美容室のタオルはレンタルか自社洗濯か|1枚あたりのコスト比較・使用枚数で決める判断表・見積もりで聞く10項目

美容室のタオルは、1枚あたりの総コスト(機器・電気・水道・洗剤・買い替え・作業時間)で比べ、洗濯を受付やアシスタントの空き時間で回せる店は自店洗濯、洗濯のために施術の時間を削っている店や1日の使用枚数が多い店はレンタル(リネンサプライ)を選びます。月1,500枚使う店の試算では、自店洗濯は空き時間で回せれば1枚約19円ですが、スタイリストの施術時間を削っている場合は失う売上を含めて1枚約101円になり、レンタルの見積もり例(約25円)を大きく上回ります。

衛生管理要領の基準、使用枚数と作業時間で決める判断表、4つの方式のコスト比較、レンタルの見積もりで聞く項目、においと黄ばみを防ぐ洗い方、つまずく点を整理します(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:タオルはレンタルか自店洗濯かの早見表

判断の軸は、1日の使用枚数、洗濯と乾燥にかかる作業時間を誰が担うか、置き場所と電気容量の3つです。衛生の基準はどちらを選んでも同じです。

項目 目安・ルール 根拠・理由
衛生の基準 皮膚に触れるタオルは客1人ごとに清潔なものに取り替える 理容所及び美容所における衛生管理要領
比べる単位 1枚あたりの総コスト 洗剤、水道光熱、機器、タオルの買い替え、作業時間を含める
作業時間の数え方 空き時間なら0円、アシスタントなら時給、スタイリストなら時間単価 施術を削って洗うと失う売上がコストになる
1日の使用枚数 客数×1人あたりの平均枚数 カットで2枚、カラーで3枚、パーマで4枚など、メニューで変わる
必要な在庫枚数 自店洗濯は1日分の3日分程度、レンタルは配送の間隔分+予備 乾燥待ちと繁忙日に備える
レンタルの見積もり (単価×枚数+基本料+配送料)÷枚数で1枚あたりにそろえる 基本料と最低枚数で実質の単価が変わる
乾燥機 電気式かガス式か、契約容量と排気の工事の可否を確認 営業中のドライヤーと同時に使うことになる

タオルの衛生基準 — 客1人ごとに清潔なものに取り替える

厚生労働省の「理容所及び美容所における衛生管理要領」は、皮膚に接する布片類は清潔なものを使い、客1人ごとに取り替えること、使用後の布片類は洗剤などを使って温湯で洗うことが望ましいことを定めています。自治体の条例や指導要綱で細かな基準を定めている場合もあります。

項目 衛生管理要領の内容 実務での対応
取り替え 皮膚に接する布片類は清潔なものを使い、客1人ごとに取り替える 使ったタオルは施術ごとに回収かごへ入れる
洗い方 使用後は洗剤等を使用して温湯で洗浄することが望ましい 洗剤の量と水温を決め、手順を掲示する
蒸しタオル 消毒済みのものを使う 蒸し器なら器内が80℃を超えてから10分以上
血液が付いたもの 廃棄するか、血液の付いた器具と同様に洗浄・消毒する 他のタオルと分けて扱う
備える量と保管 布片類は十分な量を備える。保管場所は週1回以上清掃する 洗い上がりと使用済みを別の場所に置く

お客様に掛けるクロスやケープについても、衛生管理要領は使用目的に応じて区別し、清潔なものを使うこととしています。器具の消毒を含む日々の衛生管理の手順は衛生管理と器具消毒の運用で扱っています。レンタルを使う場合も、店に届いた後の保管と取り替えは店の責任です。

どちらにするか — 使用枚数と作業時間で決める判断表

まず1週間、メニューごとの使用枚数を数え、「客数×1人あたりの平均枚数」で1日と1か月の枚数を出します。1日20人で平均3枚なら1日60枚、月25日営業で月1,500枚です。その枚数と、洗濯を誰がいつ担うかで決めます。

