美容室の防犯カメラ|台数と設置場所の判断表・保存期間と録画容量の計算・掲示文と運用規程の例

美容室の防犯カメラの映像は特定の個人を識別できれば個人情報ですが、防犯目的であることが設置の状況から明らかなら利用目的の通知・公表は不要とされ、そのうえで入口や設置場所に「防犯カメラ作動中」と掲示するのが望ましいとされています(個人情報保護委員会Q&A)。台数と場所は店の規模と現金・在庫の置き場所で決め、保存期間はレジや在庫を点検する間隔+7日を目安に、閲覧できる人と手順を規程にして運用します。

店の状況別の台数と場所の判断表、カメラ4台の店での録画容量と保存期間の計算、そのまま使える掲示文・運用規程・閲覧記録の様式、費用の比べ方、美容室で実際につまずく点をまとめます(2026年10月時点の情報です)。

目次

結論:美容室の防犯カメラの早見表

防犯カメラは、置く場所、掲示、録画の扱い、スタッフへの説明の4つをそろえて初めて、お客様とスタッフの信頼を損なわずに使えます。

項目 目安・ルール 根拠・理由
映像の扱い 特定の個人を識別できる映像は個人情報。利用目的を特定し、その範囲で使う 個人情報保護委員会Q&A(Q1-13)
利用目的の通知・公表 防犯目的が設置の状況から明らかなら不要。トラブルの事実確認など防犯以外にも使うなら公表する 個人情報保護法第21条第4項第4号
撮影の掲示 撮影されていると気づきにくい場合は気づけるようにする措置が必要。入口や設置場所への掲示が望ましい 同法第20条第1項、Q&A(Q1-13)
顔識別機能付きのカメラ 顔識別を使うことを含めて利用目的の通知・公表が必要 Q&A(Q1-14)
録画のデータベース該当性 日時でしか検索できない録画は、通常は個人情報データベース等に当たらない Q&A(Q1-41)
置かない場所 トイレ、更衣室、スタッフの休憩室 着替えや私的な時間を撮影しない
保存期間 法律の定めはない。点検の間隔+7日を目安に店で決め、上書きで消す 必要以上に残さない
スタッフへの説明 目的・責任者・閲覧のルールを規程に定め、事前に明示する 従業者のモニタリングの留意点(Q&A Q5-7)

カルテや予約データなど、カメラ以外の個人情報の扱いをお客様に示す方法はプライバシーポリシーの作り方で解説しています。カメラを防犯以外の目的にも使うなら、プライバシーポリシーにも利用目的を書き加えます。

自店には何台、どこに付けるか — 店の状況別の判断表

カメラの台数は、人の出入り口、現金を扱う場所、在庫と薬剤を置く場所の数で決まります。施術席は、お客様がくつろぐ場所のため、目的がはっきりしているときだけ引きの画角で付けます。

店の状況 台数と場所 方式・設定
1人サロン・10坪以下、現金はほとんど扱わない 入口に1台(受付も画角に入れる) クラウド型でスマートフォンから確認。夜間は動体検知の通知
2〜4席・スタッフ2〜5人、レジで現金を扱う 入口・レジ・バックヤードの3台。裏口があれば4台 録画機型かクラウド型。保存は点検の間隔+7日
6席以上、店販在庫と薬剤が多い 上に加えて在庫棚に1台 閲覧者を2人以内に限り、閲覧記録を必須にする
路面1階・ガラス張り、夜間は無人 入口の内側から外向きに1台追加 道路や隣の建物の中を映し込まない角度。侵入検知と駆けつけのある警備プランも比べる
ビルの2階以上、共用部に管理会社のカメラがある 店内の入口とレジを中心に 共用部の映像が必要なときは管理会社に依頼する
レジの過不足が続いている レジの真上に1台 手元は見えて、お客様のカード番号は読めない画角。取消・値引きの権限の見直しとセットで行う
カスハラなどのトラブルの記録にも使いたい 施術エリアを引きの画角で1台 利用目的を掲示とプライバシーポリシーに追記する。顔のアップにしない

顔識別機能は、使うなら利用目的の通知・公表が必要になり、運用する者や問い合わせ先の掲示も望ましいとされるため、一般的な美容室の防犯には使わない設定にしておくのが無難です。トラブル対応の全体像はカスハラ対策で確認できます。

録画は何日・何TB必要か — 保存期間と容量を計算する

保存期間は「被害や不正に気づく点検の間隔+7日」で決め、容量は「1台1時間あたりのデータ量×時間×台数×日数」で出します。7日は、気づいてから映像を確認し、必要な部分を書き出すまでの余裕です。

試算の前提(仮定):4席の店、カメラ4台(入口・レジ・バックヤード・裏口)、フルHD・H.265圧縮・毎秒15コマで1台あたり平均2Mbps。レジの過不足は毎日、店販在庫は月1回数える。

