美容室の数と美容師の数の推移|厚生労働省の統計で見る業界規模と、1店舗あたりの人数

美容室の数と美容師の数の推移|厚生労働省の統計で見る業界規模と、1店舗あたりの人数

厚生労働省の衛生行政報告例によると、2025年3月末(令和6年度末)の美容所(美容室)は277,752施設、そこで働く従業美容師は588,291人です。10年前より施設は約4万、美容師は約9万人増えましたが、1施設あたりの美容師は約2.1人でほとんど変わっていません。

この記事では、美容所数と従業美容師数の10年の推移、理容所との比較、都道府県別・指定都市別の傾向、自分の地域の数字の出し方、統計の数え方と注意点を整理します。

美容室の数と美容師の数の要点|2025年3月末で美容所277,752施設・従業美容師588,291人
目次

結論:美容室は10年で約4万施設増えたが、1店あたりの人数は約2.1人のまま

平成26年度末(2015年3月末)の237,525施設から、令和6年度末には277,752施設へと、10年で40,227施設(16.9%)増えました。従業美容師も496,697人から588,291人へ、91,594人(18.4%)増えています。店の数と美容師の数がほぼ同じ割合で増えているため、1施設あたりの人数は2.1人前後で横ばいです。

出店エリアの人口や需要の調べ方は出店エリアの人口と需要の調べ方、売上の規模感は美容室の売上の平均で扱っています。この記事は、公的統計で見る「美容室と美容師の数」に絞ります。

衛生行政報告例とは:美容所数と従業美容師数の数え方

衛生行政報告例とは、厚生労働省が都道府県・指定都市・中核市からの報告をもとに、衛生行政の実態を毎年度まとめている統計です。美容所と従業美容師の数は「生活衛生関係」の年度報として、各年度末(3月末)現在の数が公表されています。

美容師法では、美容所とは「美容の業を行うために設けられた施設」のことです。開設する人は、位置や構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名などを、あらかじめ都道府県知事に届け出ます(窓口は保健所)。統計の数は、自治体が届出などをもとに把握している数と考えると、読み違いが減ります。

  1. 美容所数:年度末の時点で把握されている美容所の数です。自宅サロンも美容所として届け出ていれば含まれます。理容所と美容所を重ねて開設している施設は、令和6年度末で381施設あります(再掲)。
  2. 従業美容師数:年度末の時点で、美容所で働く美容師として把握されている人数です。雇用か業務委託かの区別はなく、美容師免許を持つ人全体の数でもありません。
  3. 年度末現在:3月末の一時点の数です。年度の途中で開業して閉業した店は、年度末の数には表れません。

スタッフの入社や退職のたびに保健所へ出す届出は保健所へのスタッフ登録と変更届で扱っています。自店の届出が統計の元になっていると知っておくと、届出の漏れにも気づきやすくなります。

美容所数と従業美容師数の10年の推移

10年間、美容所は毎年およそ2,800〜6,300施設ずつ増え続けています。前年からの増加がいちばん大きかったのは令和3年度末(+6,333施設)で、令和6年度末は+3,682施設でした。

年度末(時点) 美容所数 前年差 従業美容師数 1施設あたり美容師数
平成26年度末(2015年3月) 237,525 — 496,697人 2.09人
平成27年度末(2016年3月) 240,299 +2,774 504,698人 2.10人
平成28年度末(2017年3月) 243,360 +3,061 509,279人 2.09人
平成29年度末(2018年3月) 247,578 +4,218 523,543人 2.11人
平成30年度末(2019年3月) 251,140 +3,562 533,814人 2.13人
令和元年度末(2020年3月) 254,422 +3,282 542,089人 2.13人
令和2年度末(2021年3月) 257,890 +3,468 549,935人 2.13人
令和3年度末(2022年3月) 264,223 +6,333 561,475人 2.12人
令和4年度末(2023年3月) 269,889 +5,666 571,810人 2.12人
令和5年度末(2024年3月) 274,070 +4,181 579,768人 2.12人
令和6年度末(2025年3月) 277,752 +3,682 588,291人 2.12人

1施設あたりの美容師は、平成26年度末の2.09人から令和6年度末の2.12人まで、10年間ほとんど変わっていません。平均で見る限り、大きな店が増えたというより、店の数そのものが増えてきたと読めます。

