美容室の領収書・契約書に収入印紙は要るか|受付で使う判断表・領収書の記載例・年間の印紙代と貼り忘れの試算

美容室が現金などで5万円以上を受け取ったときに渡す紙の領収書には、受取金額100万円以下なら200円の収入印紙が必要です(印紙税法別表第一第17号)。クレジットカード払いであることを書いた領収書と、メールやPDFで送る電子領収書には印紙は要らず、5万円の判定は消費税額を区分して書けば税抜金額で行えます(免税事業者は税込金額)。

この記事では、受付で印紙が要るかをその場で決める判断表、そのまま使える領収書の記載例、回数券やブライダルの多い店の年間の印紙代の試算、契約書の扱い、貼り忘れたときの過怠税と現場でつまずく点を整理します(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:美容室の書類と収入印紙の早見表

美容室で印紙が問題になるのは、5万円以上の売上の領収書、内装工事の契約書、スタッフへの貸付の借用書がほとんどです。

書類 印紙 根拠・理由
売上の領収書・レシート(現金、5万円以上) 200円(100万円以下) 第17号の1文書(売上代金の受取書)
売上の領収書(5万円未満) 不要 5万円未満は非課税
クレジットカード払いと書いた領収書 不要 金銭の受取りがないため受取書に当たらない
メール・PDF・アプリで送る電子領収書 不要 印紙税は紙の文書に課税される
雇用契約書・店舗の賃貸借契約書・機器のリース契約書 不要 課税文書に当たらない
内装工事の請負契約書 1万円以上200万円以下は200円、それを超えると金額に応じて500円〜 第2号文書。2027年3月31日までの作成分は軽減措置
スタッフへの貸付の借用書 200円〜(1万円以上) 第1号文書(消費貸借に関する契約書)
美容師との業務委託契約書 内容により不要〜4,000円 委任なら不要、請負なら第2号、継続取引の基本契約なら第7号

領収書の宛名・インボイスの登録番号・保存年数は美容室の領収書と経費の扱いで解説しています。この記事は印紙税に絞ります。

収入印紙が必要な領収書とは — 5万円以上の売上の受取書

印紙税とは、法律で定められた文書(課税文書)を作ったときにかかる国税のことで、収入印紙を貼って消印することで納めます。美容室の領収書は「売上代金に係る金銭の受取書」(第17号の1文書)に当たり、受取金額が5万円以上なら印紙が必要です。

受取金額(記載金額) 印紙税額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
金額の記載のないもの 200円

題名が「領収書」でなくても、「レシート」「お預り証」「受領しました」などお金を受け取ったことを証明する紙なら受取書に当たります。美容室で5万円以上になりやすいのは、回数券・前払いチケットの代金、ブライダルや成人式のヘアセット・着付けの料金、店販のまとめ買い、面貸しのスタイリストから受け取る月の席料です。事業と関係のない受取書は非課税ですが、個人経営の店で判断に迷うときは、5万円以上の売上の領収書には印紙を貼る運用にしたうえで税務署に確認してください。回数券の売り方そのものの注意は美容室の回数券・前払いチケットの作り方にあります。

受付でどう判断するか — 渡し方・支払方法・事業者区分の判断表

上の行から順に当てはめ、最初に当てはまった行で決めます。電子で渡すかクレジットカード利用と書けば金額に関係なく不要、現金の紙の領収書だけが金額と事業者区分で分かれます。

順 条件 印紙 受付での対応
1 メール・PDF・アプリで領収書を渡す 不要 店が印刷して紙で渡すと課税文書になる
2 クレジットカード払いで、領収書に「クレジットカード利用」と書く 不要 書き忘れると現金と同じ扱い
3 QRコード決済 サービスと加盟店契約による 使っている決済サービスの案内か税務署で確認する
4 現金・課税事業者で、本体(税抜)が5万円未満と消費税額を区分して書く 不要 税込ではおおむね55,000円未満の会計が当たる
5 現金・課税事業者で、本体が5万円以上100万円以下 200円 印紙を貼り、紙と印紙にまたがって消印する
6 現金・免税事業者で、税込の合計が5万円以上100万円以下 200円 区分して書いても税込で判定する
7 銀行振込で、振込の控えで足りるため領収書を作らない 不要 領収書を作れば金額により課税される

