18歳未満の未成年のお客様が保護者の同意なしに結んだ施術の契約は、原則として本人や保護者が後から取り消せるため(民法第5条)、縮毛矯正やカラーのように料金が高く、薬剤を使い、元に戻しにくい施術では、予約の時点で保護者の同意を確かめて同意書を受け取るのが安全です。年齢は学年ではなく予約日の生年月日で判断し、校則に合うかどうかは店が判断せず本人と保護者に確認してもらい、薬剤の施術では大人と同じく毎回パッチテストと説明を行います。
施術する・条件付きで施術する・日を改めるの判断表、予約日の年齢の数え方と同意が取れていない売上の試算、印刷して使える同意書、保護者への確認電話の文例、現場でつまずく点を整理します。子どものカットの受け入れや子連れ客向けの設備は別の記事で扱います(2026年10月時点の情報です)。
結論:未成年のお客様の同意確認の早見表
押さえることは、予約日に18歳未満かを生年月日で確かめる、薬剤や高額のメニューは保護者の同意を書面で取る、校則の判断は店がしないの3つです。
| 項目 | 目安・ルール | 根拠・理由 |
|---|---|---|
| 未成年の範囲 | 18歳未満。18歳の誕生日に成年に達し、本人だけで契約できる | 民法第4条(2022年4月1日から18歳) |
| 同意のない契約 | 本人または保護者が取り消せる | 民法第5条第2項、第120条第1項 |
| お小遣いの範囲の支払い | 保護者が使うことを許したお金の範囲なら本人が自由に使える。ただし範囲は店から分からない | 民法第5条第3項 |
| 同意書を取るメニュー | カラー・ブリーチ、パーマ、縮毛矯正、回数券などの前払い | 料金が高い、薬剤を使う、元に戻しにくい |
| 同意の取り方 | 保護者の署名入り同意書か保護者の同伴。疑わしければ電話で確認し記録 | 同意があったことを後から示せるようにする |
| 薬剤の施術 | 年齢にかかわらず毎回パッチテストとリスクの説明 | 低年齢での酸化染毛剤の繰り返しはアレルギーのリスクを高める可能性 |
| 校則 | 店は判断しない。本人と保護者が確認したことを同意書に残す | 学校の規則を解釈する立場にない |
カットだけで来店する子どもの受け入れ方や、子連れのお客様向けの予約枠の設計は子連れ・キッズ対応の設計にまとめています。この記事は、未成年のお客様本人が契約する施術に絞ります。
未成年者の契約とは — 保護者の同意がなければ取り消せる
未成年者とは18歳未満の人のことで(民法第4条)、未成年者が契約などの法律行為をするには、保護者(法定代理人)の同意が必要です(第5条第1項)。同意のない契約は取り消すことができ(第5条第2項)、美容室の施術の申込みも契約にあたります。2004年4月2日以降に生まれた人は18歳の誕生日に成年に達するため、同じ高校3年生の中に17歳と18歳が混ざります。
- 取り消せる人:未成年者本人と保護者のどちらも取り消せます(民法第120条第1項)。本人が納得していても、保護者が後から取り消すことがあります。
- 取り消したときの効果:契約は初めからなかったものとみなされ(第121条)、店は受け取った代金を返す立場になります。一方、未成年者側が返すのは「現に利益を受けている限度」とされ(第121条の2第3項)、受けた施術は返せないため、店は不利な立場になりやすいといえます。
- 取り消せない場合:保護者が自由に使うことを許したお金(お小遣いなど)の範囲の支払い(第5条第3項)と、成年だと信じさせるためにうそをつくなどの「詐術」を使ったとき(第21条)です。単に年齢を言わなかっただけでは、詐術とは認められにくいとされています。
- 取り消せる期間:追認(取り消さないと決めること)ができる時から5年、契約の時から20年で取消権は消えます(第126条)。本人が成年になってからも、しばらくは取り消される可能性が残ります。
施術するか・条件付きか・日を改めるか — 年齢・メニュー・同意の状態で決める判断表
判断は「予約日の年齢」「メニューの種類と金額」「同意の確かめ方」の3つを順に見るだけで決まります。金額の線は店のルールとして数字で決め、メニュー表と予約フォームに書いておきます。
| お客様とメニュー | 同意の状態 | 判断と対応 |
|---|---|---|
| 予約日に18歳以上(生年月日で確認) | 不要 | 施術する。学年ではなく生年月日で確かめた記録を残す |