店の状況(判断の条件) 選ぶ方法 理由
開業前・開業直後で使用枚数が分からない レンタルで始め、3か月の枚数を数えてから試算する 洗濯機と乾燥機の購入費がかからない
1日40枚以下で、洗濯を受付やアシスタントの空き時間で回せる 自店洗濯 作業時間を費用として数えなくてよい範囲
洗濯と乾燥が追いつかず、予約枠を閉じたりスタイリストが洗濯したりする日がある レンタル(少なくとも枚数の多いシャンプー用) 施術時間を削る形では1枚約101円になる
1日100枚以上 レンタルか、業務用の大型機の見積もりと比べる 家庭用の容量では回数が増え、乾燥待ちが出やすい
乾燥機の電気容量が足りない、または排気の工事に貸主の承諾が得られない レンタル 乾燥機を置けない
レンタルの1枚あたりの見積もりが、自店洗濯の作業時間を含めた額より安い レンタル 総コストで安い

1日40枚・100枚のしきい値は編集部の目安で、公的な基準ではありません。洗濯1回に入る枚数は機器によって異なります。

必要な在庫枚数は、自店洗濯なら1日60枚×3日分=180枚に、1年で入れ替える分を加えた200枚前後です。レンタルで週2回(火曜と金曜など)の配送なら、配送の間隔の長いほうの4日分(240枚)に繁忙日の予備として1日分(60枚)を足した300枚前後を契約枚数の目安にします。

どちらか一方に決める必要はありません。枚数の多いシャンプー用だけレンタルにして、仕上げ用は自店で洗う組み合わせもできます。将来自店洗濯に切り替える可能性があるなら、内装工事の段階で洗濯機の給排水と乾燥機の電源や排気を用意しておきます。

自店洗濯の1枚あたりコスト — 作業時間の数え方で約5倍変わる

自店洗濯は、洗剤と水道光熱費だけで見ると安く見えますが、洗う・干す・畳む時間を誰が担うかで1枚あたりのコストが大きく変わります。月1,500枚の店で計算します。

費用(月額) 計算 金額
洗濯機・乾燥機 購入費50万円÷60か月 約8,300円
乾燥機の電気代 1回3kWh×1日3回×25日×31円 約7,000円
水道代 1回100L×1日3回×25日=7.5㎥×600円 4,500円
洗剤・漂白剤 月の使用量から 3,000円
タオルの買い替え 200枚×300円を1年で入れ替え 5,000円
作業時間を除いた合計 — 約27,800円
方式 月の費用 1枚あたり 作業時間の数え方
自店洗濯(空き時間で回せる) 約27,800円 約19円 数えない
自店洗濯(アシスタントが担う) 約50,300円 約34円 1日45分×25日×時給1,200円=22,500円
自店洗濯(スタイリストの施術時間を削る) 約151,600円 約101円 1日45分×25日×時間単価6,600円=123,750円の売上を失う
レンタル(見積もりの例) 約37,000円 約25円 単価20円×1,500枚+基本料3,000円+配送料4,000円

試算の前提(仮定):1日60枚・月1,500枚、1日3回の洗濯・乾燥、月25日営業。機器の価格、1回あたりの電力量と水量、電気(1kWhあたり31円)と上下水道(1㎥あたり600円)の単価、時給、時間単価、レンタルの単価・基本料・配送料はすべて計算の仕方を示すための仮定で、特定の業者の料金ではありません。

この例では、レンタルの見積もりが1枚約19円より高ければ、空き時間で洗える店には自店洗濯が安く、施術の時間を削っている店にはレンタルがはるかに安いという結論になります。自店の時間単価の出し方は時間単価の出し方で確認できます。洗濯機の勘定科目と耐用年数は洗濯機の経費処理、水道光熱費全体の目安は水道光熱費の目安と下げ方にまとめています。

乾燥機は、電気式は設置しやすい一方で乾燥に時間がかかりやすく、ガス式は短時間で乾きやすい代わりにガス配管と排気の工事が要り、賃貸物件では貸主の承諾が必要なことがあります。洗濯乾燥機の一体型は場所を取りませんが、1回に乾燥できる量が洗濯できる量より少ないことが多く、繁忙日に乾燥待ちが出やすくなります。