増え方を率で見ると、令和6年度末は美容所が前年度比1.3%増、従業美容師が1.5%増でした。さらに長い期間では、平成7年(1995年)末の193,918施設から83,834施設(43.2%)増えており、美容所が初めて20万施設を超えたのは平成10年度末(201,379施設)です。

数字から読み取れる3つのこと

  1. 競合の数は毎年増えている:全国では毎年およそ2,800〜6,300施設の純増が続いています。新規客の獲得競争が続く前提で、一度来たお客様に再来してもらう仕組みを持つことが、どの地域でも土台になります。
  2. 小さな店が中心の業界である:1施設あたりの美容師は平均約2.1人です。1人店や少人数の店の経営のしかたが、業界の標準的な姿だといえます。
  3. 全国の数字だけでは判断できない:次の章で見るとおり、人口あたりの店の数も店の規模も地域で大きく違います。出店や採用の判断は、自分の地域の数字で行います。

理容所と比べると、差は10年で広がっている

項目 平成26年度末 令和6年度末 10年の増減
美容所 237,525施設 277,752施設 +40,227(+16.9%)
従業美容師 496,697人 588,291人 +91,594(+18.4%)
理容所 126,546施設 107,995施設 −18,551(−14.7%)
従業理容師 231,053人 194,531人 −36,522(−15.8%)

美容所は理容所の約2.6倍(令和6年度末)で、10年前の約1.9倍から差が広がりました。理容所は10年間毎年減り続け、平成7年末の142,544施設からは30年で34,549施設(24.2%)減っています。美容所とは反対の動きです。

都道府県別に見る美容室の多さと店の規模

都道府県別では、店の数は人口の多い都市部に集まり、人口あたりの店の数は地方のほうが多い傾向です。美容所数の上位5都府県(東京・大阪・愛知・神奈川・埼玉)で、全国の32.0%を占めます。

区分(令和6年度末) 上位の都道府県
美容所数が多い 東京 28,589/大阪 20,929/愛知 14,325/神奈川 13,095/埼玉 11,894
1施設あたり美容師数が多い 東京 3.13人/神奈川 3.06人/大阪 2.33人/愛知 2.31人/埼玉・千葉 2.27人
1施設あたり美容師数が少ない 愛媛 1.37人/徳島 1.40人/鹿児島 1.52人/高知 1.54人/秋田 1.55人
人口10万人あたり美容所数が多い 山梨 333.9/秋田 323.6/徳島 319.1/高知 314.9/鳥取 313.0
人口10万人あたり美容所数が少ない 神奈川 142.0/埼玉 162.2/千葉 167.7/愛知 192.0/宮城 200.2

東京都と神奈川県は1施設あたり3人を超え、スタッフを抱える店が多い地域です。一方、愛媛県や徳島県は1.4人前後で、1人か2人で営む小さな店が中心の地域と考えられます。47都道府県で見ると、人口あたりの店の数が多い県ほど1店あたりの人数が少ない傾向がはっきりしています(相関係数−0.80、VAULTA計算)。

東京都は美容所の10.3%に対し、従業美容師では全国の15.2%(89,533人)を占めます。全国平均は人口10万人あたり美容所224.4施設で、約446人に1施設の計算です。商圏人口から売上を逆算する考え方は、地方で開業するときの商圏人口の見方が参考になります。

人口10万人あたりの従業美容師数では、全国475.2人に対し、東京都631.5人、山梨県574.6人、大阪府556.2人が多く、埼玉県369.0人、千葉県380.1人、熊本県390.6人が少ない結果です(VAULTA計算)。美容師は働く店の所在地で数えられるため、隣の都県の店に通勤して働く人は、住んでいる県の数には入りません。

指定都市でも1店あたりの人数には差がある

衛生行政報告例では、指定都市と中核市の数字も公表されています。令和6年度末の1施設あたり美容師数は、横浜市3.43人、川崎市3.02人、福岡市2.83人、名古屋市2.74人と多い一方、熊本市1.79人、浜松市1.84人、静岡市1.86人と、同じ指定都市でも2倍近い差があります。

大阪市は美容所10,170施設・従業美容師25,923人と、1市で大阪府の約半分の店が集まっています。自分の店がある市の数字が公表されている場合は、都道府県の数字より実態に近い比較ができます。