| 18歳未満・カット、シャンプー、ブロー(店の線より下の金額。例:税込6,000円未満) | 不要。中学生以下は保護者の連絡先を聞く | 施術する |
| 18歳未満・カラー、ブリーチ、パーマ、縮毛矯正、または店の線以上の金額 | 保護者の署名入り同意書があり、内容と料金の上限が当日と合う | 施術する(カラーは48時間前のパッチテストが済んでいることが条件) |
| 同上 | 同意書はないが、保護者に電話がつながり了承を得た | 条件付きで施術する。通話の日時・相手・了承した内容と金額をカルテに記録する |
| 同上 | 同意書がなく、電話もつながらない | 同意が要らないメニューに変えるか、日を改める(本人に選んでもらう) |
| 同上・当日に料金が同意書の上限を超える(長さの追加料金、ブリーチの追加など) | 同意書の範囲を超える | 保護者に電話して了承を得てから進める。つながらなければ同意書の範囲で施術する |
| 同上・署名が本人の筆跡に見えるなど疑わしい | 確認できない | 保護者に電話で確認する。確認できなければ日を改める |
| 18歳未満・回数券、定額制、高額の店販商品 | 書面の同意がない | 販売しない。保護者の同意書を受け取ってから販売する |
金額の線(例:税込6,000円)は法令の基準ではなく、店のルールの例です。回数券を未成年に販売するときの返金ルールの作り方は回数券・前払いチケットの注意点で確認してください。
試算:予約日の年齢の数え方と、同意が取れていない売上
同意が要るかどうかは「予約日に18歳の誕生日を迎えているか」で決まります。学年で判断すると、同じ高校3年生でも結論が分かれます。
試算の前提(仮定):予約日は2026年11月14日(土)。2026年度の高校3年生は2008年4月2日〜2009年4月1日生まれ、高校2年生は2009年4月2日〜2010年4月1日生まれ。
| お客様(例) | 生年月日 | 予約日の年齢 | 縮毛矯正・カラーの同意書 |
|---|---|---|---|
| 高校3年生A | 2008年6月10日 | 18歳 | 不要 |
| 高校3年生B | 2008年11月20日 | 17歳(11月20日に18歳) | 必要。予約を11月20日以降にすれば不要 |
| 高校3年生C(早生まれ) | 2009年1月20日 | 17歳 | 必要(2027年1月20日以降の予約なら不要) |
| 高校2年生D | 2009年8月5日 | 17歳 | 必要 |
次に、同意を確かめないまま受けている売上の大きさを出します。前提(仮定)として、18歳未満のお客様の薬剤メニューが月にカラー8件(平均8,800円)と縮毛矯正4件(平均17,600円)あるとします。計算は8件×8,800円+4件×17,600円=140,800円で、月140,800円、年1,689,600円が、同意を確かめていなければ取り消される可能性の残る売上です。一方、同意書の送付と受け取りの確認にかかる手間を1件5分とすると、12件×5分=月60分です。取消しが実際に起きるかどうかにかかわらず、月60分の手間で売上の根拠を残せる計算になります。
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同意書の文例 — 保護者が記入するだけで完成する様式
同意書には、本人と保護者の氏名・連絡先、施術の内容と料金の上限、薬剤のリスクとパッチテスト、仕上がりの限界、校則は本人と保護者が確認したこと、写真の扱いを入れ、保護者に署名してもらいます。店名と料金だけ書き込めば使える形にしています。
施術同意書(18歳未満のお客様用・そのまま印刷して使える例)
- (店名) 御中 私は、下記の未成年者が貴店で次の施術を受けることに同意します。
- お客様のお名前: 生年月日: 年 月 日 ご予約日: 年 月 日
- 施術内容:□カット □カラー □ブリーチ □パーマ □縮毛矯正 □その他( )
- 料金:税込 円(髪の長さや状態で変わる場合も、税込 円を上限とします。上限を超える場合は事前に保護者に連絡を受けます)
- □薬剤を使う施術では、かぶれなどの皮膚の異常が起こることがあること、カラーは施術の48時間前に毎回パッチテストを行うことの説明を受けました。
- □髪の状態によっては、希望どおりの仕上がりにならない場合や、施術内容を変更する場合があることを理解しました。
