美容室の開業で揃える備品・什器リスト|施術・受付・バックヤード別の一覧、費用の目安、後回しにできるもの

美容室の開業で揃える備品・什器リスト|施術・受付・バックヤード別の一覧

美容室の開業で揃える備品は、施術まわり・受付会計・待合・バックヤード・事務の5つに分けて書き出すと漏れがなくなり、「開業日に要るもの」と「後回しにできるもの」を分ければ初期費用を抑えられます。保健所の検査で見られる消毒設備や器具棚は、後回しにできません。

この記事では、美容室でよく使う備品・什器を区分ごとに一覧にし、必須と後回しの分け方、費用の考え方(リースと購入、10万円の境目)、開業前の点検手順を整理します。

美容室の開業備品の要点|5区分で漏れをなくし、後回しにできるものを分ける
目次

結論:5区分で書き出し、「保健所に関わるもの→施術機器→その他」の順に揃える

開業準備の備品で起きる失敗は2つです。1つは買い忘れで、開業直前にタオルの数が足りない、釣銭の準備がない、といったことが起きます。もう1つは買い過ぎで、席数以上のドライヤーや、使わない什器に初期費用が消えます。

どちらも、区分ごとの一覧を作り、各項目に「開業日に要るか」「数はいくつか」「買うかリースか」を書き込めば防げます。揃える順番は、①保健所の検査に関わる備品(消毒・保管・衛生)、②施術に直接使う機器(シャンプー台・椅子・ドライヤー)、③受付・待合・バックヤード、④事務用品、です。

保健所の検査の流れは保健所の検査と基準、備品を切らさない運用は備品管理と発注の仕組みで扱っています。この記事は「開業時に何を揃えるか」に絞ります。

区分1:施術まわり(席数×台数で決める)

備品 数の目安 開業日に必要か 備考
セット椅子・セット面(鏡) 席数分 必須 1脚10万円を超えるものが多く、減価償却の対象
シャンプー台 席数の1/2〜1/3 必須 給排水・給湯工事と一体。フルフラットかどうかで価格が変わる
ドライヤー、アイロン(ストレート・カール) 席数分+予備1台 必須 1台10万円未満が多く、消耗品費で処理
ワゴン、ミラー棚 席数分 必須 可動式が便利
スチーマー、促進機、ヘッドスパ機器 1〜2台 メニューによる 後回しにできる場合がある
シザー、コーム、ブラシ、クリップ、ダッカール スタッフ分 必須 個人持ちか店支給かを決める
カラーカップ、刷毛、計量器、ロッド、ペーパー 同時施術数×2 必須 消耗品。初回はまとめて
タオル、ケープ、ガウン、シャンプークロス 1日の客数×1.5倍以上 必須 洗濯の回転を考えて数を決める
消毒設備(消毒液・紫外線消毒器など)、器具の保管棚 保健所の基準による 必須(検査対象) 自治体の基準を先に確認
救急用品、使い捨て手袋、マスク 常備 必須(検査対象) —

施術機器は席数と同時施術数から台数を決めます。4席の店で常時2人が施術するなら、ドライヤーは4台+予備1台、シャンプー台は2台が目安です。開業直後は客数が少ないため、スチーマーや促進機は「メニューが動き出してから」でも間に合います。

