美容師国家試験の合格率の推移|春と秋の差・直近11回の数字と、新卒の内定人数の決め方

美容師国家試験の合格率は、受験者の多い春の回が86〜92%台、秋の回が55〜65%台で推移しています。直近では第53回(令和7年度・春)が受験者19,850人・合格者17,273人で87.0%、第54回(令和8年度・秋)が受験者4,660人・合格者3,024人で64.9%で、新卒の内定者でも1割前後は春に不合格になり得る前提で、内定人数と登録までの段取りを決めます(理容師美容師試験研修センター公表)。

直近11回と長期の推移、春と秋で差が出る理由と合格基準、内定者の状況別の判断表、合格率から内定人数を逆算する試算、内定通知書と内定者への案内の文例、登録までにつまずく点を整理します(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:美容師国家試験の合格率の早見表

合格率は春の回と秋の回で分けて見るのが基本です。受験者の数と顔ぶれが大きく違うためです。主な数字を一覧にします。

項目 数値・ルール 根拠・補足
直近の回(第54回・秋) 受験者4,660人、合格者3,024人、合格率64.9% 理容師美容師試験研修センター「第54回実施結果」
直近の春の回(第53回) 受験者19,850人、合格者17,273人、合格率87.0% 同センター「過去の試験実施状況」
春の回の合格率(第45〜53回) 86.5〜92.3% 受験者は毎回2万人前後
秋の回の合格率(第44〜54回) 55.0〜65.4% 受験者は毎回3,500〜4,800人ほど
試験の回数と公表 実技試験と筆記試験をそれぞれ年2回。試験の条件などの詳細は5月上旬と11月上旬に公表 第55回の詳細は2026年10月30日に発表予定
合格から免許証まで 合格通知書に同封の免許申請書で申請し、免許証の交付は受付後おおむね2〜4週間 登録するまでは美容師として働けない
新しく美容師になった人 新規の免許登録は令和7年度で19,261件 同センター「新規免許登録件数」

免許の書換えや再交付まで含めた手続きの全体は、美容師免許の登録・書換え・再交付にまとめています。

合格率の推移 — 春の回は86〜92%台、秋の回は55〜65%台

直近11回の合格率は、春の回が86.5〜92.3%、秋の回が55.0〜65.4%です。第54回の秋の回は64.9%で、前年の秋(第52回)の65.4%とほぼ同じ水準でした。

回(年度・時期) 受験者数 合格者数 合格率
第54回(令和8年度・秋) 4,660人 3,024人 64.9%
第53回(令和7年度・春) 19,850人 17,273人 87.0%
第52回(令和7年度・秋) 4,569人 2,989人 65.4%
第51回(令和6年度・春) 19,776人 17,427人 88.1%
第50回(令和6年度・秋) 4,763人 2,622人 55.0%
第49回(令和5年度・春) 19,523人 16,888人 86.5%
第48回(令和5年度・秋) 4,149人 2,478人 59.7%
第47回(令和4年度・春) 19,505人 17,266人 88.5%
第46回(令和4年度・秋) 3,548人 2,145人 60.5%
第45回(令和3年度・春) 18,536人 17,104人 92.3%
第44回(令和3年度・秋) 4,774人 2,871人 60.1%

年度と回の対応は理容師美容師試験研修センターの表記に合わせています。同じ年度に秋の回と翌年春の回があり、偶数回が秋、奇数回が春に当たります。令和7年度の2回(第52回・第53回)を合わせると、受験者24,419人、合格者20,262人、合格率83.0%です(合格者数÷受験者数で計算)。第53回の春の回で不合格だった人は2,577人(受験者−合格者)でした。

春の回の受験者は、2005年度(第13回)の28,958人から2011年度(第25回)の17,884人まで減り、その後は1.7万〜2万人前後で落ち着いています。合格率は80%台前半から、2015年度以降は85%以上の回が続いています。