計算する項目 計算式 モデル店の結果
1台1時間のデータ量 2Mbps×3,600秒÷8 900MB=0.9GB
保存期間(在庫の点検が月1回) 30日+7日 約37日→40日に設定
保存期間(在庫の点検を2週間ごとに変更) 14日+7日 21日
容量(24時間録画・40日) 0.9GB×24時間×4台×40日 約3.5TB→4TB以上
容量(24時間録画・21日) 0.9GB×24時間×4台×21日 約1.8TB→2TB以上
容量(営業中11時間は常時、夜間13時間は動体検知で1割だけ録画・21日) 0.9GB×(11+13×0.1)×4台×21日 約0.9TB→1TB以上

長く残すほど容量が増え、漏えいしたときの影響も大きくなります。保存期間を延ばすより、在庫やレジの点検の間隔を縮めて保存期間を短くするほうが筋の通った運用です。画質やコマ数を上げるとデータ量は増えるため、機種のビットレートの表示で計算し直します。

掲示には何を書くか — 入口とカメラの近くに出す文例

掲示には、カメラが作動していること、撮影の目的、保存期間、問い合わせ先を短く書きます。入口のガラスや受付の見やすい位置と、カメラの近くに出します。

掲示文の例(店名・日数・電話番号を自店のものに替えて使います)

  • 防犯だけの場合:防犯カメラ作動中 当店では防犯のため、店内に防犯カメラを設置し録画しています。
  • 目的を加える場合:当店では、防犯と店内でのトラブル発生時の事実確認のため、入口・受付・店内の一部を録画しています。録画は21日間保存した後、自動的に消去します。映像の取扱いのお問い合わせはHair〇〇(電話03-〇〇〇〇-〇〇〇〇)までお願いします。
  • 予約サイト・ホームページの店舗情報:店内に防犯カメラを設置しています(入口・受付・店内の一部、録画は21日間保存)。
  • スタッフ向け(バックヤード):防犯と現金・在庫の管理のため、バックヤードと受付を録画しています。映像を見られるのは代表と店長だけで、閲覧は記録簿に残します。

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運用規程と閲覧記録は何を決めるか — 条文例と記録の様式

カメラでスタッフの働きぶりも映る以上、目的・責任者・閲覧の手順を規程にして事前に明示します。個人情報保護委員会のQ&Aは、従業者のモニタリングでは目的を特定して社内規程に定め従業者に明示すること、責任者と権限を定めること、運用のルールを作り守られているか確かめることを留意点に挙げています。

防犯カメラ運用規程(条文例)

  • 第1条(目的)当店は、防犯、現金・在庫の管理、及びお客様とのトラブル発生時の事実確認のために防犯カメラを設置する。
  • 第2条(設置場所)入口、受付・レジ、バックヤード、裏口の4か所とする。トイレ、更衣室、休憩室には設置しない。
  • 第3条(音声)音声は録音しない。
  • 第4条(保存期間)録画は21日間保存し、自動で上書き消去する。書き出した映像は目的を達した時点で消去する。
  • 第5条(責任者と閲覧者)管理責任者は代表とし、閲覧できるのは代表と店長に限る。アカウントは個人ごとに発行し、共有しない。
  • 第6条(閲覧の手続き)閲覧は第1条の目的に必要な場合に限り、閲覧記録簿に日時・閲覧者・理由・対象を記録する。
  • 第7条(外部への提供)法令に基づく書面での求めがある場合、又は本人の同意がある場合に限り提供し、提供の日・範囲・相手を記録する。
  • 第8条(周知)本規程はバックヤードに掲示し、入社時に説明する。改定するときは事前にスタッフに知らせる。
閲覧日時・閲覧者 理由 対象(カメラ・日時) 書き出し・消去予定
10月20日 21時・店長 10月18日のレジ過不足(−5,000円)の確認 レジ・10月18日17〜19時 書き出しなし
10月22日 10時・代表 警察の捜査関係事項照会書を受領 入口・10月21日2〜3時 書き出して提供。事件の終了を確認後に消去

上の表を閲覧記録簿の様式として使います。規程は就業規則の別規程にしておくと、新しいスタッフにも同じ説明ができます。作り方は就業規則は必要かで確認できます。

費用はどう比べるか — 方式ごとに5年の総額で並べる

防犯カメラの費用は、初期費用だけでなく、月額と機器の交換を含めた5年の総額で比べます。台数・画質・保存期間・工事の条件をそろえて見積もりを取ります。

方式 5年総額の計算式 向く店と注意点
録画機(レコーダー)型 カメラ+録画機+配線工事+保存用ディスクの交換費 台数が多い店。録画機ごと盗まれないよう施錠できる場所に置く
クラウド型 カメラ代+月額×台数×60か月 外から確認したい店。通信が止まると録画が途切れることがある
家庭用のネットワークカメラ 本体×台数+記録媒体や保存サービスの料金 1人サロン。保存先と保存期間、初期パスワードの変更を確かめる
警備会社などのプラン 月額×契約月数+中途解約金 夜間の侵入に備えたい店。契約期間と総支払額を確かめる

たとえばクラウド型の月額が1台1,000〜3,000円と仮定すると、4台×60か月で24万〜72万円です。録画機型の見積もりの総額がこの範囲より下か上かで比べます。賃貸物件では天井や壁への穴あけと配線に貸主の承諾が要ることがあります。