税抜で判定できるのは、領収書に消費税額を区分して書くか、税抜金額と税込金額を両方書いた場合です。「54,780円(税込)」や「消費税10%を含む」では消費税額がはっきりしないため、記載金額は税込額になります(国税庁タックスアンサーNo.7124)。QRコード決済について国税庁は、加盟店契約上その場で店がお金を受け取る形なら課税、受け取らない形でその旨が領収書から分かるなら課税されないという考え方を示しています。自店が課税事業者か免税事業者かは美容室のインボイス制度対応で確認できます。

領収書はどう書くか — 印紙の要否が分かる記載例

レジや予約システムの領収書の様式を、消費税額を区分して印字し、カード払いのときは「クレジットカード利用」と出る設定にしておくと、受付で迷う場面がほぼなくなります。手書きで出す場合は次の書き方を使います。

場面 記載例 印紙
課税事業者・現金・本体5万円未満 ¥52,800- 内訳:本体48,000円、消費税等(10%)4,800円 但し カット・カラー・トリートメント代として 登録番号T+13桁 不要
課税事業者・現金・本体5万円以上 ¥55,000- 内訳:本体50,000円、消費税等(10%)5,000円 但し 回数券(カット・カラー5回分)代として 登録番号T+13桁 200円
クレジットカード払い ¥88,000- 但し ブライダルヘアセット・前撮り代として(クレジットカード利用) 不要
免税事業者・現金 ¥52,800- 但し カット・カラー・トリートメント代として 200円
面貸しの席料(振込で受領) 領収書は作らず、振込の記録と請求書の控えを保存 不要

記載例の金額は説明のための例です。宛名、日付、店名・所在地は各様式に必ず入れます。登録番号はインボイス登録をしている店だけが書きます。

VAULTA|美容室専門のLINE公式サポート

美容室特化型のLINE公式、
無料でつくれます。

集客・リピート・求人のヒントをLINEで配信。美容室に特化した公式アカウントを無料で作成・運用サポートします。

無料でLINE公式を作成する↗

友だち追加だけ。相談・作成は無料です。

年間でいくらかかるか — 回数券とブライダルの多い店の試算

印紙代そのものは1枚200円ですが、カード払いの表示を忘れる設定や貼り忘れが続くと、年単位で金額が積み上がります。

試算の前提(仮定):消費税の課税事業者で、領収書に消費税額を区分して印字している店。本体5万円以上の会計は年72件(回数券60件・本体50,000円、ブライダルのセット料金12件・本体80,000円)で、すべてで紙の領収書を求められる。支払方法は現金30件、クレジットカード42件。

場面 計算 年間の金額
正しく運用した場合の印紙代 現金30件×200円 6,000円
カード払いに「クレジットカード利用」と書かなかった場合 72件×200円 14,400円
現金30件の貼り忘れが調査で見つかった場合の過怠税 6,000円×3倍 18,000円(経費にできない)
同じ貼り忘れを調査の前に自分から申し出た場合 6,000円×1.1倍 6,600円(経費にできない)
希望するお客様に電子領収書を送った場合 電子で渡した分は課税されない 電子の件数×200円が減る

同じ店が免税事業者なら、回数券の税込55,000円は税込で判定するため現金払いの分にはすべて印紙が要ります。本体48,000円(税込52,800円)の会計でも、免税事業者は200円、区分して書いた課税事業者は不要です。貼った収入印紙の代金は租税公課として経費に入れます。

契約書に印紙は要るか — 業務委託・賃貸借・リース・内装工事・借用書

美容室が結ぶ契約書のうち、店舗の賃貸借契約書、機器のリース契約書、雇用契約書には印紙は要りません。印紙が必要になるのは、内装工事の請負契約書、お金の貸し借りの契約書、内容によっては業務委託契約書です。