春の回(年度) 受験者数 合格者数 合格率
第13回(平成17年度) 28,958人 23,861人 82.4%
第17回(平成19年度) 23,872人 19,299人 80.8%
第21回(平成21年度) 19,338人 15,573人 80.5%
第25回(平成23年度) 17,884人 15,403人 86.1%
第29回(平成25年度) 19,063人 15,350人 80.5%
第33回(平成27年度) 18,376人 16,365人 89.1%
第37回(平成29年度) 18,219人 15,635人 85.8%
第41回(令和元年度) 17,288人 14,709人 85.1%
第45回(令和3年度) 18,536人 17,104人 92.3%
第49回(令和5年度) 19,523人 16,888人 86.5%
第53回(令和7年度) 19,850人 17,273人 87.0%

美容師の新規免許登録件数も、令和元年度以降は年17,181〜19,261件で推移しています。毎年ほぼ同じ人数の新卒を、増え続ける美容室が取り合う構図と捉えて採用計画を立てるのが実態に近いと言えます。

年度 美容師の新規免許登録件数 参考:理容師
令和7年度 19,261件 1,581件
令和6年度 18,337件 1,551件
令和5年度 18,329件 1,515件
令和4年度 17,876件 1,472件
令和3年度 17,936件 1,415件
令和2年度 17,181件 1,511件
令和元年度 18,361件 1,394件

春と秋で合格率に差が出る理由と合格基準 — 受ける人の顔ぶれが違う

春の回は、養成施設(美容学校)をその春に修了する学生がまとまって受ける回で、受験者が約2万人と多く、合格率も高くなります。秋の回は受験者が3,500〜4,800人ほどで、春に合格できなかった人の再受験などが多くを占めると考えられ、合格率は60%前後です。同センターは新卒・既卒別の合格率を公表していないため、新卒の目安には春の回、再受験の目安には秋の回の合格率を使うのが現実的です。

受験資格は、厚生労働大臣が指定した美容師養成施設で昼間課程・夜間課程は2年以上、通信課程は3年以上の課程を修了した人などです。合否は筆記試験と実技試験の両方で基準を満たすかで決まり、実技と筆記それぞれの合格率は公表されていません。

試験 合格基準(第54回)
筆記試験 55問中60%以上の正答率で、関係法規・制度及び運営管理、公衆衛生・環境衛生、感染症、衛生管理技術、人体の構造及び機能、皮膚科学、香粧品化学、文化論及び美容技術理論のどの課目にも無得点がないこと
実技試験(衛生上の取扱) 減点が20点以下
実技試験(基礎的技術・第1課題カッティング) 減点が30点以下
実技試験(基礎的技術・第2課題ワインディング) 減点が30点以下

不合格だった人は、同センターに自己情報の開示を請求すると、実技の採点項目ごとの減点状況や筆記試験の正答数を知ることができます。再受験の練習でどこを直すかを決める材料になります。

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内定者の状況別に決めること — 施術を任せられる最短の時期から逆算する

どの内定者も、合格して名簿に登録され、免許証が届くまでは美容の業を任せられません。状況ごとに、施術を任せられる最短の時期と、内定の段階で決めておくことを整理します。

内定者の状況 施術を任せられる最短の時期 内定の段階で決めること
春の回を受ける修了予定者(4月入社) 合格発表後に申請し、受付からおおむね2〜4週間後の免許証の交付以降 入社日から交付までの業務と給与。診断書を発表前に受けてもらう段取り
春の回で不合格だった内定者 同じ年の秋の回に合格し、登録された後(秋の回の合格率は55.0〜65.4%) 雇用を続けるか、練習時間とウィッグ代の負担、受験日の勤務、秋も不合格だった場合の扱い
秋の回を受ける既卒者を中途で採る 秋の回の合格と登録の後 合格・登録を条件に施術を任せること、それまでの職種と給与
通信課程で学びながら働くアシスタント 課程を修了して受けた回の合格と登録の後 修了の見込み時期、スクーリングと試験日の勤務の扱い
過去に合格したが免許申請をしていない人 申請し、免許証が交付された後(合格に有効期限はない) 入社前に申請してもらい、交付日を確認してから施術の開始日を決める

