美容室で外国人を美容師として雇えるのは、日本の美容師免許があり、永住者や日本人の配偶者等など「就労制限なし」の在留資格を持つ人か、特区の「外国人美容師育成事業」の対象者に限られます。一般的な就労ビザでは美容師の仕事は認められず、留学生のアルバイトでも施術には入れません。
この記事では、在留資格ごとの可否、外国人美容師育成事業の要件、受付やアルバイトで雇う場合の考え方、雇うときの確認と届出の手順を整理します。内容は2026年9月時点で確認できた公的資料に基づきます。

結論:外国人を美容師として雇う道は「身分系の在留資格」と「特区の育成事業」の2つ
外国人が日本で就ける仕事は、在留資格ごとに決まっています。美容師の施術はどの就労ビザにも含まれておらず、出入国在留管理庁は、美容学科を卒業した外国人が美容師として働く申請を不許可の例として公表しています。道は、就労制限のない在留資格の人を雇うか、特区の育成事業を使うかの2つです。
どちらの道でも、施術には日本の美容師免許が要ります。免許のない人に任せられる仕事の範囲は求人で免許なしでもできる仕事、美容師が入社したときの届出は保健所へのスタッフ登録で扱っています。この記事は、在留資格の見方と雇うまでの手順に絞ります。
在留資格ごとに「美容師として働けるか」を整理する
判断の起点は在留カードです。表面の「就労制限の有無」欄と、裏面の「資格外活動許可」欄を見れば、働ける範囲の大半が分かります。
| 在留資格 | 在留カードの就労制限欄 | 美容師としての施術 | 受付・清掃などの仕事 | 確認すること |
|---|---|---|---|---|
| 永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者 | 就労制限なし | 日本の美容師免許があれば可 | 可 | 在留期間(永住者はカードの有効期間)と免許証の原本 |
| 特定活動(外国人美容師育成事業) | 指定書により指定された就労活動のみ可 | 自治体が認定した育成計画の範囲で可 | 付随業務として可(物品販売は施術に伴う範囲) | 旅券に添付された指定書 |
| 技術・人文知識・国際業務など | 在留資格に基づく就労活動のみ可 | 不可 | 受付・接客が中心の仕事は対象になりにくい | 任せる業務が在留資格の範囲に収まるか |
| 留学・家族滞在 | 就労不可(資格外活動許可があれば働ける) | 免許がなければ不可 | 許可の範囲で可(原則週28時間以内) | 裏面の許可欄と、他の勤務先を含めた時間 |
| 特定技能 | 在留資格に基づく就労活動のみ可(指定書で分野を確認) | 美容の分野がないため不可 | 認められた分野の外の仕事は不可 | 指定書に書かれた分野 |
「就労制限なし」は、仕事の内容に制限がないという意味です。永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者がこれに当たります。日本の美容師免許があれば、日本人と同じ条件で美容師として雇えます。
特定技能は、2026年9月時点で出入国在留管理庁が示す分野に美容・理容がありません。技術・人文知識・国際業務は専門的な知識を使う業務が対象で、店での施術や受付が中心の仕事は対象になりにくいと考えてください。
外国人美容師育成事業とは:特区で最長5年、美容師として働ける仕組み
外国人美容師育成事業とは、日本の美容師養成施設を卒業して免許を取った外国人留学生が、国家戦略特区で美容師として最長5年間働ける制度のことです。在留資格は「特定活動」で、自治体が認定した育成計画に沿って働きます。目的は、日本式の美容の技術や文化を海外へ広める人材の育成と、インバウンド需要への対応です。
実施要領は、2021年7月30日に内閣府・法務省・厚生労働省が定めました。内閣府の資料では、区域計画の初認定は東京圏が2021年11月4日、北海道が2026年3月10日です。東京都の事業は2022年10月1日に始まり、北海道は旭川市・滝川市に限った実施です。雇えるのは、この事業実施区域にある美容所だけです。
| 対象 | 主な要件(実施要領・Q&A) |
|---|---|
| 外国人美容師 | 美容師養成施設で知識と技能を修得し、成績優秀で素行が善良/美容師免許(計画の申請時は取得見込みで可)/日本語能力試験N2程度以上/従事を始める時点で18歳以上/帰国後に日本式の美容を発信する意思 |
| 育成機関(雇う美容室) | 事業実施区域内に育成できる美容所がある/管理美容師を置いている/経営が健全で安定している/労働・社会保険の法令を守っている/欠格事由に当たらない |