契約書 扱い 印紙税額の目安
内装工事の請負契約書 第2号文書(建設工事の請負)。2027年3月31日までの作成分は軽減 1万円以上200万円以下200円、300万円以下500円、500万円以下1,000円、1,000万円以下5,000円、5,000万円以下1万円(1万円未満は非課税)
スタッフへの貸付の借用書(金銭消費貸借契約書) 第1号文書 1万円未満非課税、10万円以下200円、50万円以下400円、100万円以下1,000円、500万円以下2,000円
美容師との業務委託契約書 施術という業務の遂行を任せる委任(準委任)なら課税文書に当たらない。仕事の完成を約束する請負なら第2号、営業者間の継続取引の基本契約に当たれば第7号 不要〜(第7号は4,000円)
ディーラーとの取引基本契約書 継続的な売買の単価・支払方法などを定めると第7号になることがある 4,000円
店舗の賃貸借契約書・面貸しの席の利用契約書、機器のリース契約書 建物・物品の賃貸借は課税文書に当たらない(土地の賃貸借は第1号) 不要

契約書を2通作って双方が1通ずつ持つ場合は、それぞれが課税文書になります。たとえば800万円の内装工事なら1通5,000円で、2通作れば合計1万円です。電子契約サービスで締結した契約書は紙の文書を作らないため、印紙は不要です。業務委託契約書は、報酬の決め方や成果の約束の書き方で判断が変わるため、雛形を作るときに税務署か税理士に確認してください。条項の決め方は美容室の業務委託契約書に入れる条項、店舗の契約書の確認点は美容室の店舗賃貸借契約で確認する条項にあります。

現場でつまずく5つの点 — 二重発行・設定・消印

印紙のミスは、税法の理解よりも受付の運用とレジの設定で起きます。

  1. レシートと手書きの領収書を両方渡す:レシートも受取書なので、5万円以上の会計で2枚渡すと2枚とも課税文書になります。防ぎ方:領収書を求められたら、レシートを回収して領収書1枚にする運用に統一します。
  2. レジが税込額しか印字しない設定のまま:課税事業者でも消費税額が区分されていなければ税込で判定されます。防ぎ方:開店前に5万円前後の会計でテスト印字し、本体と消費税等が分かれているか確認します。
  3. カード払いの表示が出ない手書き領収書:レジのレシートには「クレジット」と出ても、手書きの領収書に書き忘れると課税されます。防ぎ方:手書き用の領収書の但し書きの下に「(クレジットカード利用)」の欄を作っておきます。
  4. 紛失したお客様への再発行:再発行の領収書も新しく作る受取書です。防ぎ方:5万円以上の再発行は、電子領収書で送れるかをまずお客様に聞きます。
  5. 消印がない、または印紙の上だけに押している:消印がないと印紙の額面と同じ過怠税がかかります。防ぎ方:消印は紙と印紙にまたがって押すか署名することを、受付マニュアルに図で入れます。

貼り忘れたらどうなるか — 過怠税は3倍、自分で申し出れば1.1倍

印紙を貼り忘れると、本来の印紙税額とその2倍、合計3倍の過怠税がかかります(印紙税法第20条)。税務調査の前に自分から税務署に申し出れば1.1倍に軽くなります。

印紙を貼っても消印をしないと、消印していない印紙の額面と同じ額の過怠税がかかります。過怠税は1,000円に満たない場合は1,000円になり、経費(損金)にはできません。

  1. 貼り忘れに気づいたら控えと記録を確認する

    いつ、いくらの領収書を誰に渡したかを、レジの記録や控えで確認します。

  2. 税務署に「印紙税不納付事実申出書」を出す

    調査の連絡を受ける前に自分から申し出ると、過怠税は本来の税額の1.1倍で済みます。

  3. 間違えて貼った印紙は還付を受ける

    課税文書でない書類に貼った印紙や、金額を間違えて多く貼った印紙は、税務署で手続きをすれば還付を受けられます。

5万円以上の会計が出る日に慌てないよう、200円の収入印紙をレジ周りに数枚用意し、消印用の印鑑を決めておくのが確実です。印紙を避けるためだけに1回の会計の領収書を分けることはしないでください。

