美容室の保健所に出す図面の書き方|平面図に書く項目・作業室の面積の測り方・提出前の確認

美容室の開設届には、店の構造設備を示す平面図と、場所を示す付近見取図を添えるのが基本です。平面図には作業室の内法寸法と面積(東京都では13㎡以上)、セット椅子の台数、待合との区画、シャンプー台と消毒設備の位置を書き、内装工事の前に保健所の事前相談で確認を受けます。

添付する図面の種類、作業室の面積の測り方と椅子の台数の基準、平面図に書く項目、手書きでよいか、提出の時期と事前相談の進め方を、提出前のチェックリストつきで整理します。構造設備の基準は自治体の条例で差があるため、東京都の基準を例に示します(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:保健所に出す図面で押さえる5つのこと

保健所が図面で確認するのは、「作業室の広さ」「客待ちとの区画」「衛生設備の位置」の3点が中心です。図面はこれが読み取れれば十分で、デザインの見栄えは問われません。

論点 押さえること 根拠
① 図面を出す理由 開設届には「美容所の構造及び設備の概要」を書く必要があり、それを示すのが図面 美容師法第11条、同法施行規則第19条第1項第4号
② 図面の種類 平面図と付近見取図が基本。様式や追加の図面は保健所ごとに異なる 各自治体の規則・手引き
③ 作業室の面積 内法(壁の内側)で13㎡以上。作業いすが6台を超えると1台ごとに3㎡を加算(東京都の例) 東京都「美容所の開設に関する基準等について」
④ 書き込む設備 待合との区画、洗場(流水)、消毒設備、消毒済み・未消毒の容器、ふた付きの汚物箱・毛髪箱、照明・換気 美容師法第13条、自治体の条例
⑤ 提出の時期 開設前に届け出て、検査で確認を受けるまで店を使えない。図面は工事前の事前相談で見てもらう 美容師法第11条・第12条

開設届を出さずに営業したり、検査の確認前に店を使ったりすると、30万円以下の罰金の対象です(美容師法第18条)。図面の不備で検査が通らないと開店日がずれ込むため、図面は工事の前に固めておくことが大切です。

開設届に添付する図面の種類 — 平面図と付近見取図が基本

美容室の開設届に添える図面は、店内の配置を示す平面図と、店の場所を示す付近見取図の2種類が基本です。保健所によっては、ビル内の位置が分かる図や、照明・換気設備の配置図を別に求められることがあります。

図面 示すこと 作り方の目安
平面図(配置図) 作業室・待合・バックヤードの範囲と寸法、作業室の面積、セット椅子とシャンプー台の位置と台数、衛生設備の位置 内装業者の図面に保健所向けの項目を書き足すか、方眼紙に縮尺をそろえて作る
付近見取図(案内図) 最寄り駅や目印からの道順、店の位置、方位。ビルの場合は階数と区画 地図をもとに、検査の担当者が迷わず来られる程度に簡潔に
建物内の位置図(求められた場合) ビルの何階のどの区画か、共用部分との関係 ビルの管理会社の資料を使うと早い

図面以外に、美容師法施行規則第19条で求められる書類として、従業する美容師の医師の診断書(結核・皮膚疾患などの有無)と、美容師が常時2人以上いる店では管理美容師の資格を証する書類があります。このほか、美容師免許証の提示や、法人の場合の登記事項証明書を求める保健所が多くあります。診断書の取り方は開業で医師の診断書が要る理由で解説しています。

作業室の面積の測り方 — 内法で13㎡以上、7台目から1台ごとに3㎡

作業室の面積は、壁の内側の寸法(内法)で測ります。東京都の基準では、作業室1室の床面積は13㎡以上で、13㎡の作業室に置ける作業いすは6台まで、7台目からは1台ごとに3㎡を加えた面積が必要です。

作業室とは、カット・カラー・パーマなどの施術を行う部屋のことで、待合やバックヤード、トイレは含みません。物件の募集図面に書かれた面積は壁の中心線で測った「壁芯」であることが多く、内法で測ると小さくなる点に注意してください。

作業いすの台数 作業室の最低面積(東京都の基準) 坪に直すと
1〜6台 13㎡ 約3.9坪
7台 16㎡ 約4.8坪
8台 19㎡ 約5.7坪
9台 22㎡ 約6.7坪
10台 25㎡ 約7.6坪