免許の登録前に任せてよい仕事の線引きは免許なしでもできる仕事で確認できます。

合格率から内定人数を決める試算 — 2人が必要なら3人に内定を出すと95%

春の回の合格率を86.5%(直近5回の春の回で最も低い値)と置くと、2人に内定を出して2人とも合格する確率は74.8%、3人に出して2人以上が合格する確率は95.0%です。必要な人数ちょうどに内定を出すと、4回に1回は欠員が出る計算になります。

試算の前提(仮定):翌年4月からアシスタント2人を育て始めたい店。内定者1人ひとりの合格確率を春の回の合格率86.5%とし、各人の合否は互いに関係しないものとして計算しています。実際の合格の見込みは本人の練習状況で変わります。

内定を出す人数 全員が合格する確率 2人以上が合格する確率 合格者数の平均
2人 74.8%(0.865×0.865) 74.8% 1.73人
3人 64.7% 95.0% 2.60人
4人 56.0% 99.1% 3.46人

3人に内定を出すと、64.7%の確率で3人全員が合格します。3人目を育てる席・教える人・人件費を用意できるかを先に決めておくことが、内定人数を増やす条件です。一方、春に不合格だった1人が秋の回で合格・登録するまでを6か月(仮定)とすると、その間は施術の売上を見込めず、月給22万円(仮定)なら給与だけで132万円です。秋も不合格になる確率は34.6〜45.0%(100%−秋の回の合格率)あります。教育にかかる期間の全体はスタイリストデビューまでの期間で確認できます。

合格から施術を任せるまでの段取り — 内定通知書と内定者への案内の文例

免許申請は合格通知書に同封される免許申請書で行い、免許証の交付は受付後おおむね2〜4週間です。医師の診断書は合格発表の前に受けて構いませんが、診断日から申請日までの有効期限は3か月です。この流れを内定の段階で書面にしておきます。

そのまま使える文例(社名・日付・給与は自店の内容に置き換えてください)

  • 内定通知書に入れる条件:「本内定は、次回の美容師国家試験(第55回)に合格し、美容師名簿に登録されることを前提とします。入社日から免許証の交付を受けるまでの間は、受付、清掃、タオル・器具の準備など美容の業に当たらない業務を担当していただき、給与は雇用契約書に記載のとおりとします。」
  • 不合格だった場合の扱い(雇用を続ける店の例):「国家試験に合格できなかった場合も雇用を継続し、次の試験まで美容の業に当たらない業務を担当していただきます。練習時間、練習用ウィッグの費用、受験日の勤務の扱いは、結果の発表後2週間以内に面談で決めます。」
  • 内定者への案内(LINE・メール):「合格後すぐ免許申請できるよう、次を準備してください。①医師の診断書(試験研修センターのホームページの様式で、合格発表前の受診で構いません。診断日から申請日まで3か月以内)②戸籍抄本か本籍が載った住民票(発行から6か月以内)③登録免許税9,000円分の収入印紙と登録事務手数料5,200円。合格通知書に同封の免許申請書で申請し、免許証はおおむね2〜4週間で届きます。届いたら写しを店に提出してください。」

内定通知書と労働条件の書き分けは雇用契約書と労働条件通知書の違いで確認できます。不合格を理由に内定を取り消す扱いは、通知書の条件の書き方によって判断が変わるため、社会保険労務士などの専門家に確認してから決めてください。