- □学校の規則などに合うかどうかは、本人と保護者で確認しました。
- 施術前後の写真を店のSNSやホームページに掲載することに □同意する □同意しない
- 保護者のお名前: 続柄: 日中つながる電話番号: 署名日: 年 月 日 署名:
同意書は予約を受けたらすぐに用紙かフォームのURLを送り、保護者自身に記入してもらいます。来店時に施術内容と料金の上限が同意書と合っているかを本人と確かめ、施術の記録と一緒に保管します。紙の場合はスキャンして顧客データに紐づけておくと、後から探せます。保管期間を店の書類全体でそろえるときは書類の保存期間一覧を参考にしてください。
予約時と当日の確認 — 案内文と保護者への電話の文例
予約の段階で生年月日、希望メニュー、保護者の同意の方法を確かめ、同意書が必要なメニューは来店前に案内します。当日に同意書がないと分かってからでは、施術を変えるか日を改めるしかなくなるためです。
予約時の案内文と、保護者への確認電話の文例
- 【予約サイト・LINEの案内】18歳未満の方のカラー・ブリーチ・パーマ・縮毛矯正には、保護者の方の同意書が必要です。予約後にお送りする同意書をご記入のうえ、ご来店時にお持ちください。お持ちでない場合は、保護者の方にお電話で確認させていただくか、当日はカットのみに変更させていただきます。
- 【パッチテストの案内】カラーをご希望の方は、施術の48時間前にパッチテストのためのご来店をお願いしています。学校の帰りに寄れる日時を一緒に決めましょう。
- 【保護者への電話】(店名)の(担当者名)と申します。(お客様の名前)さんの保護者の方でいらっしゃいますか。本日、(お客様の名前)さんから縮毛矯正のご予約をいただいていて、料金は税込17,600円の予定です。施術を受けることにご同意いただけますか。
- 【了承を得たら】ありがとうございます。お電話で確認した日時とお名前を、お店の記録に残させていただきます。料金がこの金額を超えそうなときは、改めてご連絡します。
- 【カルテの記録例】2026年11月14日 13:05 母(保護者の名前)に電話。縮毛矯正 税込17,600円まで了承。担当(スタッフ名)。
予約フォームに生年月日の欄を設けるときは、「保護者の同意が必要なメニューを事前にご案内するため」と目的を書き添えます。学生向けの料金を設けている店は、学割の確認と同じ流れで年齢も確かめると手間が増えません。学割の条件や表示の決め方は学割・学生客の集客で扱っています。
子どもへの薬剤施術の説明 — パッチテストは大人と同じ、校則は店が判断しない
薬剤を使う施術では、年齢にかかわらず毎回パッチテストを行い、本人と保護者の両方に分かる言葉でリスクを説明します。消費者安全調査委員会は2015年の報告書で、低年齢のうちに酸化染毛剤で毛染めをして酸化染料に触れる回数が増えると、アレルギーになるリスクが高まる可能性があると指摘しています。
パッチテストは子どもだからと省略せず、48時間後の観察は保護者にも見てもらうよう頼みます。手順と記録の方法はパッチテストのやり方と記録のとおりです。カラー以外にヘアマニキュアなど酸化染毛剤を使わない方法があることも伝え、選ぶのは本人と保護者に任せます。「学校で怒られないか」と聞かれても、店は規則を解釈できないため、色の明るさや元に戻すときの方法と料金を説明する役割にとどめます。
子ども本人への説明の例文
- カラーのお薬は、人によってかゆくなったり赤くなったりすることがあるから、2日前に腕に少しだけ塗って確かめるね。お家の人にも腕を見てもらってね。
- 途中でかゆい、ピリピリする、気持ち悪いと思ったら、がまんしないですぐに教えてね。すぐに洗い流すからね。
- 一度明るくした色は、すぐには元に戻せないよ。学校のことはお家の人と決めてきてね。
施術中や施術後にかぶれなどが出たときは、大人と同じく洗い流して受診をすすめ、保護者に連絡します。事故が起きたときの初動と賠償の考え方は施術事故の対応で確認できます。
現場でつまずく6つの点 — 防ぎ方まで決めておく
同意書の様式があっても、年齢の確かめ方と当日の変更で抜けが出ます。
- 学年で判断する:「高校3年生だから成年」と受けると、早生まれや誕生日前の17歳が混ざります。予約フォームの生年月日から予約日の年齢を出し、予約画面に「同意書要」の印を付けます。