| 育成計画 | 期間は5年以内/育成人数は1つの美容所で常に3人以内/日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬/保証金や違約金の定めを置かない/住居の確保、一時帰国できる休暇、生活指導の担当者を決める |
| 受け入れた後 | 業務日誌を作り、活動終了後1年以上保存/監理実施機関による修得状況の評価(年1回以上)と監査(半年に1回以上)を受ける/本人が帰国旅費を払えないときは育成機関が負担 |
任せられる業務は実施要領に列挙されています。シャンプー、カット、トリートメント、ブロー、セット・アイロン、カラー、パーマ・縮毛矯正、ヘッドスパが中心で、育成計画にはこの8つを含めます。まつげエクステンション、ネイル、メイク、着付け、出張美容、美容所の経営管理と、受付・電話応対・清掃などの付随業務も対象です。
注意したいのは物品の販売です。Q&Aでは、店販などの販売は施術の提供に伴う範囲に限られ、それを超える販売をさせると計画の誓約に反するとされています。家族の帯同は認められず、活動の終了後は帰国が前提なので、最長5年で育てて送り出す採用だと考えてください。
手続きの窓口は監理実施機関です。東京都のページでは一般社団法人外国人美容師監理実施機関が案内されており、育成機関の要件確認、無料の求人・紹介、育成計画の申請の経由を担います。北海道での窓口は、北海道庁の国家戦略特区のページで確認してください。
特区で雇うまでの流れ
Q&Aが示す流れは、採用内定、育成計画の作成と申請、自治体の認定、雇用契約の順です。育成計画は、原則として本人の在留期間の満了日の1か月以上前までに、監理実施機関を経由して自治体へ申請します。その後、卒業と国家試験の合格・免許の取得を経て、本人が在留資格を「特定活動」に変更してから働き始めます。
在留資格の変更や更新の標準的な処理期間は、2週間〜1か月とされています。免許の取得時期などの都合で在留期限までに準備が整わない場合は、本人が地方出入国在留管理官署に相談します。就労開始の日から逆算し、卒業年度の早い時期に監理実施機関へ相談を始めてください。
受け入れた後の関わり方も知っておきます。外国人美容師は、育成機関に知られずに監理実施機関や自治体へ相談できます。育成機関が途中で受け入れをやめることは想定されていません。やむを得ない事情で続けられない場合は、監理実施機関や本人への通知など、計画に沿った対応が求められます。
受付・アシスタント・留学生アルバイトで雇う場合の考え方
免許の要らない受付・清掃・事務なら、在留資格が許す範囲で外国人を雇えます。ただし、在留資格ごとに「働ける時間」と「任せられる仕事」の枠が違います。
- 就労制限のない在留資格の人:受付、事務、SNSの運用など、日本人スタッフと同じ条件で雇えます。日本の美容師免許があれば、施術のポジションでも採用できます。
- 留学生・家族滞在の人(資格外活動許可あり):原則として週28時間以内で、受付や清掃、タオルの管理などを任せます。留学生は、学校の長期休業中に限り1日8時間以内まで広がります。複数のアルバイト先がある場合は、その合計で数えます。
- 美容学校に通う留学生:免許がないため、カットやカラーなどの施術は任せられません。シャンプーやドライのように判断が分かれる作業も、任せる前に保健所へ確認してください。
- 就労ビザで受付として雇いたい場合:出入国在留管理庁の公表事例では、服飾店で専ら接客・販売に当たる仕事が不許可の例です。美容分野の許可例は、化粧品会社の海外進出の企画や、ウィッグなどの商品開発・営業販売といった専門的な業務です。
留学生や家族滞在の人を面接するときは、在留資格と在留期限、他のアルバイト先での週の勤務時間、卒業や更新の予定の3つを口頭で聞きます。採用が決まったら、在留カードの原本で同じ内容を確かめます。
留学生が卒業後もそのまま働きたいと望んでも、「留学」の在留資格のままでは就職できません。美容師として残るには、特区の育成事業に乗るか、別の在留資格の要件を満たす必要があります。内定を出す前に、卒業後の在留資格の見通しを本人と確認しておきます。
VAULTA|美容室専門のLINE公式サポート
美容室特化型のLINE公式、
無料でつくれます。
集客・リピート・求人のヒントをLINEで配信。美容室に特化した公式アカウントを無料で作成・運用サポートします。
友だち追加だけ。相談・作成は無料です。

外国人を雇うときの手順(5ステップ)
在留資格の種類にかかわらず、確認と届出の順番は同じです。特区の育成事業を使う場合は、採用内定のあと、雇用契約の前に育成計画の認定を受けます。
-
選考中は口頭で確認し、内定後に在留カードを見る