施術まわりの中心になるセット椅子は、セット椅子の油圧式と電動式の判断表で選び方と1回あたりのコストを確認できます。

区分2〜5:受付会計・待合・バックヤード・事務

区分 備品 開業日に必要か 備考
受付・会計 レジ(POSレジまたはタブレット)、キャッシュドロワー 必須 予約システムと連携できるものが後の手間を減らす
キャッシュレス決済端末 必須(審査に日数) 申込から使えるまで数週間かかることがある
釣銭(定額)、領収書、印鑑 必須 釣銭の内訳を決めて両替しておく
受付カウンター、カルテ棚(または電子カルテ) 必須 紙カルテは鍵付きの棚
電話(固定または携帯)、予約システム 必須 予約サイト掲載に番号が要る
待合 待合の椅子・ソファ 必須 接客用の家具は耐用年数5年の区分
雑誌・タブレット、ドリンク用品 あると良い 雑誌代・ドリンク代の経費処理は別記事
店販の陳列棚、POP 店販するなら必須 開業時は商品数を絞る
傘立て、荷物かご、ハンガー 必須 少額
バックヤード 洗濯機・乾燥機 必須 タオルの回転に直結。業務用か家庭用かで耐久が違う
冷蔵庫、電子レンジ、給湯ポット あると良い スタッフの休憩用
薬剤・材料の保管棚、在庫表 必須 直射日光と高温を避ける場所
掃除用具、ゴミ箱(分別)、毛髪の処理用品 必須 自治体の事業ごみのルールを確認
事務 パソコン、プリンター 必須 会計・予約・カルテの管理
会計ソフト、予約システム、電子カルテの契約 必須 月額費用は運転資金に
名刺、ショップカード、看板、メニュー表 必須 看板は開業前に設置。デザインと印刷に時間がかかる
開業届・保健所の届出書類、保険証券のファイル 必須 書類の保管場所を決める

受付まわりで見落としやすいのはキャッシュレス決済端末の申込時期です。審査と端末の到着に数週間かかることがあり、開業日に間に合わないと現金しか受け取れません。物件が決まった時点で申し込みます。決済の準備はキャッシュレス決済導入ガイドで扱っています。

美容室の開業備品を揃える5ステップのフロー図

揃える順番(5ステップ)

  1. 区分ごとに必要なものを書き出す

    この記事の一覧を、自店の席数・スタッフ数・メニューに合わせて編集します。項目ごとに「数」「開業日に要るか」「買うかリースか」「概算費用」の4列を付けます。

  2. 保健所の基準に関わる備品を先に確定する

    消毒設備、器具の保管棚、救急用品、照明の明るさ、換気などは、自治体の美容所の構造設備基準で定められています。検査前に揃っていないと開業できないため、内装工事の段階で保健所に事前相談し、必要な備品を確定します。

  3. 施術に直接使う機器を見積もる

    シャンプー台・セット椅子・ドライヤーの台数を決め、見積書を1台ごとの金額が分かる形で取ります。10万円を超える機器は減価償却の対象になり、融資の設備資金の裏付けにもなります。リースにするかは、月々の負担と手元資金で判断します。

  4. 受付・待合・バックヤードを揃える

    開業日に要るものを先に買い、後回しにできるもの(店販の陳列拡張、スチーマー、待合の装飾)は開業後の売上を見て追加します。

  5. 開業1週間前に点検する

    通電・給湯・排水を実際に使って確認し、タオルと薬剤の数を数え、レジと決済端末で試しの会計をします。開業当日に「動かない」を起こさないための最後の確認です。

消毒設備や器具棚など、保健所の検査で見られる備品は「後で買う」ができません。基準は自治体の条例や要綱で定められており、地域によって違います。内装の設計段階で保健所に相談し、備品の種類・数・置き場所を確認してから発注してください。

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費用の考え方 — 必須と後回しで初期費用がどう変わるか

数字は仮の設定です。4席・スタッフ2人の店で、すべてを開業時に揃えた場合と、後回しにできるものを開業後に回した場合を比べます。金額は概算で、メーカーや仕様で大きく変わります。

区分 すべて開業時に揃える 必須だけ開業時に揃える 後回しにしたもの
施術まわり(機器・什器) 2,400,000円 2,000,000円 スチーマー・促進機・ヘッドスパ機器
消耗品・タオル類の初回 300,000円 250,000円 予備のタオル・ケープの追加分
受付・会計 350,000円 300,000円 2台目のタブレット
待合・店販什器 400,000円 200,000円 陳列棚の拡張、装飾
バックヤード・事務 450,000円 400,000円 2台目の洗濯機
合計 3,900,000円 3,150,000円 差 750,000円