表は法令上の最低ラインです。実際の店は通路やシャンプー台まわり、ワゴンの置き場が必要なため、セット面1台あたりの面積はこれよりかなり広くなります。席数から必要な坪数を逆算する方法は開業坪数の決め方を参照してください。

試算 — L字型の作業室の面積を図面に書く(仮の設定)

作業室がL字型のときは、長方形に分けて計算し、図面に計算式をそのまま書きます。内法で「4.2m×3.0m」の部分と「2.0m×1.5m」の部分に分かれる場合、12.6㎡+3.0㎡=15.6㎡です。13㎡以上なので作業いす6台までは基準を満たしますが、7台置くには16㎡が必要で、0.4㎡足りません。

柱の出っ張りや造り付けの棚を面積から除くかどうかは、保健所によって扱いが分かれます。除いた面積でも基準を満たすように設計しておくと、検査で指摘されても慌てずに済みます。数字は自分で置いた前提による試算です。

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平面図に書く項目と基準 — 待合・消毒設備・洗場・照明・換気

平面図には、面積と台数に加えて、美容師法第13条の衛生措置を講じられる設備がどこにあるかを書き込みます。設備の名称を図の中に文字で書き、凡例を添えると検査の担当者が読み取りやすくなります。

項目 図面への書き方 基準(東京都の例)
作業室 範囲を太線で囲み、内法寸法と面積の計算式を書く 13㎡以上。7台目から1台ごとに3㎡加算
作業いす(セット椅子) 位置を記号で示し、台数を書く 上の面積基準の範囲内
待合 場所と、作業室との区画(壁・パーテーション・カウンター)を示す 作業前の客を作業室と明確に区分された場所で待たせる
洗場(シャンプー台) 位置と台数。給湯・排水の位置も添える 流水装置を設ける
消毒設備 消毒器・消毒液を置く場所 器具の種類に応じた消毒ができる設備を設ける
器具の容器 消毒済みと未消毒の容器の置き場所 消毒済み物品と未消毒物品の容器を分けて備える
汚物箱・毛髪箱 置き場所 ふた付きのものを備える
床・腰板 仕上げ材の名称を書く(例:塩ビタイル、長尺シート) コンクリート・タイル・リノリウム・板など不浸透性の材料
照明 照明器具の位置。必要に応じて照度の計画値 作業面の照度100ルクス以上
換気 換気扇・給気口・開閉できる窓の位置 店内の炭酸ガス濃度0.5%以下

東京都の基準は、都の保健所が担当する区域(特別区・八王子市・町田市を除く)のものです。特別区や保健所を設置している市は、それぞれの条例で基準を定めています。数値や区画の求め方は自治体ごとに違うため、開設予定地を管轄する保健所の手引きで必ず確認してください。

自宅の一部で開業する場合は、住居部分と美容室部分の境界と、お客様の出入口も図面に示します。住居との区画の求め方は自治体による差が大きいため、自宅サロンで開業する方法もあわせて確認してください。

図面は手書きでよいか — 内装業者の図面に書き足す項目

保健所に出す図面は、縮尺と寸法が正確に読み取れれば、手書きでも受け付けている保健所があります。開設者本人が作成しても構いません。ただし実際には、内装業者や設計者が作ったCAD図面を流用し、保健所向けの項目を書き足す方法が早く確実です。

内装業者の図面は工事のための図面なので、保健所が見たい項目が抜けていることがよくあります。提出前に、次の項目が入っているかを確認してください。

  1. 作業室の範囲と面積の計算式:工事図面には部屋の区分がないことが多いため、作業室を太線で囲み、内法寸法で計算した面積を書きます。
  2. 作業いすとシャンプー台の台数:記号だけでなく「セット椅子6台」「シャンプー台2台」と文字で書きます。
  3. 待合の位置と区画の方法:区画が家具やカーテンだけの場合は、事前相談で認められるかを確認します。
  4. 衛生設備の名称:消毒器、消毒済み・未消毒の容器、汚物箱、毛髪箱の位置を書き込みます。
  5. 縮尺と方位:縮尺(例:1/50)を明記し、寸法の単位をそろえます。