育成事業のQ&Aでは、選考の段階での在留資格の確認は口頭までとし、採用が決まり次第、在留カードなどの提示を求めるよう示されています。応募は国籍ではなく、働ける在留資格かどうかで判断します。採用後に国籍を理由として賃金や労働時間などで差をつけることは、労働基準法第3条で禁じられています。
-
在留カードの表・裏と、指定書を確かめる
表面の就労制限欄と在留期間、裏面の資格外活動許可欄を確認します。「特定活動」の人は、旅券に添付された指定書で働ける内容を確かめます。偽造への備えとして、出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」と番号の失効情報照会が使えます。美容師として雇う人は、美容師免許証の原本も見ます。
-
労働条件を本人が理解できる形で示し、契約を結ぶ
労働条件通知書は日本人スタッフと同じ項目で作り、読み合わせをして理解を確かめます。社会保険・労働保険の加入も、日本人と同じ基準で手続きします(社会保険の加入義務)。特区の外国人美容師は、日本人が同じ仕事をする場合と同等額以上の報酬にすることが要件です。書面の作り方は雇用契約書と労働条件通知書の違いで確認できます。
-
入社後の届出を出す
外国人を雇った事業主は、ハローワークへ外国人雇用状況の届出を出します。雇用保険に入る人は資格取得届で翌月10日まで、入らない人は専用の届出書で翌月末日までで、いずれも在留カード番号の記載が要ります。美容師として働く人は、保健所への美容所の変更届も出します。雇用保険の加入条件は美容室の雇用保険にまとめています。
-
在留期限と働ける時間を管理する
在留期間の満了日を一覧にし、満了の3か月前を目安に本人と更新の準備を確認します。留学生は、他のアルバイト先を含めて週28時間以内かを毎月確かめます。特区の外国人美容師は、業務日誌の記録と、年1回の評価・半年ごとの監査への対応が加わります。
具体例:人数と時間の上限を数字で確かめる(仮の設定)
特区の人数上限と、留学生アルバイトの時間上限は、数字で管理すると迷いません。以下はすべて仮の設定による例です。
| 仮の設定(特区の育成事業) | 受け入れられる人数 | 考え方 |
|---|---|---|
| 区域内に1店舗、外国人美容師は0人 | 最大3人 | 1つの美容所あたり3人以内 |
| 区域内に2店舗(A店・B店) | 各店3人まで、合計6人 | 人数は美容所ごとに数える |
| A店で3人を育成中に、翌年も採用したい | A店では0人 | 1年ごとではなく常に3人以内。退職者が出るまで追加できない |
| 区域外にC店がある | C店では不可 | 育成は事業実施区域内の美容所に限られる |
| 仮の設定(留学生のアルバイト) | 自店のシフト | 他のアルバイト | 合計 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 授業のある週 | 4日×5時間=20時間 | 8時間 | 28時間 | 上限ちょうど。自店で1時間増やすと超える |
| 授業のある週(他のアルバイトが増えた) | 20時間 | 12時間 | 32時間 | 超過。自店を16時間以下に減らす |
| 学校の長期休業中 | 5日×7時間=35時間 | なし | 35時間 | 1日8時間以内のため可(留学の場合) |
長期休業中の扱いは「留学」の人に限られ、家族滞在の人は常に週28時間以内です。時間の確認は本人の申告だけに頼らず、他のアルバイト先の勤務予定を毎月書面で出してもらうと管理しやすくなります。
よくある失敗と、店が負う責任
外国人雇用の失敗は、制度の思い込みから始まります。店側の責任が問われるものもあるため、次の点を先に確認してください。
- 「就労ビザを取れば美容師として雇える」と考えて内定を出す:技術・人文知識・国際業務では、美容師として働く申請は不許可の例とされています。特区の区域外なら、雇えるのは就労制限のない在留資格の人に限られます。
- 留学生アルバイトに施術の手伝いをさせる:免許のない人の施術は美容師法に反します。人手が足りない日ほど起きやすいので、任せる作業を紙に書いて渡します。
- 他のアルバイト先の時間を確認しない:週28時間は勤務先の合計です。本人が把握していないこともあるため、店から聞きます。
- 特区の外国人美容師に店販の目標を課す:物品の販売は施術に伴う範囲に限られます。スタイリストと同じ店販のノルマは、計画の誓約に反するおそれがあります。
- 在留カードの写しだけで確認を終える:実在する番号を悪用した偽造カードもあると出入国在留管理庁は注意を促しています。原本を手に取り、読取アプリや券面の偽造防止の仕掛けで確かめます。
- 勤務する美容所を変えるのに手続きをしない:育成計画の内容が変わるときは、監理実施機関を通じて自治体の承認を受けます。