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試算:自分の地域の美容室の密度を出してみる

ここでは、人口が同じ15万人でも店の状況が違う2つの市を仮の設定で比べます。A市は美容所420施設・従業美容師780人・5年前390施設、B市は美容所300施設・従業美容師780人・5年前280施設です。全国は令和6年度末の数字です。

項目 A市(仮の設定) B市(仮の設定) 全国
人口10万人あたり美容所数(美容所÷人口×10万人) 280.0施設 200.0施設 224.4施設
美容所1施設あたりの人口(人口÷美容所) 約357人 500人 約446人
1施設あたり美容師数(美容師÷美容所) 約1.86人 2.60人 約2.12人
5年間の美容所の増加率 約7.7% 約7.1% 約9.2%

A市は全国より人口あたりの店が約25%多く、小さな店が中心の地域です。同じような規模の店どうしでお客様を分け合う形になりやすいため、価格だけでなく、得意な施術や予約の取りやすさで選ばれる理由を作ることが大切だと考えられます。

B市は店の数が少なく、1店あたりの人数が多い地域です。スタッフの多い店と比べられやすいため、小さな店なら担当者が変わらない安心感や落ち着いた空間など、規模の違いを強みとして伝える工夫が考えられます。採用の面でも、スタッフの多い店の求人条件と比べられることを前提に準備します。

市全体の数字は広い範囲の平均なので、実際の競合を見るには範囲を絞ります。自店から徒歩10分圏や車10分圏など、お客様が通う範囲の店を地図や予約サイトで数え、その範囲の人口(国勢調査の小地域の人口など)で割ると、実感に近い密度になります。

美容室の数の統計を自店の判断に使う5つの手順のフロー図

統計を自店の判断に使う5つの手順

  1. 最新年度の数字を確認する

    厚生労働省の「衛生行政報告例の概況」の統計表か、e-Statの衛生行政報告例(年度報・生活衛生)の「理容-美容所の施設数・従業理容-美容師数」の表で、都道府県・指定都市・中核市の数字を見ます。何年度末の数字かを忘れずにメモしておきます。

  2. 人口で割って「店の密度」を出す

    人口10万人あたりの美容所数と、1施設あたりの人口を計算します。全国は224.4施設、約446人に1施設なので、自分の地域が多いか少ないかが分かります。

  3. 5年前・10年前と比べる

    同じ地域の過去の数字と並べ、店が増えている地域か、横ばいの地域かを見ます。全国では、令和元年度末から令和6年度末の5年で約9.2%増えています。

  4. 1施設あたりの美容師数で店の規模をつかむ

    1人店が多い地域か、スタッフの多い店が多い地域かを見ます。自店の生産性の指標と合わせる場合は、経営指標(KPI)用語集で人数の数え方をそろえてください。

  5. 統計にない部分を現地と予約サイトで補う

    価格帯・メニュー・営業時間や、実際に営業しているかは統計では分かりません。商圏内を歩き、予約サイトの掲載店と照らし合わせて、カットの価格帯、得意なメニュー、定休日、席数の目安を一覧にすると、競合の姿が具体的になります。

統計を読むときの注意と、よくある誤解

美容室の数の統計は、業界の大きさをつかむには十分ですが、個々の店の経営状態までは表しません。数字の性質を知ったうえで使うことが大切です。

時点のずれにも注意が必要です。2026年9月時点で最新の数字は2025年3月末のもので、約1年半前の姿です。開業や閉店が続いている商圏では、統計の数字と今の店の数が違っている前提で、現地の確認と組み合わせます。

美容所数は届出などをもとにした数です。美容師法では、美容所を廃止したときも速やかな届出が求められていますが、届出が遅れたり出されなかったりすると、営業していない施設が数に残る可能性があります。閉店時の手続きは閉店・廃業の手続きで確認できます。「美容室は◯万軒」という数字は、実際に営業している店の数とずれる場合がある前提で使ってください。