この例では75万円の差です。差額を運転資金として手元に残しておけば、開業直後の売上が計画に届かない月をしのぐ資金になります。後回しにした備品は、売上の推移を見て、必要になった時点で買います。開業資金の全体は一人で開業する資金はいくら必要か、設備資金と運転資金の区分は設備資金と運転資金の分け方で扱っています。

リースと購入の分け方

シャンプー台・セット椅子など高額で長く使う機器はリースの候補になります。リースは初期費用を抑えられる代わりに、月々の固定費が増え、総支払額は購入より多くなるのが一般的です。ドライヤーやアイロンのような数万円の機器は購入が向きます。判断の基準は設備資金はリースと購入どちらが得かで扱っています。

中古・居抜きで引き継ぐ場合

居抜き物件でシャンプー台や椅子を引き継ぐ場合、状態の確認(給湯・排水・昇降の動作、座面の破れ)と、造作譲渡契約書に品目と金額を書くことが要点です。引き継いだ設備は中古資産として減価償却し、修理が必要なら修繕費として処理します。中古の機器を業者から買う場合も、保証の有無と部品の供給を確認します。居抜きの注意点は居抜き開業の注意点で扱っています。

経費処理の境目

1台10万円未満の備品は買った年に全額を経費にでき、10万円以上は減価償却の対象になります。見積書は1台ごとの金額が分かる形で取り、送料・設置費を含めた取得価額を記録します。青色申告なら30万円未満の設備を全額経費にできる特例(年間300万円まで、適用期限あり)も使えます。設備ごとの耐用年数は設備の耐用年数一覧で扱っています。備品を含めた資金計画の相談はVAULTAの融資・資金調達支援でも受け付けています。

開業後3か月で追加することが多い備品

開業後に「足りない」と分かる備品には共通点があります。タオルとケープの追加、ワゴンの増設、待合の充電設備、店販の陳列棚の拡張、2台目のアイロンが多く、いずれも客数が増えてから必要になるものです。開業時に無理に揃えず、月次の売上と客数を見ながら追加すると、初期費用を抑えたまま不足を防げます。追加のたびに備品一覧を更新し、翌年の予算に反映します。逆に、開業時に買ったものの使っていない備品も3か月で分かるため、同じ一覧に「使用頻度」の列を足しておくと、次の買い物の判断材料になります。

よくある質問

タオルは何枚あればよいですか?

1日の想定客数×1人あたりの使用枚数×1.5倍が目安です。数字は仮の設定ですが、1日15人で1人3枚使うなら45枚×1.5=70枚前後です。洗濯機の容量と乾燥の回転で足りるかを確認し、足りなければ枚数を増やすか、洗濯の回数を増やします。

シザーやコームは店で支給すべきですか?

個人持ちが一般的ですが、店支給にする場合は、誰の所有かと退職時の扱いを決めておきます。支給する場合の経費処理は、1本10万円未満なら消耗品費、10万円以上なら減価償却の対象です。

看板はいつまでに用意しますか?

デザイン・製作・設置で1か月以上かかることがあります。物件が決まり、屋号が確定した時点で発注します。屋外広告物の条例で大きさや設置に制限がある地域もあるため、業者と自治体に確認してください。

電子カルテと紙カルテはどちらで始めますか?

開業時は客数が少ないため、どちらでも回ります。後から移行する手間を考えると、開業時から電子カルテか、少なくとも表計算で顧客管理を始める形が移行しやすいです。紙で始める場合は鍵付きの保管棚を用意します。

開業前に買った備品は経費になりますか?

開業のために買った備品は、10万円未満なら開業費または消耗品費、10万円以上なら減価償却資産として、開業後に経費化できます。領収書と、何をいつ買ったかの記録を残してください。

ゴミの処理はどうすればよいですか?