働く資格のない外国人を働かせると、店側が「不法就労助長罪」に問われます。現行の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)です。2024年の入管法改正で5年以下・500万円以下への引き上げが決まっており、改正法は一部を除き2027年4月1日に施行されます。在留カードを確認しないなどの過失があれば、「知らなかった」では処罰を免れません。外国人雇用状況の届出を怠った場合も、30万円以下の罰金の対象です。
よくある質問
- 外国の美容師免許を持っている人は、日本で美容師として働けますか?:働けません。日本で施術するには日本の美容師免許が必要で、国家試験は都道府県知事が指定した美容師養成施設で学んだ人が受けられます(美容師法第4条)。在留資格とは別に、まず免許の有無を確認します。
- 地方の美容学校を卒業した留学生でも、特区で働けますか?:働けます。Q&Aでは、美容師養成施設の所在地による制限はないとされています。働く美容所が事業実施区域(東京都内、北海道の旭川市・滝川市)にあることが条件です。
- 特区の外国人美容師は、5年を過ぎても雇い続けられますか?:この事業での活動は通算5年以内で、終了後は帰国が前提とされています。採用のときに、5年後の進路を本人と話しておくと育成の計画が立てやすくなります。
- 美容師免許を持つ留学生や家族滞在の人を、アルバイトで雇えますか?:資格外活動許可の範囲(原則週28時間以内)で働ける余地があります。許可は風俗営業などを除き、仕事の種類を限っていないためです。個別の許可内容で扱いが変わることがあるため、裏面の記載を確認し、迷う場合は地方出入国在留管理局に確認してください。
- 外国人スタッフが辞めたときも届出は要りますか?:要ります。雇用保険に入っていた人は資格喪失届で離職の翌日から10日以内、入っていない人は専用の届出書で翌月末日までにハローワークへ出します。美容師だった場合は、保健所への変更届も出します。
- 面接の段階で在留カードの提示を求めてもよいですか?:育成事業のQ&Aでは、選考中は口頭での確認までとし、採用が決まってから提示を求める流れが示されています。原本を確認した日付と内容を記録し、写しを取る場合は保管場所と見られる人を限ります。
外国人スタッフを雇う前のチェックリスト
- 任せたい仕事が「施術」か「受付・清掃など」かを決めた
- 在留カード表面の就労制限欄と在留期間、裏面の資格外活動許可欄を確認した
- 「特定活動」の人は、旅券に添付された指定書を確認した
- 美容師として雇う場合、日本の美容師免許証の原本を確認した
- 留学生は、他の勤務先を含めて週28時間以内に収まるシフトにした
- 特区を使う場合、事業実施区域内の美容所で、1美容所3人以内に収まっている
- ハローワークへの外国人雇用状況の届出と、保健所への変更届の期限を把握した
- 在留期間の満了日を一覧にし、更新の準備を始める時期を決めた

出典:内閣府 地方創生推進事務局「外国人美容師育成事業」(国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領〔2021年7月30日決定〕、外国人美容師育成事業に関するQ&A、制度概要、特例措置の概要資料)、北海道「国家戦略特区について」、東京都「外国人美容師育成事業」、出入国在留管理庁「外国人を雇用する事業主の皆様へ 不法就労防止にご協力ください」「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について(別紙6)」「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」「特定技能制度」、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」、e-Gov法令検索「美容師法」「出入国管理及び難民認定法」「労働基準法」。2026年9月時点の情報です。人数とシフトの例は仮の設定による試算です。個別の在留資格の判断は、地方出入国在留管理局や行政書士に確認してください。
外国人を美容師として雇えるのは就労制限のない在留資格で日本の免許を持つ人か、特区の育成事業の対象者だけ。雇う前に在留カードと指定書を確かめ、入社後は届出と在留期限・労働時間を管理する。この3点を押さえれば、受付やアルバイトも含めて、在留資格の範囲の中で採用を進められます。
VAULTA|美容室専門のLINE公式サポート
美容室に特化したLINE公式、
無料でおつくりします。
予約・再来店・求人・販促まで、LINEひとつで。美容室の集客と経営に効く公式アカウントを、無料で作成します。
友だち追加だけ。相談・作成は無料です。

コメント