領収書と契約書の印紙について、次の7項目を確認してください。

  • 自店が課税事業者か免税事業者かを確認し、5万円を税抜で判定できるかを把握した
  • レジ・予約システムの領収書で消費税額が区分して印字されるかをテスト印字で確認した
  • クレジットカード払いの領収書に「クレジットカード利用」と出るよう設定し、手書き用にも欄を作った
  • 使っているQRコード決済サービスの領収書の扱いを確認した
  • 領収書を求められたらレシートを回収して1枚にする運用を決めた
  • 200円の収入印紙と消印用の印鑑をレジ周りに用意した
  • 内装工事・業務委託・借用書など、印紙が必要な契約書を洗い出した

よくある質問

税込52,800円の会計の領収書に印紙は要りますか?

課税事業者が「本体48,000円、消費税等4,800円」のように区分して書けば、記載金額は48,000円で印紙は不要です。「52,800円(税込)」とだけ書いた場合や、免税事業者の場合は52,800円で判定するため、200円の印紙が必要です。

クレジットカードで5万円以上払ったお客様に領収書を求められたら、印紙は貼りますか?

領収書に「クレジットカード利用」と書けば、印紙は不要です。書き忘れると現金の受取書と同じ扱いになり、印紙が必要になります。

領収書をメールやLINEで送れば印紙は要りませんか?

要りません。印紙税は紙の文書にかかるため、PDFなどの電子データで送る領収書は課税されません。ただし、店が印刷して紙で渡すと課税文書になります。

面貸しのスタイリストから受け取る席料の領収書にも印紙は必要ですか?

現金で5万円以上を受け取って領収書を渡すなら必要です。席を使わせる対価も売上代金に含まれるためです。振込で受け取り、領収書を作らない運用なら印紙はかかりません。

店に残す領収書の控え(コピー)にも印紙は必要ですか?

単なるコピーや複写の控えには、原則として印紙は要りません。ただし控えに「原本と相違ない」などの証明を書いたり、改めて署名・押印したりすると、課税文書として扱われることがあります。

印紙を貼り忘れた領収書をすでにお客様に渡してしまいました。どうすればよいですか?

税務署に印紙税不納付事実申出書を出せば、過怠税は本来の印紙税額の1.1倍で済みます。調査で見つかった場合は3倍になるため、気づいた時点で申し出てください。

出典:印紙税法第8条・第14条・第20条、別表第一第1号・第2号・第7号・第17号(e-Gov法令検索「印紙税法」)、国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」(国税庁)、「No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」(国税庁)、「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」(国税庁)、質疑応答事例「クレジット販売の場合の領収書」(国税庁)、「コード決済サービスを利用して決済を行った者に交付する領収書」(国税庁)。個別の文書の判断は税務署に確認してください。

まず、レジと予約システムで5万円前後の会計の領収書を1枚ずつ印刷し、消費税額の区分とクレジットカード利用の表示を判断表と照らし合わせることから始めてください。面貸しの席料の取り決めは面貸し契約書に入れる条項の一覧で確認できます。

VAULTA|美容室専門のLINE公式サポート

美容室に特化したLINE公式、
無料でおつくりします。

予約・再来店・求人・販促まで、LINEひとつで。美容室の集客と経営に効く公式アカウントを、無料で作成します。

無料でLINE公式を作成する↗

友だち追加だけ。相談・作成は無料です。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

VAULTA編集部は、美容室・美容師向けに集客、リピート率向上、LINE公式活用、MEO対策、独立・開業、資金調達に関する実践的な情報を発信しています。

美容室の集客・リピート導線を見直したい方へ

新規集客、LINE公式、MEO対策、リピート率改善、ホットペッパー依存の見直しまで、あなたのサロンに合わせて整理します。

「何から直せばいいかわからない」という段階でも大丈夫です。
まずは現在の集客導線を一緒に確認しましょう。

コメント

コメントする

目次