- 予約者と来店者が違う:保護者名義で予約され、子どもが1人で来ることがあります。保護者が予約したメニューと料金はその範囲で同意があったと扱い、当日に内容を変えるときは保護者に電話します。
- 当日の追加料金で同意の範囲を超える:髪の長さの追加料金やブリーチの回数で、同意書の金額を超えることがあります。同意書に料金の上限を書いてもらい、超えるときは電話で了承を得ます。
- 同意書を写真で受け取って終わりにする:LINEで送られた写真だけでは、誰が書いたか分かりません。保護者の日中つながる電話番号を書いてもらい、初めての同意書のときだけでも一言電話で確かめます。
- 写真を本人の了承だけで投稿する:未成年のお客様の写真は、本人だけでなく保護者の同意も同意書のチェック欄で確かめてから使います。
- 18歳になる直前の予約:誕生日の数日前の予約は、日付を誕生日以降にずらせば同意書が要らなくなります。本人の都合が合えば、その選択肢も伝えます。
未成年のお客様の施術を受ける前に、次の8項目を確認してください。
- 予約フォームに生年月日の欄があり、予約日の年齢で判断している
- 同意書が必要なメニューと金額の線を、メニュー表と予約フォームに書いている
- 同意書の用紙かフォームを、予約後すぐに送れる
- 同意書に料金の上限と、保護者の日中つながる電話番号の欄がある
- 電話で同意を得たときに、日時・相手・内容・金額をカルテに残している
- カラーのパッチテストを、子どもにも大人と同じ手順で行っている
- 校則についての質問には、店は判断しないと答えることをスタッフが知っている
- 写真の掲載には、本人と保護者の両方の同意を取っている
よくある質問
17歳のお客様が自分のアルバイト代で縮毛矯正をしたいと言っています。同意は要りますか?
保護者の同意を確かめるのが確実です。保護者が自由に使うことを許したお金の範囲なら本人だけで契約できますが(民法第5条第3項)、その範囲は店からは分かりません。同意書か保護者への電話で確認してから施術します。
18歳の高校生にも同意書は必要ですか?
法律上は必要ありません。2022年4月から成年年齢は18歳で、18歳の誕生日を迎えていれば高校生でも本人だけで契約できます。学年ではなく予約日の生年月日で判断し、店の方針として求める場合も、その理由を説明できるようにしておきます。
同意書の署名を本人が書いたのではないかと疑わしいときは?
保護者に電話をして、施術内容と料金に同意しているかを直接確かめます。確認できた日時と相手をカルテに残し、連絡が取れなければ同意が必要な施術は日を改めます。
校則に違反しないか聞かれたら、どう答えればよいですか?
学校の規則は店では判断できないことを伝え、本人と保護者で確かめてもらいます。店からは、色の明るさや仕上がりの見込み、元に戻すときの方法と料金を説明し、判断の材料を渡します。
保護者が同伴していれば、同意書は要りませんか?
保護者がその場で施術内容と料金を聞いて了承していれば、同意を確かめたことになります。後から内容を確かめられるよう、同伴した保護者の名前と了承した内容をカルテに書くか、その場で同意書に署名してもらいます。
保護者が予約して、子どもだけが来店する場合はどうすればよいですか?
保護者が予約した時点で、そのメニューと料金に同意していると考えられます。来店時に予約内容を子どもと確かめ、当日にメニューや料金を変える必要が出たら、保護者に電話して了承を得てから進めます。
出典:民法第4条・第5条・第21条・第120条・第121条・第121条の2・第126条(e-Gov法令検索「民法」)、法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」(法務省)、厚生労働省「毛染めによる皮膚障害の周知等について」(平成27年10月23日 生食衛発1023第1号。消費者安全調査委員会の調査報告書の抜粋を含む、厚生労働省)。金額の線と試算は前提を置いた例です。個別のトラブルは消費生活センター(消費者ホットライン188)や弁護士に相談してください。
まずは、店のメニューを1つずつ見て「同意書が必要なもの」と金額の線を決め、予約フォームに生年月日の欄を加えるところから始めてください。同意書と一緒に使える写真掲載の同意の文面は個人情報の同意文例から選べます。
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