手書きで作る場合は、方眼紙を使い、1マスの長さを決めて縮尺をそろえます。寸法はメジャーで内法を実測し、現地調査の日付と測った人の名前を余白に書いておくと、後で数字を確かめやすくなります。内装の依頼先によって図面の作り込みが違うため、見積もりの段階で「保健所に出す図面の作成も含むか」を確認しておくと安心です。

図面の提出時期と事前相談 — 工事の前に相談し、開設前に届け出る

図面を保健所に最初に見せるのは、物件を決める前後と内装工事に入る前です。美容師法は開設届を「あらかじめ」出すことを求めていますが、工事が終わってから基準に合わないと分かると、やり直しの費用と時間がかかります。

  1. 物件の契約前に、間取り図を持って相談する

    募集図面や手書きの間取りで構いません。作業室を13㎡以上とれるか、待合を区画できるか、給排水の位置でシャンプー台を置けるかを確認します。

  2. 内装の設計がまとまったら、平面図で事前相談する

    セット椅子の台数、区画の方法、床材、換気の計画を図面で見てもらいます。指摘された点は、工事の前に図面へ反映します。

  3. 開設予定日から逆算して開設届を出す

    提出の期限や検査までの日数の目安は保健所ごとに違います。図面・診断書・免許証などをそろえ、検査の希望日とあわせて相談します。

  4. 工事完了後に検査を受け、確認後に営業を始める

    検査では、図面どおりの面積・台数・設備になっているかを現地で確認されます。確認を受けるまで店を使うことはできません。

保健所の検査の流れと当日見られる点は保健所の検査と基準、同じ時期に必要になる消防署への届出は開業で必要な消防の手続きを参照してください。開業後にセット面やシャンプー台を増やすときも、構造設備の変更として届出が必要です。

保健所に出す前に、図面を次の10項目で点検してください。

  • 作業室の範囲を示し、内法寸法と面積の計算式を書いた
  • 柱や造り付けの棚を除いた面積でも基準を満たしている
  • 作業いすの台数が面積の基準(東京都なら7台目から1台3㎡加算)の範囲内
  • 待合の位置と、作業室との区画の方法を示した
  • シャンプー台(洗場)の位置と台数、給湯・排水の位置を書いた
  • 消毒設備、消毒済み・未消毒の容器、ふた付きの汚物箱・毛髪箱の位置を書いた
  • 床の仕上げ材の名称、照明と換気設備の位置を書いた
  • 縮尺・方位・寸法の単位がそろっている
  • 付近見取図に最寄り駅や目印からの道順と、ビルの階数を書いた
  • 図面の内容が、開設届に書く台数や従業者の数と一致している

よくある質問

自宅の一室で開業する場合も図面は必要ですか?

必要です。自宅でも美容所として開設届を出すため、作業室の面積や設備の配置に加えて、住居部分との境界とお客様の出入口を図面に示すよう求められるのが一般的です。

シャンプー台は作業いすの台数に含まれますか?

扱いは自治体によって異なります。作業いすの数え方は面積の基準に直接関わるため、セット椅子とシャンプー台をそれぞれ何台置くかを図面に書いたうえで、事前相談で確認してください。

保健所に出す図面は自分で書いてもよいですか?

書いても構いません。開設者本人が作成した図面でも、縮尺と寸法が正確で、作業室の面積や設備の位置が読み取れれば提出できます。手書きを受け付けるかは保健所に確認してください。

図面と実際の店舗が違っていたらどうなりますか?

検査で指摘され、直すまで確認を受けられません。面積や台数が基準を満たさなければ、是正後に再検査となり、開店日が遅れることがあります。

開業後にセット面を増やすときも図面を出しますか?

出すのが一般的です。作業いすの増設は構造設備の変更にあたるため、変更の届出が必要で、変更後の平面図を添えるよう求める保健所が多くあります。

出典:美容師法第2条・第11条・第12条・第13条・第18条、美容師法施行規則第19条(e-Gov法令検索「美容師法」)、東京都保健医療局「美容所の開設に関する基準等について」「よくある質問(美容所)」。構造設備の基準と提出書類は自治体の条例・手引きにより異なります。個別の判断は開設予定地を管轄する保健所に確認してください。

保健所に出す図面づくりは、物件の間取り図を持って保健所に事前相談することから始めてください。作業室の面積と区画が固まれば、あとは設備の位置を書き足すだけです。セット面を増やす場合の届出はセット面・シャンプー台の増設と変更届にまとめています。

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この記事を書いた人

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