると、売上が落ちます。判断の第一条件は、自分が1か月不在でも1店舗目の数字が維持されることです。これを試してから決めても遅くありません。

利益構造の見方は売上と利益の改善、経営数値の基本は美容室経営の数字の見方で扱っています。

美容室で施術を受けるお客様

試す方法もあります。1か月とは言わずとも、まず1週間まるごと店を離れてみてください。その週の売上と、戻ったときに溜まっている判断事項の量を見れば、自走できているかはすぐに分かります。

出店前に満たすべき5条件

  1. 1店舗目が自分抜きで回る。店長を任せられる人がいて、判断が現場で完結する状態です。
  2. 新店の店長候補が既にいる。出店を決めてから探すと、開店に間に合いません。
  3. 手元資金が新店の投資額に加えて、1店舗目の運転資金6か月分ある。新店の赤字期間を1店舗目の利益で支える構造になります。
  4. 1店舗目の利益が安定して出ている。赤字の状態で2店舗目を出すと、赤字が2倍になります。
  5. 仕組みが言語化されている。接客・技術・予約の手順が文書になっているかどうかで、立ち上げ速度が変わります。

このうち②が最も詰まりやすい条件です。店長候補は外部から採用するより、1店舗目で育てた人のほうが立ち上がりが早くなります。育成には時間がかかるため、出店を考え始めた時点で着手しておく必要があります。

⑤も軽視されがちです。オーナーの頭の中にしかない基準は、2店舗目に移せません。手順を文書にする作業は、そのまま新店の教育資料になります。

③の手元資金については、新店の投資額だけを見て判断しないでください。開店してすぐ黒字になる店はまれです。少なくとも半年から1年は赤字が続く前提で、その間の家賃と人件費を払い切れるかを計算してください。

④の「安定して黒字」というのは、良い月だけでなく閑散期も含めた12か月の平均で見るということです。繁忙期の数字だけを根拠に判断すると、閑散期に両店の資金が同時に細ります。直近1年の月次推移を並べて確認してください。

判断に使う数字

指標 見る内容 目安の考え方
営業利益率 1店舗目の利益の厚み 安定して黒字が続いているか
予約の充足率 枠がどれだけ埋まっているか 断りが常態化しているか
オーナー稼働比率 売上のうち自分の施術分 低いほど自走している
手元資金 現預金の月商倍率 投資後に何か月分残るか

上表は判断の観点を整理したものです。基準値は店の規模や業態によって異なります。

とくに3つ目のオーナー稼働比率は、意外と見られていません。売上の半分を自分が作っている状態で2店舗目を出すと、自分が抜けた分がそのまま減ります。

美容室のヘアモデルのスタイル

予約の充足率も注意して読む必要があります。土日だけ埋まっていて平日に空きがあるなら、需要が足りないのではなく時間帯が偏っているだけかもしれません。この場合、2店舗目より平日の集客に手を入れるほうが投資対効果は高くなります。

オーナー稼働比率を下げる作業は、出店の準備そのものでもあります。自分の顧客を他のスタイリストに引き継ぐには時間がかかります。半年ほどかけて段階的に移していくと、失客を抑えながら比率を下げられます。

VAULTA|美容室専門のLINE公式サポート

美容室特化型のLINE公式、
無料でつくれます。

集客・リピート・求人のヒントをLINEで配信。美容室に特化した公式アカウントを無料で作成・運用サポートします。

無料でLINE公式を作成する

友だち追加だけ。相談・作成は無料です。

資金の考え方

2店舗目の資金は、1店舗目の開業時とは前提が変わります。実績があるぶん融資の話は進めやすくなる一方、返済が二重になります。

日本政策金融公庫では、創業期以外の事業者向けにも各種の融資制度が用意されています。既存事業の実績を示す資料が必要になるため、決算書や試算表を整えておくことが前提になります。

出典:日本政策金融公庫の融資制度に関する案内。制度の内容や要件は変更されることがあるため、最新の情報は同公庫の公式サイトでご確認ください。

実務上の注意は2点です。第一に、新店が黒字化するまでの期間を長めに見積もること。第二に、その期間の赤字を1店舗目の利益で吸収できるかを確認すること。ここを楽観的に置くと、両店とも資金が細ります。

月々の資金の動きは資金繰り表の作り方で、2店舗分をまとめて管理してください。店舗別と合算の両方を見る形が必要になります。

返済負担も先に計算してください。1店舗目の返済が残っている状態で新たに借りると、月々の返済額が合算されます。両店の営業利益の合計から、この合算した返済額を引いても手元に残るかどうか。ここが成立しないなら、時期を後ろにずらす判断が現実的です。

よくある失敗の型

失敗の多くは、出店そのものではなく順番の誤りから生じます。店長不在のまま出店する、1店舗目の利益が不安定なまま出店する、手元資金を投資に使い切る。この3つが重なると、立て直しが難しくなります。

  1. オーナーが新店に張り付く

    結果として1店舗目が緩みます。新店に注力するなら、1店舗目の体制を先に固めてください。

  2. 1店舗目からスタッフを抜く

    新店の人員を既存店から補うと、1店舗目の対応力が落ちます。採用と育成を先に済ませる必要があります。

  3. 立地を実績で選ばない

    1店舗目の成功要因が立地にあるなら、それを再現できるかを検証します。同じやり方が別の商圏で通じるとは限りません。

  4. やめる基準を決めていない

    撤退の判断基準を先に決めておきます。決めていないと、損失が膨らんでから動くことになります。

④のやめる基準については、開店前に紙に書いておいてください。「開店から18か月で単月黒字にならなければ撤退を検討する」といった形です。始めてから決めようとすると、投じた費用が判断を鈍らせます。

出さないという選択肢も比べる

2店舗目は成長の唯一の手段ではありません。同じ資金と時間を1店舗目に投じる選択肢と、必ず比較してください。

単価を上げる、席数を増やす、営業時間を延ばす、店販を強化する。これらは新店の立ち上げより投資が小さく、失敗したときの損失も限定的です。1店舗目の利益率がまだ伸ばせる状態なら、こちらが先です。

美容室のスタッフが打ち合わせをする様子

それでも2店舗目を選ぶ理由があるなら、それは規模ではなく、スタッフの成長の場を作るためであることが多いはずです。ポストが増えれば、店長を目指す人の道筋ができます。この目的なら、採用と定着の面で投資に見合う可能性があります。

いずれにせよ、判断は数字と体制の両方で行ってください。売上が良いから、という理由だけで動くと、1店舗目まで揺らぐことになります。

VAULTA|美容室専門のLINE公式サポート

美容室に特化したLINE公式、
無料でおつくりします。

予約・再来店・求人・販促まで、LINEひとつで。美容室の集客と経営に効く公式アカウントを、無料で作成します。

無料でLINE公式を作成する

友だち追加だけ。相談・作成は無料です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

コメント

コメントする

目次