美容室の内装を自分でやる範囲と限界|DIYできる工事・業者に任せる工事の線引き、保健所の基準、費用と工期の試算

美容室 内装 自分で|美容室の店内の様子

美容室の内装を自分でやる場合、「塗装・棚・装飾・家具の組み立て」は自分で、「電気・給排水・ガス・防火に関わる工事」は業者に、と線を引くと、費用を抑えながら保健所の検査と安全の両方を守れます。DIYで一番多い失敗は、給排水や換気の基準を知らずに進めて、検査前にやり直しになることです。

この記事では、自分でできる工事と業者に任せる工事の線引き、保健所で見られる基準との関係、費用と工期の試算、進める順番、居抜きとスケルトンでの違いを整理します。

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目次

結論:美容室の内装を自分でやるなら「資格と検査に関わらない工事」に絞る

内装工事には、資格がないと行えないもの(電気工事など)と、資格は不要でも保健所の構造設備の基準に関わるもの(作業室の面積・採光・換気・給排水)があります。DIYで扱ってよいのは、そのどちらにも当たらない仕上げと什器の部分です。

内装費用の相場は内装費用の相場、業者の選び方は内装工務店の選び方、坪単価の考え方は開業の坪単価と内装で扱っています。この記事は「自分でやる部分」に絞ります。

自分でできる工事・業者に任せる工事の線引き

工事 自分で 理由・注意点
壁・天井の塗装、壁紙の貼り替え ○ 下地処理が仕上がりを決める。薬剤が飛ぶセット面まわりは拭ける塗料や壁紙を選ぶ
棚・カウンター・待合家具の組み立てと設置 ○ 壁への固定は下地(間柱)に打つ。転倒防止
照明器具の交換(引掛シーリングへの取り付け) ○(既存の配線を使う範囲) 配線の新設・増設は電気工事士の資格が必要
床材の上貼り(クッションフロア・フロアタイル) △ セット面まわりは毛髪と薬剤で傷みやすい。継ぎ目の処理が甘いと衛生面で指摘されることがある
看板・サイン・装飾 ○ 屋外広告物は自治体の条例の対象になる場合がある
コンセント・分電盤・配線の新設 × 電気工事士法により有資格者のみ。ドライヤーの同時使用に耐える容量設計も業者
シャンプー台の給排水・給湯 × 水道法・自治体の給水装置工事の規定。漏水は階下への損害賠償に直結
ガス(給湯器) × ガス事業者または有資格の工事店
換気設備・排気ダクト × 保健所の換気の基準と、建物の防火区画に関わる
間仕切り壁の新設・撤去 △〜× 建物の構造・防火・消防設備に関わる場合は業者。管理会社の承認が要ることが多い

表の×は、資格や法令に関わるため費用を抑えたくても自分では行わない工事です。事故が起きたときの責任と、検査でのやり直しを考えると、業者に任せるほうが結果として安くなる場合があります。

電気工事士法では、一般用電気工作物の工事(コンセントの増設や配線の接続など)は電気工事士でなければ行えません。「配線を触る」工事をDIYで行うと、法令違反になるだけでなく、火災時に保険が下りない場合があります。照明器具の交換のような「器具を付け外しするだけ」の範囲にとどめてください。

保健所の基準とDIYの関係 — 検査前に確認する5点

  1. 作業室の面積と区画:自分で棚や仕切りを置く場合、作業室の面積(自治体で基準が異なる)を下回らないか。待合と作業室の区分を保っているか。
  2. 床・壁の材質:作業室の床は「不浸透性の材料」を求める自治体が多く、洗浄・消毒できる素材にする必要があります。DIYの床材選びで最も引っかかりやすい点です。
  3. 採光・照明:作業面の照度の基準があります。照明の位置を自分で変えるときは、セット面の手元が暗くならないようにします。
  4. 換気:窓の開閉や換気扇の能力。自分で棚を置いて換気口を塞ぐと指摘されます。
  5. 消毒設備・器具の保管:消毒液の容器と保管棚、清潔なタオルの保管場所。DIYで作る棚が「ふた付き・清掃しやすい」形になっているか。

これらは工事の前に図面を持って保健所へ事前相談することで、大半が防げます。検査の流れは保健所の検査で見られる項目を参照してください。

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費用と工期の試算 — 全部業者・一部DIY・可能な限りDIY

15坪・居抜きに近い物件(給排水と電気の位置は既存を使う)で、3つのやり方を比べます。数字はすべて仮の設定です。

項目 全部業者 一部DIY(塗装・棚・装飾) 可能な限りDIY(床の上貼りまで)
電気・給排水・換気(業者) 120万円 120万円 120万円
塗装・壁紙 45万円 材料 8万円 材料 8万円
床 30万円 30万円 材料 6万円
棚・カウンター・家具 60万円 材料 20万円 材料 20万円
看板・装飾 25万円 材料 6万円 材料 6万円
合計 280万円 184万円 160万円
自分の作業時間 0時間 約80時間 約140時間
工期 3週間 4〜5週間 5〜7週間