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レンタル(リネンサプライ)の見積もりの取り方 — 聞く10項目

リネンサプライとは、タオルなどの繊維製品を貸し出し、使用後に回収して洗い、また貸し出すサービスのことで、クリーニング業法上のクリーニング業にあたります。料金は業者、地域、枚数、配送の頻度で変わるため、2社以上に同じ枚数と条件で見積もりを依頼し、1枚あたりの総額にそろえて比べます。

見積もりのときに業者に聞く10項目

  • タオルのサイズ・厚さ・色の選択肢と、それぞれの1枚の単価
  • 月の使用枚数による単価の段階
  • 月の基本料、最低利用枚数と、使用枚数が少ない月の請求の仕方
  • 配送の曜日と回数、定休日に当たる場合の扱い
  • 急な追加の可否、届くまでの日数と追加の料金
  • 回収時の枚数の数え方と、不足した場合の1枚あたりの請求額
  • カラー剤のシミ、破れ、焦げなどの汚損の基準と請求額
  • 契約期間、解約の予告期間、途中で枚数を変えられるか
  • 試供品の有無と、回収袋・保管ラックの貸し出し
  • 請求書の形式と、適格請求書発行事業者の登録番号

見積もりは「(単価×月の枚数+基本料+配送料)÷月の枚数」で1枚あたりにそろえます。上の例の単価20円・基本料3,000円・配送料月4,000円なら、月1,500枚で約25円、月1,000枚で約27円です。自店洗濯から切り替えるときは、①2社に見積もりと試供品を依頼する、②手触り・吸水性・においをスタッフ全員で確かめる、③繁忙期を避けて開始日を決める、④初回の配送の前に保管棚と回収袋の置き場を決める、⑤自店のタオルは清掃用などに回す、の順で進めます。

レンタルでも、届いたタオルの保管場所の清掃と、使用済みとの区別は店が行います。保健所の立入検査では、タオルの保管や消毒の状況を確認されることがあるため、レンタル品の置き場所も清潔に保ちます。