美容室のゴミは事業系ごみで、家庭ごみとして出せない地域が多いです。毛髪・薬剤の容器・段ボールなどの分別と収集方法を自治体に確認し、必要なら回収業者と契約します。ゴミ箱の数と置き場所も備品計画に入れます。

開業備品の最終点検チェックリスト

開業1週間前に、次の7つを確認してください。

  • 消毒用の設備と薬剤、器具の保管棚を用意した
  • 救急用品と使い捨て手袋・マスクの在庫がある
  • シャンプー台・セット椅子の通電と給湯・排水を確認した
  • ドライヤー・アイロンを席数分+予備1台用意した
  • レジ・決済端末・予約システムで試しの会計をした
  • タオル・ガウン・ケープを1日の客数×1.5倍以上そろえた
  • 初回の薬剤・材料・店販商品の発注が届いている

備品は、5区分で書き出し、保健所に関わるものから揃え、後回しにできるものは開業後に回すだけで、買い忘れと買い過ぎの両方を防げます。浮いた初期費用は運転資金として手元に残してください。

美容室の開業備品の最終点検チェックリスト

出典・参考資料

美容所の構造設備の基準は自治体の条例・要綱で定められ、地域によって異なります。備品の要件は管轄の保健所に確認してください。記事内の金額は自分で置いた仮の設定です。

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開業備品の予算配分 — 席数別の総額目安と、中古・リースで下げてよい品目・新品にすべき品目

備品リストを作ったあとに迷うのは「どこにお金をかけ、どこを削るか」です。お客様の体に触れるもの・安全に関わるものは新品、それ以外は中古やリースで下げるのが基本の分け方です。金額はすべて自分で置いた前提による試算です。

区分 1席(1人サロン) 3席(スタッフ1〜2人) 5席(スタッフ3〜4人)
施術まわり(セット面・椅子・シャンプー台・ワゴン) 60〜120万円 150〜300万円 250〜500万円
受付・会計(レジ・決済端末・タブレット) 5〜15万円 10〜25万円 15〜35万円
待合(ソファ・テーブル・雑誌棚) 5〜15万円 10〜30万円 20〜50万円
バックヤード(洗濯機・乾燥機・保管棚・冷蔵庫) 15〜30万円 25〜45万円 35〜60万円
初回の消耗品・薬剤 15〜30万円 30〜60万円 50〜100万円
合計 100〜210万円 225〜460万円 370〜745万円

中古・リースで下げてよい品目、新品にすべき品目

判断 品目 理由
中古でよい 待合の家具、保管棚、ワゴン、ミラー枠、冷蔵庫 安全性と衛生に直接関わらず、傷があっても施術に影響しない
リースが向く セット椅子・シャンプー台(高額で耐用年数が長い)、決済端末、洗濯乾燥機 初期の現金を残せる。総額は増えるため運転資金と比べて決める
新品にすべき シザー・コーム・ブラシなど肌に触れる器具、消毒設備、タオル・クロス、電気機器の配線類 衛生と安全に直結。中古の消毒機器は性能の保証が無い
注意して中古 シャンプー台(給排水の劣化)、電動椅子(油圧・モーターの寿命) 修理費が新品との差額を超えることがある。保証の有無を確認

予算を削る順番を間違えると、開業後に買い直しが発生します。「初回の消耗品・薬剤」を削って1か月分未満にすると、開業月に仕入れが重なって資金繰りが苦しくなる場合があります。削るなら待合と受付の家具からにしてください。

金額はすべて自分で置いた前提による試算で、メーカーの価格表や統計に基づく数値ではありません。設備の会計処理(少額減価償却資産の特例など)は国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」、リースと購入の比較は「設備資金はリースと購入どちらが得か」、開業の全体リストは「開業に必要なものリスト」の記事を参照してください。

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この記事を書いた人

VAULTA編集部は、美容室・美容師向けに集客、リピート率向上、LINE公式活用、MEO対策、独立・開業、資金調達に関する実践的な情報を発信しています。

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