美容室の防犯カメラで実際につまずく6つの点 — 起きる場面と防ぎ方

設置の後で問題になるのは、映ってはいけないものが映る、必要な映像が残っていない、見てはいけない人が見られる、の3つです。

  1. 鏡に映り込む:セット面の鏡や壁の鏡を通して、着替えのスペースやトイレの入口、お客様の顔のアップが映ることがあります。設置した日にモニターで鏡越しの映り込みを確かめ、角度を直します。
  2. 入口が逆光で顔が映らない:ガラス張りの入口は昼に白く飛び、夜は室内の照明が反射します。昼・夕方・夜の3回テスト録画して、映り方を確かめます。
  3. 録画の時刻がずれている:警察に提供したときに時刻が合わないと、確認に手間がかかります。時刻の自動合わせを設定し、月1回レジの時刻と比べます。
  4. 退職したスタッフがアプリで見られる:共有アカウントのままだと退職後も閲覧できます。アカウントを個人ごとに分け、退職日に権限を削除します。手順はスタッフ退職時の手続き一覧に組み込みます。
  5. 初期設定で音声が録音されている:ネットワークカメラにはマイク付きの機種が多くあります。施術中の会話は私的な内容が多いため、設定で音声を切ったことを確認します。
  6. 気づいたときには上書きされている:保存期間が点検の間隔より短いと、在庫の不一致に気づいた時点で映像が残っていません。保存期間を点検の間隔+7日以上にします。

カメラは記録には役立ちますが、被害を防ぐのは毎日のレジ締め、夜間に現金を残さないこと、鍵の本数と持ち主の台帳です。手順はレジ締めと現金管理にまとめています。

防犯カメラを設置する前に、次の9項目を確認してください。

  • カメラの目的を防犯だけにするか、トラブルの事実確認などにも使うかを決めた
  • 出入り口・現金・在庫の場所から台数と画角を決めた
  • トイレ・更衣室・休憩室に設置せず、鏡越しにも映らないことを確かめた
  • 入口とカメラの近くに掲示を出し、目的と問い合わせ先を書いた
  • 保存期間を点検の間隔+7日以上にし、必要な容量を計算した
  • 閲覧者を限定し、個人ごとのアカウントと閲覧記録簿を用意した
  • 音声を録音しない設定と、時刻の自動合わせを確認した
  • 運用規程をスタッフに説明し、バックヤードに掲示した
  • 見積もりを5年の総額で比べた

よくある質問

美容室に防犯カメラを設置するのにお客様の同意は必要ですか?

防犯目的で設置していることが状況から明らかな場合、個別の同意や利用目的の通知・公表は不要とされています。ただし撮影されていることにお客様が気づけるよう、入口やカメラの近くに作動中であることを掲示するのが望ましいとされています。

施術席にカメラを付けてもよいですか?

付けること自体は禁止されていませんが、お客様がくつろぐ場所のため、引きの画角にして顔のアップや鏡越しの映り込みを避けます。トラブルの事実確認にも使うなら、その目的を掲示やプライバシーポリシーで示します。

録画はどのくらいの期間保存すればよいですか?

法律で決まった期間はありません。レジや在庫を点検する間隔に7日を足した日数を目安に店で決め、過ぎたら上書きで消える設定にします。点検が月1回なら40日前後、2週間ごとなら3週間前後になります。

スタッフの勤務の様子をカメラで確認してもよいですか?

確認すること自体はできますが、目的を事前に決めて規程に定め、スタッフに明示しておく必要があります。休憩室や更衣室は撮影せず、映像を見る人と手順を決めて、閲覧記録を残しながら運用します。

警察から映像の提出を求められたら応じてよいですか?

捜査関係事項照会書など、法令に基づく求めであれば本人の同意なく提供できます。書面で依頼を受け、提供した日、範囲、相手を閲覧記録簿に残しておきます。

お客様に「自分が写った映像を見せてほしい」と言われたらどうしますか?

日時でしか検索できない録画は通常、個人情報データベース等に当たらないため、開示請求の対象となる保有個人データにも通常は当たらないと考えられます。そのうえで、ほかのお客様やスタッフが写っていないか、見せる範囲を確かめて対応を決めます。判断に迷うときは、個人情報保護委員会の相談窓口や弁護士に相談します。

出典:個人情報の保護に関する法律第16条・第18条・第20条・第21条・第33条(e-Gov法令検索「個人情報保護法」)、個人情報保護委員会「ガイドラインに関するQ&A」Q1-13(従来型防犯カメラ)・Q1-14(顔識別機能付きカメラ)・Q1-41(映像と個人情報データベース等)・Q5-7(従業者のモニタリング)・Q10-8(カメラ画像の安全管理措置)。容量と費用の数字は記事内の仮定による計算例です。自治体の防犯カメラに関する条例・ガイドラインは出店地の自治体で確認してください。

次にやることは、店の平面図に出入り口・レジ・在庫棚を書き込んで台数を決め、点検の間隔から保存期間と容量を計算することです。盗難や設備の被害に備える保険は開業で入るべき保険で確認できます。

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この記事を書いた人

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