においと黄ばみを防ぐ洗い方と保管 — スタッフに掲示する手順

タオルのにおいや黄ばみは、汚れや洗剤の残り、濡れたまま置く時間の長さで起きやすくなります。次の手順をそのままバックヤードに掲示できます。

  1. 使用後すぐに回収し、分けて置く

    薬剤が多く付いたものと血液が付いたものは、他のタオルと別のかごに入れます。洗濯機に入れる前に髪を払い落とします。

  2. 洗剤の量を守り、すすぎを十分にする

    洗剤は1回の量を計量カップで決めておきます。多すぎると残り、においや肌触りの悪化につながります。

  3. 洗い終わったらすぐに乾燥する

    濡れたまま洗濯機に置く時間を短くし、洗濯の回数と乾燥機の空き時間を合わせて計画します。

  4. 定期的に漂白し、傷んだものは入れ替える

    黄ばみやにおいが取れないタオル、カラー剤のシミが目立つタオルは、お客様の肌に触れる用途から外します。

  5. 清潔な場所に保管する

    洗い上がったタオルは使用済みのものと別の棚に置き、保管場所を週1回以上清掃します。

タオルの運用でつまずく6つの点と防ぎ方

費用の試算より差が出るのは、契約の細かな条件と、設備の使い方です。

  1. 最低利用枚数で閑散期の単価が上がる:月1,500枚の最低枚数で契約し、ある月に1,000枚しか使わなければ、上の例の月37,000円を1,000枚で割って1枚37円になります。年間の月別の客数を見て、最低枚数は少ない月に合わせます。
  2. 回収時の枚数不足や汚損を請求される:回収袋に入れた枚数を毎回記録し、配送員と照合します。カラー用は自前の色付きタオルにすると、汚損の請求を避けられます。
  3. 配送日が定休日や繁忙日の前とずれる:週末の前に在庫が足りなくなります。配送の曜日は、予約の多い曜日の前日に合わせて決めます。
  4. 乾燥機とドライヤーの同時使用でブレーカーが落ちる:営業中に乾燥機を回す時間帯を決め、契約容量を確かめます。容量の考え方は電気容量・ガス・給湯の設備要件で確認してください。
  5. 排水口に髪と薬剤がたまり洗濯機が止まる:洗う前に髪を払い、糸くずフィルターを毎日掃除する担当を決めます。修理の間は予備のタオルとコインランドリーで回すことになります。
  6. 蒸しタオルを重ねて温度が届かない:積み重ねると上のタオルに熱が届きにくくなります。器内が80℃を超えてから10分以上置き、重ねる枚数を決めておきます。

タオルの運用を決める前に、次の8項目を確認してください。

  • 1週間、メニューごとの1人あたりの使用枚数を数えた
  • 1日・1か月の使用枚数と、必要な在庫枚数を計算した
  • 洗濯を誰がいつ担うかを決め、作業時間の数え方で1枚あたりのコストを出した
  • レンタルを2社以上に同じ枚数で見積もり、10項目を聞いた
  • 最低利用枚数を、客数の少ない月に合わせた
  • 洗濯機・乾燥機の置き場所、電気容量、排気の条件を確認した
  • 客1人ごとの取り替えと、使用済み・洗い上がりの区別の手順を掲示した
  • 蒸しタオルの消毒の方法と、入れ替えの基準を決めた

よくある質問

美容室のタオルを家庭用の洗濯機で洗ってもよいですか?

衛生管理要領は洗濯機の種類を定めておらず、清潔なものを客1人ごとに取り替え、使用後は洗剤などを使って温湯で洗うことが望ましいとしています。家庭用でも基準は守れますが、1日の洗濯量と回数に容量が足りるかで業務用を検討します。

蒸しタオルはどのように用意すればよいですか?

蒸しタオルは消毒済みのものを使います。衛生管理要領は、蒸し器などで器内が80℃を超えてから10分以上湿熱に触れさせる方法を示しており、積み重ねると上のタオルに熱が届きにくい点にも注意が必要です。

営業時間の前後にスタッフがタオルを洗う時間は労働時間になりますか?

店の指示で洗濯や畳む作業をしている時間は、営業時間の前後でも労働時間にあたります。勤怠の記録に残して給与の計算に含め、自店洗濯のコストを試算するときも作業時間として入れます。

カラー剤のシミが付いたタオルは使い続けてよいですか?

洗濯して清潔であれば使えますが、シミが目立つタオルはお客様に不潔な印象を与えます。カラー用と仕上げ用でタオルの色を分け、見た目が気になるものはお客様の肌に触れない用途に回します。

開業時はレンタルと自店洗濯のどちらで始めるのがよいですか?

使用枚数が読めない開業時は、洗濯機や乾燥機の購入費がかからないレンタルで始め、3か月ほどの実績から自店洗濯の試算と比べる方法があります。切り替える可能性があるなら、内装工事の段階で給排水と電源、排気を用意しておきます。

タオルの在庫は何枚あればよいですか?

自店洗濯なら、乾燥待ちと繁忙日を見込んで1日の使用枚数の3日分ほどに、傷んだタオルの入れ替え分を加えます。レンタルなら、配送の間隔分に予備を足した枚数が目安で、開業後1〜2か月の実際の枚数を見て調整します。

出典:厚生労働省「理容所及び美容所における衛生管理要領について」(昭和56年6月1日環指第95号)、クリーニング業法第2条(e-Gov法令検索「クリーニング業法」)。自治体の条例や指導基準は管轄の保健所に確認してください。

まず1週間、メニューごとのタオルの使用枚数と、洗濯を誰が何分担っているかを記録することから始めてください。その数字でレンタルの見積もりを取り、自店洗濯の試算と比べます。ほかの固定費とまとめて見直す場合は固定費削減の進め方が参考になります。

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この記事を書いた人

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