登録までにつまずく5つの点 — 入社日と交付日のずれ、診断書の期限

合格した後の手続きで起きる遅れは、ほとんどが「いつ・誰が・何を出すか」を決めていないことが原因です。よくある5つと防ぎ方をまとめます。

  1. 入社日に施術を任せる予定を組んでしまう:免許証の交付は申請の受付後おおむね2〜4週間です。防ぎ方:入社直後の予約表には施術の枠を入れず、免許証が届いた日から担当を始めます。
  2. 診断書を合格発表の後に受けて申請が遅れる:発表前の受診が認められています。防ぎ方:発表の1か月ほど前に、センターの様式で受診してもらいます。有効期限は診断日から申請日まで3か月です。
  3. ホームページの申請書で先に準備してしまう:ホームページに載っている申請書は、合格通知書に同封される申請書をなくした人のためのものです。防ぎ方:同封のバーコード付き免許申請書で申請するよう伝え、戸籍抄本か本籍が載った住民票(発行から6か月以内)は発表前にそろえてもらいます。
  4. 保健所への従業者の届出が遅れる:美容所の届出では美容師の氏名と登録番号を届け出るため、登録が済むまで出せません。防ぎ方:免許証の写しを受け取った日に、保健所への変更届の準備を始めます。手順は保健所へのスタッフ登録にあります。
  5. 秋の回の受験手続きを本人任せにする:試験の条件などの詳細は5月上旬と11月上旬に公表され、同じ時期に受験願書が配布されます。防ぎ方:春に不合格が分かったら、5月上旬の公表日を店のカレンダーにも入れ、願書の入手と提出を一緒に確認します。

新卒の内定を出す前に、次の7項目を確認してください。

  • 必要な人数と、全員が合格した場合に受け入れられる人数を決めた
  • 合格率86.5%で計算し、内定人数ごとの欠員の確率を確かめた
  • 合格と登録を前提にした採用であることを内定通知書に書いた
  • 入社日から免許証の交付までの業務と給与を決めた
  • 不合格だった場合の雇用、練習時間、ウィッグ代、受験日の勤務の扱いを決めた
  • 診断書・戸籍抄本または住民票・手数料の準備を内定者に案内した
  • 免許証の写しを受け取った後の保健所への届出の担当者を決めた

よくある質問

美容師国家試験の合格率は何%ですか?

直近の第54回(令和8年度・秋)は64.9%、その前の第53回(令和7年度・春)は87.0%です。春の回は86〜92%台、秋の回は55〜65%台で推移しており、回によって大きく違います。

春と秋ではどちらが受かりやすいのですか?

合格率は春の回のほうが高いものの、受ける人の顔ぶれが違うため単純には比べられません。春は養成施設をその春に修了する学生が中心で、秋は再受験の人などが多いと考えられます。

新卒と既卒の合格率の差は分かりますか?

新卒と既卒に分けた合格率も、実技と筆記を分けた合格率も公表されていません。新卒の目安には受験者の大半が修了予定者である春の回の合格率を、再受験の目安には秋の回の合格率を使うのが現実的です。

合格してから美容師として働けるまでどのくらいかかりますか?

合格通知書に同封される免許申請書で申請し、免許証の交付は受付後おおむね2〜4週間です。登録するまでは美容師として働けないため、入社直後の業務は美容の業に当たらない仕事で組みます。

不合格だった場合、次はいつ受けられますか?

実技試験と筆記試験はそれぞれ年2回のため、次の回で受け直せます。春の回で不合格なら、最短で同じ年の秋の回が次の機会です。試験の条件などの詳細は5月上旬と11月上旬に理容師美容師試験研修センターが公表します。

出典:公益財団法人理容師美容師試験研修センター「過去の試験実施状況」「第54回理容師国家試験及び美容師国家試験実施結果」「第54回合格基準」「受験資格」「受験手続」「免許に関する申請手続きについて」「よくあるご質問」「新規免許登録件数」、美容師法(e-Gov法令検索)。合格率は同センターの公表値で、令和7年度の合計、不合格者数、内定人数ごとの確率は本記事で計算しました。

新卒の内定を出す前に、必要な人数と全員合格した場合に受け入れられる人数を決め、内定通知書に合格・登録までの扱いを書くことから始めてください。学生に選ばれる接点づくりは新卒採用の方法で確認できます。

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この記事を書いた人

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