一部DIYで約100万円の差が出ますが、自分の作業時間80時間と、工期が1〜2週間延びる分の家賃が別にかかります。家賃20万円の物件なら、工期延長2週間で約10万円。開業を急ぐ理由があるなら、差額はもっと小さくなります。

進める順番(5ステップ)

  1. 図面を描いて保健所に事前相談する

    セット面・シャンプー台・待合・消毒棚の位置を書いた簡単な図面で、作業室の面積、床材、換気、照明の基準を確認します。DIYで行う部分も伝えます。

  2. 業者の工事(電気・給排水・換気)を先に終える

    配線や配管の後に壁や床を仕上げる順番です。逆にすると、仕上げをはがしてやり直すことになります。

  3. 塗装・壁紙 → 床 → 什器の順で仕上げる

    上から下へ、汚れる作業から順に。床は最後に近いほうが傷を防げます。

  4. 什器を置いてから、保健所の基準を再確認する

    棚が換気口や通路を塞いでいないか、作業室の面積が確保されているかを、実際の配置で確認します。

  5. 検査前に写真を撮り、業者の工事の保証書を保管する

    電気・給排水の工事は保証書と施工写真を残します。後の不具合や、居抜きで譲渡するときの資料になります。

居抜きとスケルトンでの違い

物件 DIYの余地 注意点
居抜き(前の店が美容室) 大きい。給排水・電気が既にあり、仕上げと什器の入れ替えが中心 既存設備の状態確認(漏水・配線の劣化)は業者に。保健所の再検査が要る場合がある
居抜き(異業種) 中。給排水の位置変更が要ることが多い 飲食店跡はグリストラップやダクトの撤去費用に注意
スケルトン 小さい。設備工事の割合が大きく、DIYは仕上げに限られる 設計から業者に入ってもらい、DIY部分を分離発注する形にする

居抜きの注意点は居抜き開業の注意点、スケルトンの費用はスケルトンからの開業費用を参照してください。

出典:電気工事士法第3条(電気工事士等でなければ従事できない工事)、水道法第16条の2(給水装置工事事業者)、美容師法第12条・第13条(構造設備の基準・衛生措置)、厚生労働省「美容師法概要」、各都道府県の美容所の構造設備基準(床材・面積・照度・換気の規定は自治体で異なる)、屋外広告物法。記事内の金額・時間・工期はすべて自分で置いた前提による試算です。

DIYで後悔しやすい3つの例

  1. 床を自分で貼ったが、継ぎ目に毛髪と薬剤が入り込む:セット面まわりだけ業者に頼み、待合を自分で貼る分け方が現実的です。
  2. 棚を石膏ボードに直接固定して落ちた:下地探しで間柱を確認し、なければアンカーではなく下地を追加します。
  3. 壁を塗ったあとで配線を追加することになった:ステップ2の順番を守れば防げます。コンセントの数は「ドライヤー・アイロン・充電」を席ごとに数えてから決めます。

よくある質問

  1. DIYした部分は開業費や減価償却にできますか:材料費は内装工事費と同じく、金額と内容によって開業費・減価償却資産・消耗品費に分かれます。自分の作業時間は費用にできません。10万円以上のまとまった造作は資産として扱う場合があります。判断は税理士に確認してください。
  2. 賃貸で退去するとき、DIY部分はどうなりますか:原状回復の範囲は契約で決まります。塗装や壁紙も「元に戻す」対象になることが多いため、工事前に管理会社へ「退去時の扱い」を書面で確認します。
  3. 友人の職人に手伝ってもらう場合は:電気・給排水は有資格者が自分の責任で施工し、保証書を出せる形にします。無資格の知人に配線を頼むのは、費用が安くても避けてください。
  4. DIYの作業はいつやりますか:数字は仮の設定ですが、80時間なら週末2日×8時間で5週間、平日の夜3時間なら約6週間です。工期に入れて家賃と合わせて考えます。

始める前のチェックリスト

内装を自分でやる前に、次の6つを確認してください。

  • 電気・給排水・ガス・換気は業者に任せると決めた
  • 図面を持って保健所に事前相談し、床材・面積・換気・照明の基準を確認した
  • 業者の工事 → 塗装・壁紙 → 床 → 什器の順番で計画した
  • 自分の作業時間と工期の延長分の家賃を費用に入れて比べた
  • 管理会社・大家に工事内容の承認を取った
  • 業者の工事の保証書と施工写真を保管する場所を決めた

美容室の内装を自分でやるなら、資格と検査に関わる工事を切り分け、仕上げと什器に集中することで、費用を抑えつつ開業を止めない形になります。保健所への事前相談から始めてください。

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この記事を書いた人

美容室オーナー・経営者向けメディア「vaulta」編集部。集客・リピート・融資・求人・DX・独立の実務情報を、一次情報を確認のうえ発信。お金に関わる記事は中小企業診断士の監修を受けています。編集責任者:ISOYAMA。

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