  1. 「美容師の数=免許を持つ人の数」ではない:従業美容師は、美容所で働く人として把握されている人数です。免許を持っていても、美容所で働いていない人は含まれません。
  2. 「1施設あたり2.1人=どの店も2人」ではない:平均値なので、1人の店も10人以上の店も含まれます。店の規模の分布は、この統計からは分かりません。
  3. 「店が増えている=儲かる業界」ではない:年度末の数は開業と廃業を差し引いた結果で、売上や利益は分かりません。独立の判断に公的データをどう使うかは独立の成功率の考え方で扱っています。
  4. 他の統計やコンビニの数と比べるときは時点をそろえる:統計ごとに数え方と時点が違います。「コンビニの◯倍」といった比較を使う場合は、両方の出典と時点を確認します。
  5. 複数の店で働く人の扱いに注意する:施設ごとに把握される数のため、掛け持ちで働く美容師がそれぞれの店で数えられている可能性があります。

この統計で分かること・分からないこと

  • 分かること:年度末時点の美容所数と従業美容師数、その毎年の推移
  • 分かること:都道府県・指定都市・中核市ごとの数と、理容所との比較
  • 分かること:1施設あたりの美容師数(平均)と、人口あたりの店の多さ(人口と組み合わせて計算)
  • 分からないこと:その年に開業した店と閉じた店の、それぞれの数(年度末の施設数は差し引きの結果)
  • 分からないこと:店ごとの規模の分布、売上、客数、価格帯
  • 分からないこと:雇用形態(正社員・パート・業務委託)の内訳と、実際に営業しているかどうか

よくある質問

  1. 日本の美容室の数はいくつですか?:厚生労働省の衛生行政報告例では、2025年3月末(令和6年度末)の美容所は277,752施設です。平成26年度末から毎年度増えており、10年で14.7%減った理容所(同時点で107,995施設)とは反対の動きです。
  2. 美容師は何人いますか?:同じ統計で、美容所で働く従業美容師は588,291人です。美容師免許を持つ人全体の数ではない点に注意してください。
  3. 美容室と理容室(床屋)は統計上どう分かれていますか?:美容所は美容師法、理容所は理容師法にもとづく施設として、別々に数えられています。両方を重ねて開設している施設は、令和6年度末で381施設が再掲されています。
  4. 美容室が増えているのに、なぜ人手不足と言われるのですか?:従業美容師も増えていますが、店の数も同じように増え、1施設あたりの人数は約2.1人で横ばいです。採用したい店が増えれば、求人の競争は続きます。人手不足の程度そのものはこの統計では測れないため、採用の実態は美容師の人手不足の原因と対策を参考にしてください。
  5. 市区町村ごとの美容室の数は分かりますか?:衛生行政報告例では、都道府県・指定都市・中核市ごとの数が公表されています。それ以外の市区町村は、自治体の統計書や保健所の資料で公表している場合があるため、保健所に問い合わせてください。
  6. 最新の数字はいつ公表されますか?:令和6年度分の概況は2025年10月21日に公表されました。次の年度分の公表時期は、厚生労働省の公表予定で確認してください。

業界統計を読むときのチェックリスト

  • 何年度末(何年何月末)の数字かを確認した
  • 美容所数・従業美容師数が届出などをもとにした数だと理解している
  • 従業美容師数を、免許を持つ人全体の数と混同していない
  • 自分の地域の数字を人口で割り、全国の224.4施設(10万人あたり)と比べた
  • 5年前・10年前の数字と並べて、増えている地域かを確かめた
  • 1施設あたりの美容師数から、競合の店の規模を想定した
  • 自店の商圏内の店を数え、その範囲の人口で割って密度を出した
  • 統計にない価格帯や営業実態を、現地と予約サイトで補った
美容室の数と美容師の数の統計を読むときのチェックリスト

出典:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」(2025年10月21日公表)の統計表、同「衛生行政報告例の概況」平成26年度〜令和5年度の各年度版の統計表(美容所数・従業美容師数・理容所数・従業理容師数は各年度末現在、平成7年は年末現在)、同「参考 人口10万対比率の算出に用いた人口」(総務省「人口推計(2024年10月1日現在)」)、e-Gov法令検索「美容師法」第2条・第11条。1施設あたり美容師数、人口10万人あたり美容所数、相関係数、増減率はこれらの数字からVAULTAが計算しました。A市・B市の数字は仮の設定です。2026年9月時点で公表されている最新の数字(令和6年度末)です。

美容室の数は、10年で約4万施設増えて277,752施設・1施設あたりの美容師は約2.1人で横ばい・人口あたりの店の数は地方ほど多いというのが公的統計から分かる姿です。自分の地域の数字を人口で割って全国と比べ、統計にない部分は現地で補うところから始めてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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